大阪・北浜の大阪取引所で5月13日、若手落語家・桂天吾さんの「JPX OSAKAアンバサダー」就任式が開かれた。歴史ある取引所に着物姿で登場した桂さんは、多賀谷彰社長との対談を通じ、金融や投資を身近に伝えていく意欲を語った。

 桂さんと取引所の縁は昨秋にさかのぼる。当時、大阪株式取引所(現・大阪取引所)の設立に関わったことで知られる幕末・明治の実業家・五代友厚を題材にした創作落語を披露。金融史を落語で描いた試みがきっかけとなり、今回のアンバサダー就任につながったという。

 対談では、大阪が堂島米市場を起源とする「先物取引発祥の地」であることに話題が及んだ。桂さんは「昔の落語には、相場で一喜一憂する庶民がよく登場する。現代の投資も根っこは同じかもしれない」と語り、金融と上方落語の意外な共通点を指摘した。

 これに対し、多賀谷社長も「落語は難しい話でも分かりやすく伝える力がある」と期待を寄せた。大阪赴任後に天満天神繁昌亭で初めて落語を生で鑑賞したといい、「演者が次々と登場し、会場の熱量が高まっていく。生で見て初めて落語の魅力が分かった」と振り返った。

 また、多賀谷社長は取引所について、「売りたい人と買いたい人の注文を集め、公正な価格形成を支える市場インフラ」と説明。現在の大阪取引所では、先物やオプションなどデリバティブ取引を中心に扱っているという。

 桂さんは「自分も最初は金融をよく知らなかったが、投資を始めてから経済ニュースを見るようになった」と明かし、「難しいと思われがちな金融を、友達と一緒に学ぶような感覚で伝えられたら」と抱負を述べた。

今後は、月1回程度、JPXのYouTubeチャンネルなどを通じて活動していく予定。任期は来年3月まで。

 桂さんは今年、入門15年以下の若手15人が競う「公推協杯 全国若手落語家選手権」の予選に出場。惜しくも本選進出は逃したが、2年連続で予選に選出されるなど、若手実力派として存在感を高めている。なお、「公推協杯 全国若手落語家選手権」の敗者復活選と本選は5月22日、東京・なかのZERO小ホールで行われる。伝統話芸の世界で研さんを積む若手落語家が、今度は経済の街・北浜で金融の魅力発信という新たな役割に挑む。

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