■AIに仕事を奪われる不安に効く処方箋
――いまこそ「人間ならでは」の力を思い出せ――
世界はAI革命の真っただ中。
他人事だと思っていたら、生成AIが日常に実装されてきて、あっという間に自分ごとになってきました。
ニュースやSNSでは、次々と「AIが仕事を奪う」「人間の存在価値が揺らぐ」という言葉も増えています。
確かに、ハリウッド映画で描かれるAIは、どこか怖く、敵として立ちはだかるイメージが強い。『ターミネーター』のスカイネットは人類を支配しようとし、『マトリックス』では人間は仮想世界に閉じ込められる。
けれど、日本の物語はちと違う。
『鉄腕アトム』は人間と共に成長し、守り合うヒーローだ。
『ドラえもん』は未来の道具を使いながら人を助け、笑顔をつくる。
この違いは、単なる舞台設定ではなく、未来に対する根本的な考え方の違いを映し出しているのです。
欧州ではすでに「第5次産業革命」と呼ばれる新しい潮流が始まっています。
AIやIoTを活用する現在の「第4次産業革命」が効率化を徹底的に追求してきたのに対し、第5次産業革命は「人間中心」をコンセプトに据えているのです。
人間が本来持つ創造性を活かし、社会全体の課題解決と経済発展を両立させようという動きです。
では、日本はどうか。
実は、この流れに必要な能力を日本人は昔から持っていました。
その一つが「感動力」。
■感動とは「期待を超える瞬間」
「感動力」は単なる感受性ではありません。
「感動」というと、映画を見て涙することや、音楽を聴いて心が震えることを思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし私が20年以上にわたり提唱してきた「感動力」は、それだけではありません。
感動とは「期待を超える瞬間」に生まれます。
人は想定していたことを少しでも超えたときに心を動かされます。
そしてその心の動きは、人を行動に駆り立てる力になるのです。
営業の現場では契約に、教育の現場では学びの深化に、組織の現場では人間関係の信頼に直結する。
つまり「感動力」とは、相手の期待をつかみ、それを超える表現や行動を生み出す力のことです。
これはAIには代替しにくい、人間固有の能力だといえます。
■なぜ今、「感動力」が必要なのか
AIは膨大なデータを処理し、答えを導き出すことに優れています。
効率や合理性の面では、すでに多くの分野で人間を凌駕しつつあります。
しかし、人間同士が関わる場面では「合理的な正解」だけでは物足りない。
たとえば、プレゼンの場でAIが生成した完璧な資料を提示するだけでは、人は動きません。
そこに「あなたのためにここまで考えた」「一緒に未来を描きたい」という熱意や物語が乗って初めて、心が動くのです。
組織マネジメントでも同じです。
管理職が部下に指示を伝えるだけなら、AIが最適解を提示できます。
しかし「自分がこの人のもとで働きたい」と思わせるのは、理屈ではなく感情です。
AIが不得意とするのはまさにこの領域なのです。
だからこそ今、人間にしかできない「感動力」を磨くことが、AI時代の最大の処方箋となるのです。
効率を極めるだけでは社会は豊かになりません。
そこに「心を動かす力」が加わって初めて、人間らしい未来がつくられるのです。
■「競争」から「共演」へ
AIとの関係を「人間 vs 機械」の競争として捉えると、人間は次第に劣勢になるでしょう。
しかし、日本的な発想で「共演」と考えると、可能性は大きく広がるのです。
AIは伴奏者となり、人間はその上に新しい物語を紡ぐ共演者になります。
ビジネスの現場でも、教育の現場でも、そして個人のキャリアでも、この「共演」という視点を持てるかどうかが大きな分かれ目になります。
■レクサス福岡東の奇跡
――「全員が主役」という感動力――
私が10年に渡り研修を続けてきたレクサス販売店「レクサス福岡東」は、「全員が主役」という感動創造手法で顧客の深い信頼を得て、感動を生み出し続けながら、常に全国レクサス店の中でトップクラスの成果を上げ続けています。
車を購入した時の一時的な熱狂気分ではなく、担当者はじめ、チームレクサスの持続性のあるアプローチに、顧客が驚き、ファンになるのです。
素晴らしいサービスをしていても、それがあくまで特定のスタッフの個人プレーであれば、顧客の心をつかむことはできませんし、業績も上がりません。
レクサス福岡東では、セールスコンサルタント、テクニカルスタッフ、受付での対応すべてを含めた関わり方が顧客の心を持続的に揺り動かし、信頼の絆につながれた感動のドラマを生み出しているのです。
客観的で厳しい視点を持つコンサルタントを職業とされている方から、次のような感謝状が届いています。
■顧客との対話から「忘れていた頼み」をリマインド
私は、自分が利用している、レクサス福岡東のセールスコンサルタントはもちろんのこと、サービススタッフも含めて全員の名前を記憶している。
これは覚えようとして覚えたのではなく、自然に覚えたくなる対応をしていただいているからに他ならない。
特に、私の担当セールスコンサルタントの対応は感動の領域に達する。
私の性格や趣味、行動パターンをコミュニケーションから洞察・把握し、常に私のニーズを先読みした対応をしていただいている。
時には私がお願いし忘れていることや、聞き忘れていることをリマインドさせてくれる能力は、担当セールスコンサルタントという関係を超越し、社会人、私の職業であるコンサルタントとして尊敬に値する。
これは、的確なアドバイスや対応を継続的にしていただいていること、会話の中で私が興味を示したことを直ちに調べて連絡をいただくといったことから派生する担当セールスコンサルタントへの信頼であると考えている。
レクサス車を購入検討している友人・知人へレクサス福岡東を紹介したいのは無論のこと、私自身が今後新車を購入する際には、レクサス車を第一候補とし、今の担当者を自分のセールスコンサルタントとして指名したいと考えている。
「主役」とは「主な役」と書きます。
つまりそれぞれのスタッフは、それぞれの持ち場で全員が、「主な役=主役」です。
劇団でいえば、ストーリー上の主役は「主人公」、または「主演」と呼ばれます。
舞台を共演する脇役も照明スタッフも音響担当も、すべての役割が「主役」なのです。
その意識が浸透したチームは、一人一人が仕事という作品に主体的・能動的に関わり、自己責任で能力を伸ばし、チームコミュニケーションも活発になります。
■「一対一」の関係性を大切にせよ
接客に限らず、世の中の優れた事業やヒット商品の多くは、そもそもの始まりが「一対一」の関係性だった確率が高いのです。
大切な人の役に立ちたい、目の前の人を喜ばせたいというシンプルな想いと熱意から、事業アイデアや商品やサービスの発想が生まれ、それが周りの人の評判を呼び、口コミで広がり、世の中を変える事業やヒット商品が生まれたのです。
大量生産大量消費の西洋文化と異なる成り立ちを持つ、日本の伝統文化には、一対一の関係性の中で「感動」を共有する視点が流れていたのです。
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平野 秀典(ひらの・ひでのり)
感動プロデューサー®/講演家/作家/俳優
一部上場企業でのビジネスマンとしてのキャリアと、20年にわたり「演劇」の舞台俳優として活躍した異色の経歴を持つ感動のスペシャリスト。ビジネスと演劇の融合から生まれた独自の「感動創造メソッド」を確立し、企業の業績向上や組織変革に劇的な成果をもたらしてきた実績を持つ。サントリーホールや紀伊國屋ホールといった一流会場でのビジネスセミナー開催や、現在も主演舞台に立つ俳優としての活動を通じて、感動力の新たな可能性を切り拓き続けている。
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(感動プロデューサー®/講演家/作家/俳優 平野 秀典)