古巣対戦のガンバ大阪DF半田陸、激戦の末敗北も「温かく迎えてくださったので、すごくうれしかったです」
古巣対戦のガンバ大阪DF半田陸、激戦の末敗北も「温かく迎えてくださったので、すごくうれしかったです」

[天皇杯3回戦、J1ガンバ大阪4(3PK4)4 J2モンテディオ山形、7月16日、NDソフトスタジアム山形]

G大阪はPK戦の末モンテディオ山形に惜敗。残るコンペティションはリーグ戦のみとなった。

2014年度大会決勝カードとなった対決は、計8得点を奪い合う激戦に。2得点を先行されるも、FWイッサム・ジェバリの2得点、DF黒川圭介のゴールで食い下がった。

延長後半11分に山形に4得点目を許す絶望的な状況に追い込まれるも、同17分にDF中谷進之介が同点弾を決めて振り出しに。PK戦ではFW宇佐美貴史、FW満田誠が失敗して大会敗退が決まった。

この日山形アカデミー出身のDF半田陸がフル出場し、試合後は山形ゴール裏でサポーターにあいさつをした。

故郷で新たな誓いを胸に残りシーズンの意気込みを口にした。

古巣と対戦した山形史上最高傑作

山形で生まれ育った右サイドバックは、古巣相手に成長した姿を見せつけた。

半田は素早い寄せで相手のチャンスメイクをくじき、機を見たオーバーラップからの攻撃参加と攻守で違いを作り出した。

古巣対戦のガンバ大阪DF半田陸、激戦の末敗北も「温かく迎えて...の画像はこちら >>
球際で力強い守備を見せた半田(右)

120分間奮闘し続けるも、古巣との対戦はPK戦の末に惜敗した。

「自分たちの入りが悪くて先に失点しましたけど、後半に逆転できて、その中でも点の取り合いで最終的に追いつけました。PK戦で負けて、自分たちの力不足という感じです」と視線を下げた。

初の古巣対決で成長した姿を山形に見せつけたが、見知ったかつての仲間たちは半田に自由を与えないように粘り強く戦い続けた。

「山形は能力のある選手が多いので、すごく手ごわかったですね」と古巣に手を焼いた。

山形アカデミー最高傑作と評価を受ける半田は世代別代表の常連であり、2023年3月のキリンチャレンジカップに臨む日本代表に初招集を受け、翌年にはパリ五輪に臨むU-23日本代表メンバーに選出された。

負傷などの影響により、五輪出場は果たせなかった。今月韓国で開催されたEAFF E-1サッカー選手権の代表選出を期待されていたが、半田は選ばれなかった。

未だ代表デビューを飾れていない状況だが、G大阪の背番号3は「クラブチームでの結果や活躍が絶対に必要。代表という気持ちも大事ですけど、いま自分がいるチームで自分のできることを毎試合、毎試合やるだけかなと思います」とブレずに地道な努力で日の丸を目指す。

古巣の期待を一身に

山形アカデミー最高傑作と称賛される男は、地元山形では大きな期待を受けている。試合後にゴール裏へあいさつに訪れた際、万雷の拍手で迎い入れられた。

古巣対戦のガンバ大阪DF半田陸、激戦の末敗北も「温かく迎えてくださったので、すごくうれしかったです」
古巣対戦のガンバ大阪DF半田陸、激戦の末敗北も「温かく迎えてくださったので、すごくうれしかったです」
山形サポーターが集うゴール裏であいさつする半田

半田は「まず天皇杯の(トーナメントの)山を見たときに、多分当たるかなと楽しみにしていました。それが実現して、山形に帰って来れてすごくうれしかったです。 サポーターの皆さんも最後あいさつに行ったとき、山形時代の自分のユニホームをたくさん持って温かく迎えてくださったので、すごくうれしかったですね」と笑みをこぼした。

老若男女を問わず「陸ー!」と名前を叫ばれ、「頑張れ」と温かい言葉をかけられた半田の表情は満面の笑みだった。

山形出身の選手として、集まる期待の重さや意味をしっかりと理解している。

「山形県民の皆さんに勇気を与えられるようなプレーではそんなに伝わらないと思うので、結果を伝えていければと思います。サッカー少年少女たちのお手本に目標になれるような選手に。これからどんなところへ行っても、全力でやっていければと思います」と果たすべき義務を力強く口にした。

チームの残すコンペティションはリーグ戦のみとなり、現在の順位は20チーム中10位と上位進出を虎視眈々と狙っている状況だ。

「天皇杯もルヴァン(杯)も負けて、リーグ戦にいい意味で集中できる。全員でリーグ戦に向けて、連戦ですけど、しっかり回復してやっていければと思います」と前を見据えた。

古巣対戦のガンバ大阪DF半田陸、激戦の末敗北も「温かく迎えてくださったので、すごくうれしかったです」
古巣対戦のガンバ大阪DF半田陸、激戦の末敗北も「温かく迎えてくださったので、すごくうれしかったです」

モンテディオ山形アカデミーが生んだ最高傑作は西の名門で力強く躍動している。いつの日かサムライブルーを身に着けて、自身を応援する人々に勇気や元気を届けたい。

(取材・文・撮影 高橋アオ)

編集部おすすめ