【インタビュー】伊東純也を彷彿!J1町田の“切り込み隊長”平河悠、視線の先には「4月の最終予選」
【インタビュー】伊東純也を彷彿!J1町田の“切り込み隊長”平河悠、視線の先には「4月の最終予選」

今季、J1初挑戦となるFC町田ゼルビア。このオフも精力的な補強を行い、日本最高峰の闘いに備えている。

そうしたなか、チームと同じく「初J1」で注目される選手が、23歳の平河悠だ。

昨季はJ2で35試合に出場し6ゴール。自身初代表となるU-22日本代表にも選出され、9月にはパリ五輪予選のU23アジアカップ予選に出場した。

両サイドでプレーできるが、とくに右サイドの奥まで行ける突破力は、同じ大卒の伊東純也を彷彿とさせるものがある。

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そこでQolyは、パリ世代屈指のサイドアタッカーである平河を直撃!

インタビュー後編では、プロとしての1年目を戦い抜いた2023シーズンや、初めて背負った“日の丸”などについて聞いた。

「感覚的な部分だけでしてきたサッカー」からの転換

――平河選手にとって2023年はどんな1年でした?

シーズンの初めに「J2優勝してJ1昇格する」という強い気持ちを持ってチームは始動しました。

それに相応しい選手・スタッフが揃い、この目標をまず達成できたということを1年目で経験できて、本当にこれからのサッカー人生の中で財産になると思います。

その中で自分は試合にも多く出させてもらって、サッカーだけではなく色々なことを学ばせてもらった1年だったかなと思います。

――町田へ正式に加入し、黒田剛監督が就任されました。前の年と比べてチームとして変わった部分、変化はやはり大きかったですか?

そうですね。コンセプトもサッカーも指導方針も全然違うので。イレギュラーさはそこまで感じなかったですけど、全く違いました。

――黒田監督からはシーズン前、どんなことを言われていましたか?

サイドハーフですけど、やはり守備のところは結構言われました。前線の選手でもサボらないところから、ポジショニング、プレッシャーの掛け方など。キャンプの時からミーティングでもサイドハーフの選手はとくに言われていました。

開幕からそれが頭にインプットされていたので、前年とは違い守備意識を高くやれましたし、そこは体現できたところだと思います。

黒田監督はサイドに仕掛ける選手を置きたがるので、サイドハーフが持ったら仕掛けて、打開して、中央にいる良い選手がいっぱいいるのでそこに合わせるという形をキャンプからやっていました。

そこを強みにできた分、1年間を通してJ2でゴールが取れていたと思いますし、守備と攻撃の嚙み合わせが良かったのかなと思います。

――開幕戦はホームのベガルタ仙台戦。あの試合で引き分けて(0-0)そこから6連勝と、すごく良い形でシーズンに入れたのかなと思います。うまく入れた要因は今振り返るとどんなところにありました?

黒田監督がよく言うように、ゴール前の守備のところはキャンプからすごく強く言われていました。そこのところで開幕から相手を上回れたんじゃないかと思いますし、失点が少ない分、点を取った時の締まり方も違います。

前線に点を取る選手がたくさんいたので、そういうところが噛み合って連勝に繋がったかと思います。

――とくに印象に残っている試合は?

たくさんありますけど。前半戦の清水エスパルス戦(第17節)とかは良い勝ち方ができたと思います。

相手は前の年、J1でやっているチームだったので、モチベーションじゃないですけどメンタリティの部分でやっぱり勝ちたい思いが強かったので結構印象に残ってます。

――黒田監督のもとで1年間プレーをして、とくに成長した部分は?

やっぱり守備のことを結構言われました。これまでは頭をあまり使わず、感覚的な部分だけでサッカーをしてきました。それが、相手を見て、判断しながら守備をしたり守備のスイッチを入れるといった部分は本当に学びました。

攻撃の部分でも、自分は仕掛けたりゴール前のところが好きなんですが、そういうところを最大限に活かしてくれるサッカーを推奨してくれたので、そこは今年プロに入って磨けた部分でした。本当に感謝しています。

「4月の最終予選に選ばれたい」

――6月にはU-22日本代表の活動に参加されました。世代別を含め初めての日本代表招集だったとのことですけど、同世代トップの日本人選手たちの中に入って感じたことは?

初めての代表だったので難しさもありましたが、やれない感覚はなかったです。

同世代の中での自分の立ち位置や、自分に今何が足りないのかが代表の活動で分かりました。そこは今も大事な課題になっていますし、本当に良い経験ができたと思っています。

――クラブが配信した藤尾翔太選手との動画(上記)を拝見したんですけど、人見知りで最初入っていくのに苦労されたとか?

代表に限らず、自分は結構人見知りで口数もそれほど多くないです。積極的にいくというタイプではないので難しかったですけど、別に焦りはないので、自分のペースで少しずつコミュニケーションを取っていました。

サッカーの時には自分を出せるのでそこを分かってもらえるといいかなと思っています。

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――9月にはパリ五輪予選を兼ねたU23アジアカップの予選でバーレーンへ遠征しました。日の丸を背負った真剣勝負の舞台。どんな印象を持ちました?

海外の気候やピッチというのは本当に感じたことのないものでした。国を背負って戦うことは本当に責任を感じますし、恥じないプレーをしないといけないなと強く思ってやっていました。

3試合あったなかで、1試合しか出られなかった現実を受け止めてそれ以降の自チームでの活動をやっていました。あそこに出たからには2024年4月の最終予選に選ばれたいという、強い気持ちを持っています。

まずは自チームで活躍することが何よりのアピールになるので、選ばれるように頑張っていきたいと思います。

――日本代表では、伊東純也選手が右サイドで素晴らしい活躍を見せています。同じポジションの選手として平河選手が見た時に、伊東選手はどういう選手だと感じます?

スピードという武器があり、海外の中で見てもそこに長けているのは日本人にはなかなかないストロングだと思います。

それだけに頼らず、足もとの技術もある分相手に引っかからずにクロスまで行けますし、得点することもできる。本当にすごい選手だなと、まだ全然遠い存在ですけど思っています。

【インタビュー】伊東純也を彷彿!J1町田の“切り込み隊長”平河悠、視線の先には「4月の最終予選」
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――平河選手の左サイドでのプレーも好きなんですが、個人的に右サイドで奥まで行けるのがすごいなと感じています。そういう選手は意外と少ないです。「右サイドで右利きの選手としてプレーする」こだわりみたいなのはあったりします?

右サイドで右利きというのは最近だとあまり聞かないですし、その分右利きでの持ち方によって相手の対応も変わってくれます。

メリットもデメリットもありますけど、そこで伊東純也選手みたいなことができれば一番理想だと思うので、右サイドでも左サイドでも自分の武器を出しながらプレーできればいいなと思います。

――サイドでボールを持った時、ボールを置く位置や駆け引きがすごく面白いなと感じます。ボールを触ったり相手を見ながらどんなふうに判断をしていますか?

そこまであまり考えてはいないですけど、相手と駆け引きをして自分の仕掛けやすい間合いを作りながら勝負すれば、だいたい勝てると思っています。そこにいかに持っていけるかだと思います。

――いま好きな選手や目標としている選手はいますか?

あまりサッカーを見るタイプではないので分からないんですが、やっぱりドリブラーは見ていて面白いなと思います。(エデン)アザールだったりネイマールだったり、今の日本では三笘薫選手や伊東純也選手もそうです。

自分にできないようなこともできる選手がたくさんいるので、「なりたい」というよりは「うまいな」と思いながら楽しく見ているような感じですね。他のプレーヤーというよりは、自分の目標に対してフォーカスしてプレーしたいと思っています。

――2024シーズンはJ1を戦います。どんなイメージを持っているか教えてください。

J1になったらレベルも技術も相当上がると思いますが、自分が今持っているものやチームとしてやろうとしていることを出すことが全てだと思います。気負わずにそこをぶつけたいです。

――最後に、FC町田ゼルビアのファン・サポーターへメッセージをお願いします!

本当に1年間熱い応援ありがとうございました。J2優勝&J1昇格という目標を立てて、1年間ともに頑張ってこの目標を達成できたことを本当に嬉しく思います。

初めてのJ1という舞台なので、引き続き応援よろしくお願いします。

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注目の開幕戦では、ホームでガンバ大阪と対戦することが決まっているFC町田ゼルビア。大型補強に注目が集まりがちだが、生え抜きとも言える選手の中からも平河悠のような逸材が台頭している。

チームとともに初めて迎えるJ1の舞台。パリ五輪を目指す23歳がどんなプレーを見せてくれるか楽しみだ。