今年9月6日に行われる秋篠宮家の長男で皇位継承順位2位の悠仁さんの「成年式」に暗雲が立ち込めている。
本来、日本中で悠仁さんが成年皇族になったことを寿ぐ式典のはずだが、どうやらそうはなりそうもないようなのだ。
最初の“躓き”は、親族たちとの内宴(晩餐)や三権の長たちを招いての午餐会を「宮殿内で行わずに都内のホテルを借りてする」と決めたことだった。宮殿ではなく民間の施設でやる理由は朝日新聞(7月29日 10時11分)によればこうだ。
「儀式次第や行事内容は、天皇陛下や秋篠宮さまをはじめとする戦後の男性皇族のケースをおおむね踏襲する形になるが、昼食会は宮殿ではなく都内の民間施設で実施される方向だ。天皇陛下や秋篠宮さまの成年式の際は、当時在位中だった昭和天皇の皇孫であることから宮殿・豊明殿が使われた。これに対し、悠仁さまは現在の天皇陛下のおいにあたり、秋篠宮家の一員。秋篠宮家を支える皇嗣職は『宮殿は天皇陛下の諸行事が行われる場であり、宮家の主催行事を宮殿で開催するのは適切でない』と説明している」
ホテル代も悠仁さんが新調する式の装束も、宮廷費ではなく秋篠宮家の「皇族費」が使用されるというのである。
■浩宮さまのときとまったく違う
成城大学の森暢平教授はサンデー毎日(9月7日号)で、このことについて「違和感を覚える」として、こう書いている。
「自公政権が『悠仁さままでの継承を揺るがせにしない』という確固たる方針のもと今回の成年式を実施するなら、祝宴も正々堂々と宮殿で開けばよい。『悠仁さまは宮家皇族ではあるが、皇位に就くのは確実だから内廷皇族と同じ扱いとする』と主張すればよいのである。
一方、天皇陛下と秋篠宮さまが、『皇位継承は直系継承が相応(ふさわ)しく、愛子さまへの継承の道を作りたい。皇室からのメッセージの一貫として「悠仁さま祝宴」は皇居外で実施しよう』と決め、宮内庁幹部と相談して、今回の措置になっていたのなら、それは歓迎すべきことだ。しかし、現実はそうではない。
皇位継承議論に繋(つな)がる悠仁さま祝宴問題は、誰も適切にハンドリングせず、漂流の末に実施されるのである」
私はすっかり忘れていたが、森教授によれば45年前、皇太子時代の天皇が「成年式」に臨んだときは、NHKが1時間生中継し、新聞は社会面トップで報じたという。
「かつての浩宮と現在の悠仁さまは皇位継承順位が同じ2位である。しかし、今回の関心の低さはやはり寂しい」(森教授)
寂しいだけなら致しかたないが、さらに衝撃的な発表があったと女性セブン(9月11日号)が報じているのだ。
■週刊誌で続く秋篠宮家バッシング
私は、天皇家のやることはすべて「善」で、秋篠宮家には問題山積という「単純化」した女性誌の皇室報道にはいささかうんざりしている。
たしかに、長女・眞子さんと小室圭さんの結婚・ニューヨーク行きは非難されて仕方ないところもあったとは思うが、秋篠宮と紀子さんはこの問題で長く悩んできた。
今は次女の佳子さんを通じてしか眞子さんの消息を知ることができないとも報じられている。どこの家庭でも起こりうることが秋篠宮家でも起きたということである。
さらには長男・悠仁さんの進学問題で、秋篠宮家は“権力”を使って小中高ばかりではなく、東大に推薦入学させようと“画策”しているかのような報道が、週刊誌で繰り返し報じられた。
識者たちは揃って「東大に入れるよりも帝王教育を優先すべきだ」と批判した。だが、筑波大学に入学すると、今度は、60キロも離れたクルマ通学は警備のカネがかかりすぎると難癖をつける。
秋篠宮ならずとも、「私たちが責任をもってやっていることに口出ししないでくれ」といいたくなるではないか。
そして愛子さんブームである。女性週刊誌の表紙に愛子さんが載らない週はない。私もその一人だが、「愛子天皇待望」の声は日増しに大きくなってきている。
■宮内庁公式インスタグラムの変化
最近の女性誌のタイトルを見ても、「愛子さま(23)年内に広島で単独慰霊を両陛下に決意直訴」(女性自身9月2日号)、「愛子さま(23)悲願長崎訪問に秘めた真情」(週刊女性9月9日号)、「愛子さま(23)断固『3度の夏季休暇を!』雅子さま(61)の極限に」(女性セブン7月31日・8月7日号)と、愛子さん「賛歌」がズラリと並んでいる。
宮内庁の公式インスタグラムは、秋篠宮家の発案で始まったといわれるが、これまでは天皇家の動向がほとんどだった。
だが、女性セブンによれば、8月18日、「『7月の秋篠宮家のご活動を紹介します』との言葉とともに、秋篠宮ご一家のご公務での様子を収めた20枚の写真がアップされました。宮内庁公式インスタグラムが開設されたのは昨年3月ですが、これまでの投稿は天皇ご一家のご活動が中心で、特定の宮家のご活動が投稿されたのは、今回は初めてです」(皇室記者)
このタイミングで秋篠宮家の写真を発表したのは、宮内庁関係者によれば、成年式後には成年皇族として活動するようになる悠仁さんの「ご活躍」を世間に示していく意図があり、
「背景には、悠仁さまのそうしたお姿を発信したいという紀子さまのご意向もあったようです」(同上)
■成年式に「愛子さまが公務」という衝撃
だが、インスタグラムというのは、一般のユーザーが、その投稿に共感したり好感を持ったりすれば「いいね」を付けることができ、その数は可視化される。
今回、満を持してアップされた秋篠宮家の投稿に付いた「いいね」は約3万9000件だそうだ。
だが、愛子さんの姿を写した投稿に対しては70万近い「いいね」が付くこともあるという。
「圧倒的な“人気格差”が示されたことで、紀子さまは憮然とされているようです」(宮内庁関係者)
秋篠宮佳子さんの公務の姿を投稿すれば、愛子さんに匹敵する「いいね」が付くのではないかと思うが……。
週刊誌が作り出す天皇家VS.秋篠宮家という構図は「虚」の部分が多いと、私は考えているが、そうとばかりはいえない事態が起こったと、女性セブンが報じているのである。
宮内庁は、愛子さんが日本最大級の防災イベント「防災推進国民大会2025」に出席し、能登半島地震の被災地支援にかかわるセッションを聴講した後、2004年に新潟中越地震の被災地の復興状況を視察すると発表したのである。
その日程が9月6日から2泊3日なのだ。悠仁さんの「成年式」の日に公務に出掛けるというのは、秋篠宮家にとって大きな衝撃だっただろうことは想像に難くない。
■宮内庁の真意はどこにある
女性セブンでは、宮内庁関係者が、皇族方の公務や私的行事の日程は重ならないよう配慮するという暗黙の了解があると語っている。それなのになぜ?
「数十年に一度の慶事とはいえ、儀式の様子は単調で、どこか既視感もありますからね……愛子さまのご活躍が、悠仁さまの晴れの舞台に対する国民の関心をかき消してしまうことは想像に難くない。そのため、“悠仁さまの成年式がないがしろにされているのでは”と指摘する声が上がったのです。中には“意図的に日程を重ねたのでは”という声まで聞こえてくる事態になりました」(皇室ジャーナリスト)
何か両家の間に“確執”があるようないい方だが、過去、両家の重要な日が被さることはあった。
2022年、悠仁さんの中学卒業式と愛子さんの成年の記者会見が同日に行われている。さらに遡れば2017年、皇太子夫妻だった両陛下が、「全国国民文化祭」と「全国障害者芸術・文化祭なら大会」に出席するために奈良県を訪問した日に、小室圭さんと眞子さんの「婚約会見」が行われている。
しかも今回は、愛子さんが新潟で出席する「防災推進国民大会」は1年以上前から日程が決まっていたというのだ。
この大会の議長は、愛子さんの勤務先である日本赤十字社の社長が務めているというから、愛子さんは是非出席したいと考えたのだろう。
ということは、宮内庁がそれを知りながら、秋篠宮家側の「成人式」の日取りを何もいわずに受け入れたのだろうか。宮内庁の真意を測りかねる。
■小室圭・眞子夫妻は欠席
9月6日は皇居で儀式や行事が行われるそうだが、愛子さんはそれらに出席した後、当日夜にホテルで開催される身内による祝宴は欠席して、東京をたつという。
久しぶりに行われる「成年式」はそれなりの関心を集めることだろうが、そこに愛子さんがいないことは、画竜点睛を欠くことになり、両家の関係がぎくしゃくしはしないかと心配になるのだが。
「成年式」でさらなる注目を集めているのが、小室圭さんと眞子さんが出席するかどうかであった。
一部週刊誌では、今回、都内のホテルを借りたのは小室圭さん・眞子さん夫婦が式に出席するからで、彼らを式の当日までホテルの別の部屋に隠して、メディアに気づかせないためではないかという穿った見方もあった。
たしかに、秋篠宮夫妻は“恩讐を超えて”「家族で一緒にお祝いしたい」と2人を招待したようだ。しかし、「宮内庁は、アメリカ・ニューヨーク在住で悠仁さまの姉・小室眞子さんと眞子さんの夫・小室圭さんに対して儀式などへの招待状を送ったものの、2人が出席を辞退したことを発表しました。
宮内庁によりますと、2人が遠方に住んでいることや、幼い子どもがいることなどが理由だということです」(TBS NEWS DIG 8月28日)
■ニューヨークの2人は何を思う
あれほど可愛がっていた弟の“晴れの門出”にも出席しないというのは、小室圭さんと眞子さんの強い意志表示であろう。
小室夫妻といえば、週刊新潮(9月4日号)がモノクロページに、ニューヨーク郊外の巨大ショッピングモールを、Tシャツにジーパンというラフな格好でベビーカーを押して散策する一家の写真を掲載している。
「アイスクリームショップに立ち寄り、ドリンクを買おうとしたその瞬間、ベビーカーの中で子供がグズリだした。即座に抱きかかえてあやす眞子さん。母親としての貫禄は十分、もはや堂に入っている」(新潮)
秋篠宮も紀子さんも、今は悠仁さんの「成年式」を無事執り行うことに全力を挙げているから、眞子さんの不参加も織り込み済みで、そうショックはないのだろうか?
だが式が終わってしばらくしたら、何かと喧しいこの国のメディアから逃れて、彼らのように外国の地で自由に伸び伸びと暮らしてみたいと、秋篠宮夫妻もそう思うかもしれない。
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元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。
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(ジャーナリスト 元木 昌彦)