※本稿は、山本久美子(じママ)『人生が圧倒的にラクになる! 夫婦ONE TEAM思考』(講談社)の一部を再編集したものです。
■「喧嘩しない=うまくいく夫婦」ではない
「うまくいく夫婦」と聞いて、どんな夫婦を思い浮かべますか? 喧嘩をしない夫婦、笑顔が溢れている夫婦等、人によって定義は様々だと思います。
ここで興味深いデータをご覧に入れましょう。こちらは20代~60代の男女各250人に行った、夫婦喧嘩をするか否かのアンケート結果です。
なんと「喧嘩をしたことがない」「めったにしない」という人が半数以上いることがわかりました。皆さんは、この結果をどう捉えますか? 私の見解はこうです。
「喧嘩しない=うまくいく夫婦」ではない。
お互いに意思疎通が取れていて、建設的な話ができているから喧嘩にならない場合もあると思いますが、単に喧嘩回避をしたいからと、自分の意見を飲み込んでいるケースもかなり多いと、過去の相談実績から感じています。
本書で定義する「うまくいく夫婦」とは、「人生がうまくいく夫婦」です。二人でタッグを組んで人生が好転していく夫婦と考えれば、その関係性がいかに強固なものか想像に難くないでしょう。
■入籍前に夫から言われたこと
私たち夫婦も、ワンチーム思考を持ちながら夫婦マネジメントを継続したおかげで人生が好転しました。
私たち夫婦も最初からうまくいっていたわけではありません。私は自分の意見を言おうとすると泣いてしまうタイプだったので、本音を伝えることに葛藤もありました。
なので夫と共に一進一退、対話を重ねながら、「夫婦ワンチーム」を構築していきました。その結果、家族・お金・時間・健康、すべてにおいて「良い」と言える状態に辿り着くことができたのです。
ここでは、私たち夫婦がこの9年間進んできた道のりを例にあげながら、なぜワンチーム思考だと夫婦がうまくいき、人生が好転していくのかを、理由を通じてお伝えしていきます。
日本には周囲への気遣いを美徳とする文化があり、本音と建て前を使い分けることが良しとされます。だから他人に遠慮する場面が多く、ストレスをためがちです。私も、他人は自分とは違うし、家族でも恋人でも夫婦でも、気遣うのは当然のこととして生きていました。
そんな入籍前のある日、夫から「外で仕事を頑張る分、家ではリラックスしたい。だからお互いに協力して、家を二人の安全地帯にしよう」と言われました。
■家が“安全地帯”だと会話や議論が増える
その時は夫の言ったことを具体的にイメージすることができませんでしたが、夫婦ワンチームになれている今は、本音で対話する快適さを実感しています。
「安全地帯=ストレスのなく安心できる場所」です。
そして会話の中から相手の価値観や大切にしていることがわかったり、仕事や人生に対してどんなビジョンを持っているかを知ることになります。加えて自分の意見も伝えていくことで、夫婦間の価値観をすり合わせていくことができるのです。
そんな時間を紡いでいけば、夫婦間の時間が充実しているという実感が持てるでしょう。そして次第に、夫婦共通の目標が生まれてくるはずです。
私は結婚と同時に会社を退職して専業主婦になった時、夫婦の将来像について夫と様々な議論を重ねてきました。そこで、「主婦ならではの目線で困っている人の役に立ちたい」という思いが生まれ、今に至っています。
これは、私たち夫婦の将来像が明確かつ、共通の目標も見えていたからこそ起きた現象です。夫婦共通の目標を達成するために、お互いがどんな状態でいるべきか、たらればの話を繰り返したことが影響しています。
■安心できると夫婦の土台が固まっていく
すべては会話が根本にあるのです。「何気ない雑談からアイデアが生まれた」と大企業のCEOがインタビューに答える姿をよく見かけますが、そのくらい会話の量は大切で、話せば話すほど何かを発見する確率は上がると考えています。
人間は基礎的なことをすっ飛ばして、楽して人生を良くしたいと思いがちです。
実際に夫婦間で安心して話し合える土台ができていないのに、あれこれチャレンジしようとして、崩れてしまったご家庭を私はいくつも見てきました。
「家が安全地帯になっていない=夫婦の土台ができていない」ということが大きく影響しているのです。まずは夫婦関係の土台を強固なものにしていく必要があります。
ワンチーム思考が持てるようになると、家が安全地帯になり、夫婦の会話が増え、結果としてお互いの理解が深まって、夫婦共通の目標を見つけることにつながっていきます。
■課題は「ふたりごと」として考えよう
夫婦の目標が一致すると、夫婦を語る時の主語がYou and Me(あなたと私)という単体同士ではなく、We(私たち)、つまり「ふたりごと」として考えられるようになっていくのです。
結婚初期に私たち夫婦がまず「ふたりごと」として考えたのは、子どものことでした。お互いに子どもが欲しいという気持ちは一致していましたが、妊娠に不安があったので、不妊検査をすることにしました。
当時の不妊検査は保険適用ではなく、不妊の原因は女性の場合が多いと私自身が思い込んでいたので、自分一人で行く準備をしていたのですが、夫から「俺も一緒に行く」と言われてとても驚きました。
夫は、二人で子どもが欲しいと決めたのだから、一緒に診てもらうのは当たり前という考えでした。私はそこで、夫がどんな課題に対しても、「ふたりごと」として考えていることを改めて実感したのです。
結果として私たちは、どちらも子どもができにくい体質だということがわかり、治療にいち早く取り組むことができました。
■口癖、浮気、金銭…気になる「予兆」は早めに指摘
夫婦関係がうまくいかずに離婚話が出てきた時や、トラブルが起こった時など、振り返るとあの一言が原因だったかもしれない、あの出来事から歯車が狂い始めた気がする、といった「きっかけ」が必ずあるはずです。
それが「予兆」です。
物事は悪いことが起きる前に、何かしらの予兆が現れていることが多いです。例えば、陰口ばかりを言う知人と距離を取ることができずに中途半端な対応をしていたら、共通の知人とのトラブルに巻き込まれてしまった、というように。
予兆は客観的視点を持つ誰かに指摘されないと気付けない場合も多いため、自分のことを我がことのように心配してくれる人が隣にいると、回避できる確率が上がります。逆に他人が指摘してくることは少ないと思ってください。それは、指摘が嫌悪されるケースが少なくないためです。他人にとっては嫌われてまで指摘することになんのメリットもないのです。
だから予兆が見えた時、夫婦間で伝えなければ、その予兆は放置されることになります。それを避けるためにも、必ず指摘しなければなりません。
■パートナーの意見は素直に聞く
例えば、会話の中で言い回しや表現が悪かったとしましょう。「その話しぶりは良くない」「口は災いの元である」というのは正論であっても、他人は指摘しにくいものです。だからこそ、パートナーが指摘をして正し、トラブルの予兆を潰していく必要があるのです。
その予兆も、笑って済ませられるレベルであればまだしも、病気や浮気、金銭トラブルにつながる事案の場合はどうでしょう。指摘をするのをためらったがために取り返しのつかないことになったら、きっと後悔すると思います。
このように、夫婦の話し合いを定期的に行い、何事においても「ふたりごと」と捉えられるようになると、二人にとって何が必要かが見えてきて、パートナーに対して言いづらいことがなくなっていきます。そして、あらゆる予兆を事前に察知して回避したり、早い段階で軌道修正することができるようになるのです。
大人になると様々な経験を積んできている分、プライドが高くなりがちです。自分の意見ばかりを貫き、相手の声に耳を傾けられない人も多いように感じます。でも、たとえあなたがそういうタイプだとしても、パートナーの話だけは素直に聞いてください。そこには様々な予兆やトラブルの種が隠れているかもしれません。
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山本 久美子 (やまもと・くみこ)
ジーアンドアーク代表
1985年生まれ。
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(ジーアンドアーク代表 山本 久美子 )