面識のない相手にアプローチして、返信をもらうにはどんなメールを送るといいか。営業コンサルタントの菊原智明さんは「稼げる営業は、メールを送るたびに人柄がにじみ出るような一文を入れて、お客様との距離感を縮めている。
『この営業はいいかも』と印象付けるためには、クセのあるメールを送ることだ」という――。
※本稿は、菊原智明『決定版 「稼げる営業」と「ダメ営業」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■ダメ営業の「売込みの一括送信メール」はバレる
稼げる営業はクセのあるメールを送り、

ダメ営業はメールのテンプレートを使う。

営業で結果を出すために「新規の見込み客」を探す必要があります。
今の時代「じゃあ飛び込みでもやってみようか」と思う人はかなり少ないでしょう。
多くの営業がそんなことをしてもデメリットしかないと体感しているのです。
訪問営業や電話営業がしづらくなるなかで、その代わりにメールやウェブサイトのフォームを利用した営業活動が増えています。
ただせっかく送っても、開封されることなく削除されることも少なくありません。訪問や電話に比べればメールでのお客様のアプローチするのは圧倒的に楽です。
だからと言って何百通メールを送っても反応なしでは、続ける気がしなくなります。
稼げる営業は普通にメールを送るのではなくクセのあるメールを送ります。
ちょっとした一文を見て「この営業はいいかも」と印象付けます。

メールを送るたびにお客様との距離感を縮め、そして信頼関係を築いているのです。
その一方、ダメ営業はメールのノウハウ本を読んでテンプレート通りに送ります。
当たり障りのないメールを送り、星の数ほど送られてくるメールにあっという間に埋もれてしまいます。たいていは次のような内容のものです。
件名【御社へのご提案の件です】
営業サポート・コンサルティング株式会社御中
お世話になります。
株式会社○○の山田翔平と申します。
本文……

一見、何も問題が無いように見えるかもしれません。
しかしこのようなメールを見たお客様は「あぁ、売込みの一括送信メールかぁ」といった印象を受けます。これではせっかくの文章も読んでもらえなくなるのです。
■名前の前にこれを添えるだけ
稼げる営業はテンプレート通りに送るのではなく、名前の前にひと工夫します。たとえば「常にお客様にいい提案ができないかと考えている山田翔平です」といった一言を伝えます。
もしくは「最近、バスケットボールの応援にハマっている山田翔平です」といったものです。
たったこれだけでも「他の人とは違うな」と思ってもらえます。
メールを送るたびに人柄がにじみ出るような一文を入れる。
これがメールでのアプローチの最大のコツなのです。
徐々に効いていき、お客様はいつの間にか「せっかくならこの人に声をかけてみようか」と思うようになります。稼げる営業はこういった細かい工夫を欠かさないのです。
ここ数年で営業活動がガラッと変わりました。
多くの営業が「訪問や電話よりメールの方が効果的だ」と分かっていても、どう伝えていいかはほとんど理解していません。
どうしても当たり障りのない文章になってしまうのです。
ということは、メールでお客様の心をつかむコツを知っている人にとっては大きなチャンスになるということになります。
さっそく今から人柄が伝わるメールを送ってみてください。
「人柄」が伝わるメールを送っている!
■顧客の創造とは「新規のお客様を探し出す」こと
稼げる営業は自分で新規のお客様を発掘し、

ダメ営業は会社任せにする。

今、営業の人たちとお会いすると「これからどうやって新規のお客様情報を獲得していけばいいか分からない」といった悩みを打ち明けてきます。

そもそも人口減により見込み客自体が減っています。そのうえ以前にもましてお客様の警戒心は強くなっています。営業しようともその相手が見つからない……。こういった悩みを持っている営業が多いのです。
ドラッカーの格言の中に「企業の目的は顧客の創造である」といった言葉があります。
顧客の創造とは営業では「新規のお客様を探し出す」ということになります。
新規のお客様をいかにして生み出していくか、は営業にとっても会社にとっても非常に重要なテーマです。もちろんどの会社でもそのことを十分承知しており、新規のお客様を取得する努力をしています。
・広告を載せる

・ネットで情報を提供してアドレスを集める
などなど。
集客については「これが正解」というものはありません。
一時成功してもすぐに効果が落ちてしまうこともよくあります。トライアンドエラーでさまざまな方法を試し、失敗を繰り返しながら見つけ出すしかないのです。

苦戦している営業は新規の集客を会社任せにします。
ちょっとアプローチしてダメだったらそのまま放置してしまいます。さらにはコストをかけて取得した新規情報を大切にせず「いい客いないなぁ……」などと言っています。
これでは結果が出ることはないのです。
■人脈から新規顧客を紹介してもらうコツ
稼げる営業は会社が取得したお客様情報を大切にします。
新規情報を得るのがどれだけ手間とコストがかかっているのかということをよく理解しているからです。さらに自分でも新規情報の獲得に積極的に取り組んでいます。
トップ営業の知人は「営業にとって新規情報獲得が生命線だ」とよく言っています。
新規情報を取得する方法はいろいろありますが、知人は豊富な人脈から紹介をもらうタイプです。
その秘訣を聞くと「身近な人に『こういう人がいたら会いたい』と伝えること」だと言います。こう言われれば「そういえば知り合いに近いタイプの人がいるから」と紹介してもらえる可能性が高まります。
もし、いきなり「契約が欲しいからお客さん紹介して」と頼んだらどうでしょうか?
まず紹介してもらえません。
こんな頼まれ方をされた人は「この人との付き合いも考えないと」と関係を切られてしまうことだってあります。
昔付き合っていた保険の営業が会うたびに「菊原さんの身の回りに保険に入ってくれそうな人がいませんか」と言ってきました。いい人だったのですが、それがプレッシャーとなり疎遠になってしまったことがありました。
■紹介されてもすぐには売り込まない
新規情報を得るのは大切ですが、やり方によってはあなたの大切な人脈を失うこともあります。新規のお客様を取得するためにまずは人脈を広げてください。
そして紹介してもらったらすぐに売り込まずさらに人脈を広げていくのです。
紹介してもらった人に対してアプローチする方法ですが、基本的にはお役に立つ情報を送って声が掛かるのを待つといったことをオススメします。
もっと能動的に動かしたい場合は、紹介して頂いた人に「○○さんにこの件について聞いてもらってもいいですか?」と間接的にお願いしましょう。
紹介して頂いたお客様は焦らずじっくりせめてください。
「○○な人がいたら会いたい」と布石をうって

売込み前に人脈を広げる!

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菊原 智明(きくはら・ともあき)

営業コンサルタント

営業サポート・コンサルティング代表取締役。関東学園大学経済学部講師。社団法人営業人材教育協会理事。
1972年生まれ。群馬県高崎市出身。群馬大学工学部卒業後、トヨタホームに入社し、営業の世界へ。自分に合う営業方法が見つからず7年間、ダメ営業時代を過ごした後、手紙で情報を提供する営業に切り替えたことをきっかけに4年連続トップ営業に。2006年に独立し現職。主な著書に『訪問しなくても売れる!「営業レター」の教科書』(日本経済新聞出版社)、『売れる営業に変わる100の言葉』(ダイヤモンド社)、『面接ではウソをつけ』(星海社)、『トップ営業マンのルール』『「稼げる営業マン」と「ダメ営業マン」の習慣』『残業なしで成果をあげるトップ営業の鉄則』(明日香出版社)、『営業1年目の教科書』『営業の働き方大全』(大和書房)、『リモート営業で結果を出す人の48のルール』(河出書房新社)、『仕事ではウソをつけ』(光文社)、『使ったその日から売上げが右肩上がり!営業フレーズ言いかえ事典』(大和出版)などがる。

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(営業コンサルタント 菊原 智明)
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