
現在のサッカー界では選手はクラブにとっての商品でもあり、取引することによって発生する移籍金は経営において重要な要素の一つである。
ただ、時には意図的にクラブとの契約満了を待って「0円で退団」した選手も。
キリアン・エムバペ
契約満了で退団したチーム:PSG
加入したチーム:レアル・マドリー
キリアン・エムバペがPSGからレアル・マドリーに移籍するという噂は、何年にも渡って流れ続けた。彼は2022年の夏にスペインへと渡るはずだったが、法外な条件の契約を手渡されたことでパリに残ることを決断した。
それによってレアル・マドリーのファンから大いなる反発を受けたものの、それから2年が経過した昨年、エムバペは「移籍金0円」かつ「給与半額にダウン」という条件で改めてスペインへとやってきた。
デビューシーズンで39ゴールを決めるなど印象的なプレーはあったものの、リーガのタイトルは獲得できなかった。とはいえ彼にとっては大いなる一歩であったはずだ。
ロベルト・レヴァンドフスキ
契約満了で退団したチーム:ボルシア・ドルトムント
加入したチーム:バイエルン・ミュンヘン
レヴァンドフスキが「0円移籍」でボルシア・ドルトムントから宿敵バイエルン・ミュンヘンへと移ることは、2013-14シーズンの最中にはすでに公然の秘密だった。ドルトムントでの3年間でブンデスリーガ通算66ゴールを記録し、移籍後のバイエルンではさらに覚醒。ゲルト・ミュラーに次ぐクラブ史上2位の得点数を記録した。
ただ、ドルトムントのファンは彼の移籍を未だに許しておらず、2025年のCL準々決勝でバルセロナの一員として帰還した際は容赦なくブーイングが飛んだ。これに対し、36歳のレヴァンドフスキは「ファンの気持ちもわかる。でも、僕の気持ちも理解してほしい。ドルトムントには感謝しかないし、良い思い出しかない」と語っていた。
ポール・ポグバ
契約満了で退団したチーム:マンチェスター・ユナイテッド
加入したチーム:ユヴェントス
ポグバは2012年当時、マンチェスター・ユナイテッドの将来を背負う才能として注目されており、アレックス・ファーガソンの元で10代にしてトップチームデビューを果たした。しかし、クラブの契約延長オファーを拒否し、移籍金ゼロでユヴェントスへと渡るという大胆な選択をした。
この移籍はユナイテッドにとって大きな痛手であり、後に多額の移籍金を払って彼を呼び戻すことになる。ポグバはイタリア・セリエAで中盤の主力としてブレイクし、世界的な名声を得ていた。
ところがイングランドに戻った彼は不安定なプレーに終始し、最終的に再びフリーでユヴェントスへと移籍することになる。
ミヒャエル・バラック

契約満了で退団したチーム:バイエルン・ミュンヘン
加入したチーム:チェルシー
2006年にバラックがバイエルン・ミュンヘンをフリーで退団した際、チェルシーはレアル・マドリーやマンチェスター・ユナイテッドに先んじて獲得に動き、契約をまとめた。
彼はバイエルンで契約満了に近づいているとき「重要な試合で失敗ばかりしている」「退団に備えて体力を温存している」などの批判を受けていたが、イングランドに移籍して再び復調を見せる。
スタンフォード・ブリッジでの4年間で彼は中心的な存在になり、FAカップ3回、プレミアリーグ1回、リーグカップ1回の優勝を果たしている。
ソル・キャンベル

契約満了で退団したチーム:トッテナム
加入したチーム:アーセナル
キャンベルがトッテナムを2000-01シーズン終了後に退団したとき、すでに彼はビッグクラブへの移籍にふさわしいほどの突出した存在だった。プレミアリーグ中位のクラブに過ぎなかったトッテナムには過ぎた選手であった。
しかし、契約満了に持ち込んだキャンベルが移籍先として選んだのはトッテナムの最大のライバルであったアーセナルだった。
トッテナムのサポーターはこの裏切り行為を決して許すことなく、キャンベルを「ユダ」だと揶揄することになった。
アドリアン・ラビオ

契約満了で退団したチーム:PSG
加入したチーム:ユヴェントス
ラビオはPSGのアカデミー出身で、若くしてトップチームに定着した逸材だったが、代理人である母親の強硬な交渉もあり、クラブとの関係は次第に悪化していった。
特に2018年以降は契約延長をたびたび拒否し、チームから外される場面も多かった。最終的には2019年夏、ユヴェントスとフリーで契約してクラブを去った。
しかも彼はユヴェントスを退団したあとにパリ・サンジェルマンの最大のライバルであるマルセイユに移籍するというウルトラCを見せ、ますますファンを挑発する存在になっている。