感情がほとばしって言い過ぎた言葉、平気をよそおって言えなかった言葉、「もう黙って」「もっと喋って」と思わずにはいられない、もどかしくて愛おしい掌編18本となっている。ヒコロヒーにとって、自身初の小説集。刊行時から作家の吉本ばなな、西加奈子が推薦コメントを寄せ、さらに歌人・俵万智のXでの投稿「ヒコロヒーさんの小説が、ほんっっっとうに良くて、恋する誰かと語り合いたい。」が話題になっていた。
「島清恋愛文学賞」は、その年に出版された最高の恋愛小説を選ぶ文学賞で、直近では一穂ミチ『光のとこにいてね』、上田岳弘『最愛の』、吉田修一『ミス・サンシャイン』、吉川トリコ『余命一年、男をかう』、山本文緒『自転しながら公転する』、綿矢りさ『生のみ生のままで』、三浦しをん『ののはな通信』などそうそうたる作品が受賞してきた。
今年の選考委員は、村山由佳、桜木紫乃、島田雅彦、金沢学院大学学長・秋山稔。
■ヒコロヒー
私みたいなろくでもない人間によるろくでもない話の数々が受賞とはわけのわからぬ恐縮な思いですが、こんな光栄な出来事に見舞われることができたのは、連載のお話をくださった朝日新聞ウェブの編集長、単行本化にあたって原稿の遅延行為を繰り返すだらしない私の面倒を見てくださった朝日新聞出版のおおらかな編集のお二人、優しい言葉で単行本の帯を包んでくださったばななさんと加奈子さん、各所で「芸人が書いてるからってなめちゃいけないよ」と熱く感想を述べてくださっていた俵万智さん、そういった方々のおかげで手に取り読んでくださった全ての皆さまのおかげかと思います。
普段はでたらめなコントをしています。謝りません。