アル・アハリの優勝で幕を閉じた2024-25シーズンのAFCチャンピオンズリーグエリート。
サウジアラビアでの集中開催だったこともあり、地元サウジ勢が3チーム準決勝進出を果たす一方、東地区から唯一ベスト4入りした川崎フロンターレが決勝へ進み、Jリーグ勢の意地を見せた。
ただ、日程を含めあまりに“サウジ寄り”な状況に対して批判の声は多い。中国の『新浪』において、『足球報官方微博』が今大会について、「少なくとも広報・マーケティングの面では完全に失敗だった」としたうえで以下のように総括している。
「アジアサッカー連盟(AFC)はUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)を完全に模倣してAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)を立ち上げ、これをアジアクラブ大会の世界的な影響力と商業価値を高める“切り札”として売り出した。
昨年からAFCは、ACLEのブランドポジショニング、ビジュアルアイデンティティ、広報戦略、商業運営に至るまで、全面的かつ深く統合してきた。すべてはUCLに倣った“プロダクト”としての広報・マーケティング戦略の一環だった。
しかし、ACLEの初年度が終了した今、AFCが目指した“プロダクト”は、期待された効果をまったく得られていない。ACLEは他の大陸のチャンピオンズリーグ同様、大陸固有の個性やフットボール文化を備えるべきだったが、実際にはサウジアラビアのビッグクラブによる資本主導のサッカーフェスティバルにすぎなかった。
準決勝に川崎フロンターレが踏ん張らなければ、まるで『欧州の落ち目スターたちのアジア巡業』としか思われなかっただろう。
(略)ACLEのシーズン設計、試合方式、外国人選手ルール、ブランドデザインや広報マーケティング戦略に至るまで、すべてが欧州の“安価な模倣”。大陸大会として、欧州のコピーを目指している限り、その文化的独立性と識別性は失われていく。
今回のACLEは、表面上は“サウジの成功”で幕を閉じたが、アジアサッカー全体の育成と発展という視点では、間違いなく失敗だ。これは“石油マネーで雇われた欧州の落ち目スター軍団”の勝利であり、アジアサッカーの勝利ではない。
サッカー界がグローバル化し、欧州中心化が進む中、他の大陸の大会が自らの個性とスタイルを守り抜くには、欧州との差別化こそが鍵となる。サウジやAFCのように、ACLEを欧州大会の“廉価版”に仕立てるような姿勢では、真の存在感は得られない。
(略)AFCチャンピオンズリーグやアジアカップこそが、アジアサッカーの象徴であり、独自のアイデンティティと個性を取り戻さなければ、真の尊重は得られない。
サウジリーグ幹部の言葉にもあるように、『クリスティアーノ・ロナウドのようなスター選手は世界の注目を集めたが、サウジサッカーのスタイルや個性は見せられていない』。この意味で、ACLEの失敗は、サウジリーグの失敗と根本的に同じ問題を抱えているのである」
UEFAチャンピオンズリーグを模した今大会は、期待された効果をまったく得られておらず、「サウジアラビアのビッグクラブによる資本主導のサッカーフェスティバルにすぎなかった」と断罪。
実際、たとえばUCLにならってACLEでも今季から“スイス式”のリーグフェーズを採用したものの、アジアは地理的に広大すぎるため完全な実施ができず、東西アジアでグループを分けるしかなかった。
その結果、Jリーグ勢は3チームとも対戦相手が同じとなり(川崎と神戸に至ってはホーム戦とアウェイ戦の顔触れも同じ)、抽選段階で大会の魅力が大きく損なわれている。
2028-29シーズンまで暫定的に準々決勝以降はサウジアラビアで集中開催されることが決まっているACLE。今大会で露見されたいびつな状況がしばらくは続いていきそうだ。