乾燥による未利用木質資源の高価値化を可能に

株式会社日比谷アメニス(本社:東京都港区、代表取締役:伊藤幸男)は、屋外で木質バイオマス燃料の乾燥・保管を可能にするシート「Toptex」について、『林野庁林業成長産業化総合対策補助金等「地域内エコシステム」技術開発・実証事業』に採択され、2021年度から2023年度の3年間にかけて実証を行い、木質バイオマスの乾燥・保管効果を確認しました。
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近年、木質チップの需要量が増加しており、品質の高い燃料材を供給するための「乾燥」が求められています。
燃料材の「乾燥」は、エネルギー量の増加につながるため、燃料としてのチップの使用量の減少につながります。また、木質チップの需要増加に対応するには未利用材(剪定枝や林地残材等)を利用することも重要であり、未利用材をチップとして乾燥することで品質向上、高価値化につながります。
一方で、供給量と需要量は通年で一致することはなく、供給者・需要者が木質チップを在庫として「保管」しておくことも必要です。この「乾燥」「保管」を、建屋の設置等のコストをかけずに行うには、一般的な丸太の自然乾燥に加え、木質チップの屋外自然乾燥を行うことが重要となります。
乾燥を行うには熱源が必要ですが、木質チップの堆積山は微生物による働きにより、底部から発酵熱が生じます。最下部から熱された内部空気は上昇気流に乗り堆積山の上部から流出されるに伴い、堆積山内部に外気が入り込むことで自然対流が生まれ木質チップが乾燥する性質を持ちます。

「Toptex」は透湿防水性を持つシートであり、外部からの降雨の侵入を防ぐとともに、内部から熱された空気を放出するため、発酵熱を利用した屋外における乾燥を可能にします。


[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/102555/4/102555-4-905f982a22665ac42a93a091ab3c8c45-307x269.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]

本実証は、木質バイオマス乾燥・保管シート「Toptex」を用い、技術的リスクが低く、投資額も大きくなく、全国どこでも実施可能な発酵熱による自然乾燥手法を確立し、地域内エコシステムづくりに貢献することを目的としました。実証地は、千葉県袖ケ浦市(2021~2023)と北海道厚真町(2022~2023)で、気候条件や樹種、部位、チップ形状など様々な条件下での「Toptex」の効果の確認と事業モデルの構築を行いました。
■主な実証結果

(1)Toptexをかけた場合とかけない場合の比較
約4~5か月後の含水率の変化を比較すると、Toptexを使用したチップは含水率の減少がみられましたが、シートをかけていないチップは含水率が2倍以上に上昇しました。
※含水率(乾量基準含水率)=(乾燥前重量-乾燥後重量)×100/乾燥後重量
(2)Toptexをかけた場合とブルーシートをかけた場合の比較
Toptexをかけたチップは約2か月間で含水率が-45.2%と減少し、ブルーシートをかけたチップは-26.5%と減少したことから、Toptexを用いた場合の方が大きな乾燥度合を確認できました。また、Toptexではチップ山の内部で全体的によく乾燥している傾向にある一方、ブルーシートでは湿気が籠り、上部で含水率の増加が見られました。

さらに、チップが持つエネルギー量を見ると、Toptexをかけたチップはエネルギー量の増加がみられる一方、ブルーシートをかけたチップはエネルギー量の減少が見られました。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/102555/4/102555-4-54cf3c3f19aed84431d2616dcf255480-359x269.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1 Toptexとブルーシートをかけたチップの比較[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/102555/4/102555-4-ce98f6e30cd99478f0b344bded8a8dad-359x270.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]

(3)Toptexを用いた乾燥に最適な対象物

木の部位によって乾燥度合に違いが出るかどうかを確かめるため、全幹、全木、枝条それぞれのチップ山を作り、約5か月間Toptexによる乾燥を行いました。
結果として、より多くの枝条分を含むチップ山は発酵熱による内部の温度上昇がみられるとともに、乾燥度合が大きいことが確認できました。
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/102555/4/102555-4-009591d28a46d9847f4984f400488704-1068x526.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2 木の部位による乾燥度合の比較
(4)Toptexの防水性

防水性の確認のため、降雨試験を行いました。Toptexはシートに角度をつけることで降雨の浸透を防ぐことが可能で、25mm前後の降雨量で、15°の角度をつけると94%、30°で96%、45°で98%の排水率を確認しました。以上から、
- Toptexは降雨を防ぎ湿気を逃がすことで「保管」を可能にするとともに、発酵による「乾燥」をしながらエネルギー量を増加させる効果があり、木質チップの品質を向上させる。

- Toptexは枝条分を含むチップの乾燥に最適。公園の剪定枝や林地残材などをチップ化し、Toptexによる乾燥を行うことで、未利用の木質資源を高価値化することにつながる。

[表: https://prtimes.jp/data/corp/102555/table/4_1_63a6cd1ad3c60a288c24c1430f291a40.jpg ]
透湿防水性のシートであり、木質チップの乾燥や丸太、PKSなどの保管に最適。対象物に傾斜を持たせて堆積し、Toptexを布設。シートはハサミで適当な長さにカット可能。補修・延長用テープを利用することで、複数のシートをつないで使用することも可能。

[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/102555/4/102555-4-2d92d713d858af1d5f15370f4a9ca1f6-850x638.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
Toptexの表面[画像7: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/102555/4/102555-4-124d450fbdf8cd4fff8e62d00b8a0c34-3264x2448.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
Toptexの荷姿
- 原料     :耐紫外線ポリプロピレン
- シート寸法  :50m×6m(=300 m2)
- 引張強度   :12.5kN/m
- 製品重量   :200gr/m2
- 耐久年数   :約5年
- 出荷について :ロール状で配送、納期1~2週間

<株式会社日比谷アメニスについて>

「Amenity Scape Creation=快適空間の創造」を企業理念に、環境づくりの立場から緑化事業を展開する他、近年では公園関連の指定管理者として維持管理のみならず運営までを行う事業を展開し、花と緑を活用し真に豊かな社会づくりを創造しています。
日比谷アメニス コーポレートサイト

【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】
株式会社日比谷アメニス
環境エネルギー部
担当:和田 kankyo@amenis.co.jp
TEL:03-3453-2416
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