歌手の大黒摩季が主宰したチャリティライブ『MAKI’s AID “Cheer Up! 能登半島!”~人類みな親戚▼ Vol.1★Kick off 横浜~』(▼=ハート)が13日、神奈川・KT Zepp Yokohamaで開催された。令和6年能登半島地震の被災地復興支援の想いに賛同したゲスト7組も参加し、大黒とのコラボなどで観客2000人を魅了した。


 自らオープニングアクトを務めた大黒は、ダンサー・Team Black Starz(以下、ブラスタ)の登場から「熱くなれ」でスタート。ヒット曲メドレーで会場を一体化し、ヒートアップさせた。

 開口一番「オープニングアクトの大黒摩季です!」と自己紹介。「すばらしいアーティストたちが、気持ちよく楽しんでくれることが一番だから私がその土壌をまず作らねば!」と、デビュー前の初心に帰ってブラスタと共に最高の前座を務めた。そして、震災が起こったばかりの頃は多くの人が被災地のことを気にかけていたものの、日々の生活に追われ罪なく忘れていってしまっている現状を憂い、「まだ復興がしっかり始まってもいない」「まだ苦難の中にある被災地・能登のことを忘れないで」と今回のチャリティーライブの趣旨を伝えた。

 その後、タモリのモノマネで知られるジョニー志村と、FM熊本のDJで大黒の同級生でもある森田真奈美の司会による軽妙な進行でゲストコーナーへ。
最初に登場したのは、ポップスピアニストのハラミちゃん。ボーカルは大黒が務めた。

 「まずは悲しいということの状況にしっかり寄り添いたい」として「悲しくてやりきれない」を選曲。続けては応援の気持ちと再出発への思いを込めて「銀河鉄道999」を披露。9歳のキッズダンサー「マナキッズ」も登場し、明るく元気なステージが繰り広げられた。

 1990年代のレーベルメイトで、切磋琢磨した仲だというDEENが登場。
大黒とボーカルの池森秀一は北海道出身の同郷で同い年の共通点があり、貴重なエピソードトークのあとには、DEENのデビューシングルにして代表曲の「このまま君だけを奪い去りたい」へ。池森の甘いボーカルで酔わせると、2曲目には、聴く人へ“ひとりじゃないよ”との思いを込め、ポジティブな「ひとりじゃない」を届けた。

 続いては、一昨年にシングル「#IMA」、昨年は「オリジナルストーリー」と2曲の作品を提供し、大黒が直接ライブを観に行くなど交流のあるA.B.C-Z。今回は「オリジナルストーリー」を、作曲・アレンジを担当したベース・徳永暁人(doa)、ドラムの濱崎大地、さらにハラミちゃんも加わり、レコーディング時のオリジナルメンバーとA.B.C-Zによる豪華コラボライブが実現した。

 A.B.C-Zは本格的なバンドを背負っての歌唱が初めてといい、A.B.C-Zファンやオーディエンスから歓声が上がった。そして、A.B.C-Zメンバーが「音楽の力をみんなで届けられれば、能登の皆さんの背中を押せるんじゃないか」と話し、人気曲「頑張れ、友よ!」を披露。
エネルギッシュなパフォーマンスで感動とともに大きな盛り上がりを見せた。

 ゲスト5組目として、“ラスボス”小林幸子が登場。能登半島地震のみならず、中越地震や東日本大震災の被災地でのボランティア活動を続ける小林には大黒が自らアプローチし、その想いに賛同した小林が出演を快諾した。

 ヒット曲「おもいで酒」やNHK紅白歌合戦でも歌った「千本桜」の2曲を歌った小林は、圧巻の歌唱力と存在感で観客を圧倒。MCでは、恩師・古賀政男に弟子入りした9歳の時に「歌ではお腹はいっぱいにならない。でも人の心をあったかくすることはできる、そんなあったかくできる歌を歌える歌手になれなぁ」と言われたというエピソードを紹介した。
「皆さん(聴く人)が喜んで、心が穏やかになってもらえるなら歌い手冥利に尽きる。今回参加したゲストもそうでしょう」とも語った。

 ゲストコーナーの最後は、TRFYU-KI。昨年テレビの音楽番組での共演がきっかけで意気投合し、プライベートで食事をした際に出演を依頼し、その場で快諾をもらったという。90年代の同時期にヒット曲を連発した2人のDIVAは、90年代ハイパー・ヒットメドレーとして、「BOY MEETS GIRL」「masquerade」「DA・KA・RA」「survival dAnce ~no no cry more~」の4曲を披露。超豪華なステージには会場は興奮のるつぼと化した。


 本編ラストは、大黒による「スーパーポジティブソングコーナー」へ。「きっとKANさんは今、上にいる人たち(亡くなられた方々)に歌ってくれてると思うけど、歌います!」と言って「愛は勝つ」を、そして「(坂井)泉水ちゃんが生きてたらきっとここにいてくれたはず、代わりに歌います!」と伝えるとZARDの「負けないで」をカバー。国民的応援歌2曲に観客も大合唱した。

 続けて、盟友・坂井泉水と生前「一緒に作品を作ってライブをやろう!」と約束したものの、果たせなかった思いを込めて作り、大切な人とつながる楽曲になったという「君に届け」、さらに「何とかなるさ」「みんな大丈夫だ」という意味を持つ『仮面ライダーオーズ』の放送テーマソング「Anything Goes!」で本編を締めくくった。

 アンコールが明けると、スーパー太鼓トリオが登場。ヒダノ修一・一彩・託矢による華麗なる太鼓バトルを演奏したのち、大黒&ヒダノの出身地・北海道の民謡「ソーラン節」へ。
「あ~どっこいしょ!ドッコイイショ!」のコール&レスポンスで盛り上がった。

 その後のMCでは、国際的な太鼓ドラマーとして活躍するヒダノ修一が、今回の能登半島地震により、太鼓の材料となる能登のヒバが甚大な被害を受けていること、石川県輪島市名舟町に伝わる伝統芸能で日本遺産構成文化財でもある御陣乗太鼓奏者たちも被災し、「文化の火を消してはならない」と訴えた。「太鼓を用いて心の底から応援したい」との思いで設けられた太鼓コーナーでは、サポートバンドを加えて「東京Only Peace」へ。「平和って素晴らしい。平和こそが日本の誇り、もう一度みんな一つになろう」とのメッセージが込められた「東京Only Peace」は、大黒のソロ太鼓から始まり、8分にも及ぶ超大作となった。

 ラストは全ゲストがステージに集結。大黒は、ロックフェス『ウッドストック』を見て以来、「自分もヒット曲を作り出すだけではなく、誰もが歌えて演奏できる曲、一つになれる曲を作り出し、いつの日かウッドストックみたいなフェスがしたい」と思っていたことを明かすと、自身最大のヒット曲「ら・ら・ら」を全キャストリレーで歌唱した。それぞれが能登への思いを込めて歌うと、大黒の「人類みな親戚!」の掛け声でフィナーレを迎えた。

 このライブの模様はストリーミング+では有料生配信が行われ、1週間のアーカイブ配信。ライブと配信、ライブグッズ(蓄光素材で自分の居場所を知らせるのに便利なグッズ)の売上は、義援金として被災地への寄付にあてられる。義援金は大黒自らが被災地へ届けにいく。

 また、ライブ会場のロビーでは、被災地の産業の復興支援のため、能登の企業・団体による特別物産展も開催。能登の名産品、工芸品などの販売が行われ、盛況となった。

■MAKI’s AID “Cheer Up! 能登半島!”~人類みな親戚▼ Vol.1★Kick off 横浜~』
▼出演者
大黒摩季

▼ゲスト・アーティスト
A.B.C-Z
小林幸子
スーパー太鼓トリオ
Team Black Starz
DEEN
ハラミちゃん
YU-KI (TRF)
※50音順

▼司会
ジョニー志村/森田真奈美

▼サポート・ミュージシャン
原田喧太(Guitar)/北川遊太(Guitar)/徳永暁人(Bass)/柴田敏孝 (Keyboards)/清水俊也(Keyboards)/濱崎大地(Drums)/竹上良成(Sax)/原田ゆか(Chorus)

■セットリスト
[guest Team Black Starz]
熱くなれ
チョット
夏が来る
あなただけ見つめてる

[guest ハラミちゃん]
悲しくてやりきれない
銀河鉄道999

[guest DEEN]
このまま君だけを奪い去りたい
ひとりじゃない

[guest A.B.C-Z]
オリジナルストーリー
頑張れ、友よ!

[guest 小林幸子]
おもいで酒
千本桜

[guest YU-KI(TRF)]
BOY MEETS GIRL
Masquerade
DA・KA・RA
survival dAnce ~no no cry more~

愛は勝つ
負けないで
君に届け
Anything Goes!

【アンコール】
[guest スーパー太鼓トリオ]
ソーラン節
東京Only Peace

【全員】
ら・ら・ら