
[J1第36節柏レイソル1-1アルビレックス新潟、9日、千葉・三協フロンテア柏スタジアム]
17位柏と16位新潟による残留争いはドロー決着で終わった。
この日、右センターバックとして先発出場した柏DF立田悠悟は、試合終了の笛が響くと同時にひざから崩れ落ちた。
「サポーターに勝利を届けたかった」と唇を噛んだ背番号50。直近3試合ではいずれも終盤に失点し、勝点を取りこぼしたイレブンの課題は明白だった。
「ロスタイムにやられてしまう展開が続いていたので、流れを断ち切る意識で臨んでいました」
プレーが止まるたびに仲間を鼓舞し、細かな指示を与え続けた立田。身長191センチの上背を生かしたヘディングと、リーチの長いスライディングで、何度も新潟の攻撃を防いだ。
得意のビルドアップでじわじわとゴールに近づいてくるアウェイチーム。対するホームチームはぐっと堪える展開が続く中、後半29分この日2本目のコーナーキックを獲得した。
アウトスイングの難しいボールだったが、中央の空いたスペースに入り込んだFW細谷真大(まお)が頭で合わせて先制点を奪取。ストライカーは「狙っていた」と口にし、今季リーグ戦6得点目を飾った。
細谷のゴールに熱狂する日立台だったが、イレブンにとっての勝負はここから。
相手陣地におけるコーナーフラッグ付近でプレー時間を増やすという狙いを、試合序盤から持っていた柏。もぎ取った1得点を死守するべく、ピッチの端で時計の針を進めた。
立田は「(試合中)ずっと角で時間を使おうとしていました。
少しでも自陣ゴールから相手を遠ざけて、前線の個で相手を叩く。
その明確なビジョンが、JリーグYBCルヴァンカップのファイナリストを1-0まで追い込んだわけだが、その狙いは必ずしもポジティブに働かなかった。
勝利に徹するプレーを続けられるか
先制点以降、残り時間が10分以上残っていたとしても、角に向かって走り続けたイレブン。
背番号50は「あそこ(角)でのやり方というか、簡単に相手ボールにしすぎだなと思って」と改善点を口にした。
「クリアにしても、あの時間帯(試合終盤)は相手陣地にしっかりと蹴り上げて、押し上げるべき。相手は上手いので、簡単に選手が(自陣に)入ってくる。もう少しハッキリしないといけなかったと思います」
なかなか敵陣地でのプレータイムを増やせなかった柏。一方の新潟はFW長倉幹樹(もとき)とMF長谷川元希(もとき)を中心に、細かいパスワークでホームチームのゴールに迫った。
すると後半アディショナルタイム4分。柏は自陣右サイドから上げられたクロスボールを新潟FW小見洋太に折り返されると、最後はMF藤原奏哉(そうや)にハーフボレーを叩き込まれて失点した。
試合終了後、なかなか立ち上がれない柏イレブン。

柏は次戦、30日午後2時からホームでJ1ヴィッセル神戸と対戦する。勝利すればJ1残留が決定する重要な一戦となる。
立田は「やっていることは絶対に間違っていない。自分たちを信じてやるしかない」と、決戦に向けて意気込んだ。
試合終了後、サポーターは選手たちを鼓舞するように拍手を送った。選手たちが抱く『決して戦えていないわけではない』という実感は、ファンも感じているようだ。
今季残り2試合。柏の目指す『勝利に徹するフットボール』は実を結ぶのか。
(取材・文 浅野凜太郎)