■放送が始まってもなお“夢のよう”なドラマ化の実感
――ドラマ化の話を聞いた時の心境を教えてください。
率直にうれしかったです。事前にコアミックスの方から「日曜劇場で企画が出ています」とふんわり聞いていて、「通ることは難しいだろう」と思っていたんです。なので、実際に「決まりました」と聞いた時は「うそでしょ?」というリアクションでした(笑)。本当に「夢かな」という感覚で、放送が始まっている今もその気持ちが続いているような気分です。
――実際に放送をご覧になって、いかがでしたか?
脚本の構成もそうですが、作品全体の雰囲気が原作の持つ空気感とリンクしているように感じました。あえてそれを狙っているかどうかは分かりませんが、いち視聴者としても楽しめる、ワイワイできる仕上がりで。「こういうドラマが好きなんだよな」と改めて思いました。
■キャラクターと響き合う配役の妙
――松本さんが演じる総合診療医・徳重晃を映像で見た印象を教えてください。
どう表現したらいいか難しいのですが、きちんと“コミュニケーションがうまくない人”という徳重らしさを感じます。『99.9 -刑事専門弁護士-』シリーズ(TBS系)を拝見していたので、「徳重という役柄にうまくスライドしてくれそうだな」と思っていました。実際に撮影現場での松本さんから作品と役柄に対する真摯な姿勢が伝わってきて、その演技に自然と引き込まれていきました。
――整形外科から総合診療科に転科した滝野みずきを演じる小芝風花さんや、外科医の東郷康二郎を演じる新田真剣佑さんについてはいかがでしょうか?
小芝さんは、ビジュアルの雰囲気や、バラエティなどでの印象から滝野というキャラクターっぽさを感じました。実際、小芝さんがインタビューで答えているバックグラウンドと滝野には共通項もあって、「きちんと役柄に合ったキャスティングをしていただいているんだな」と思いました。
新田さんについては、Netflixの「ONE PIECE」(2023年)での姿などから、侍みたいな雰囲気のある方だなと思っていました。実際に映像を見た時に、スクラブ姿の表情がまさに康二郎でしたし、その他のシーンでは「そんな表情もするんだ」と新たな一面が見えて。僕の中でも、康二郎というキャラクター像の幅が広がりましたし、親しみやすさのようなものを感じました。
■漫画と実写、それぞれの背景が伝える“人物像”の奥行き
――撮影現場を訪れた際、実写ならではの“情報量の多さ”に感動されたと伺いました。
僕が描く人間ドラマが中心となる漫画では、特に背景を大事にしているんです。背景って、その人物の“らしさ”を出すための情報や、キャラクターのバックグラウンドを表現できる場所。
――総合診療医があらゆる角度から患者を診るように、視聴者の人たちもまた徳重について、総合診療科の診察室から情報を得ると思います。それは、原作の第6巻で描かれている訪問診療で、日常の様子から情報を得ていることと似ている気がします。
そうですね。人の部屋って、ある意味その人の頭の中を無意識に表現しているようなものだと思っています。訪問診療の場面では、そういう“背景の情報”がそのまま目の前にある状態なので、視覚的にその人を理解できるんです。それと診察室の作りは、どこかでつながっているのかもしれませんね。
――最後に視聴者の方にメッセージをお願いします。
原作ファンや、松本さんをはじめとする出演者の皆さんのファンも見てくださっていると思います。