
[天皇杯1回戦、東洋大 4-2 仙台大、24日、みやぎ生協めぐみ野サッカー場Bグラウンド]
1回戦が全国各地で行われ、全日本大学選手権(インカレ)優勝のアマチュアシード東洋大が、宮城県代表仙台大を4-2で打ち負かして2回戦へ駒を進めた。
この日右ウィングで先発出場した東洋大MF相澤亮太(4年、大宮アルディージャU18)は、切れ味鋭いドリブルで右サイドを支配。
4年目で立ったトップの座
相澤の弾丸のように突き進むサイドアタックを、仙台大は食い止める術がなかった。前半14分に相澤のドリブルで運んだボールがこぼれ球となり先制点を演出し、3-2の前半45分には絶妙なクロスでダメ押しの4得点目をアシスト。推進力のあるドリブル、正確なクロスと右サイドで抜群の存在感を見せた。
4得点目をクロスからアシストした相澤(左)「この舞台でキャプテンを任かしていただいて、スタメンで出る試合も久しぶりでした。『やってやろう』という気持ちで試合に入れました。 2得点にかかわれて、すごく良かったと思います。まず試合に勝って2回戦に進出できたので、すごくうれしい気持ちです」と笑顔が弾けた。
これまで相澤は1~3年までインディペンデンスリーグを主戦場とするセカンドチームでプレーしてきた。東洋大は昨季6人のJリーガーを輩出し、創部初のインカレ制覇を成し遂げるなど黄金時代を築いた。
ただ輝かしい光には必ず影がある。3年間トップチームに立てなかった背番号8は、地道に努力しながらトップチーム昇格を目指していた。
「悔しさはありましたけど、上の彼らを見ていて、自分に足りないものもありました。
いつの日か『こいつらと一緒の舞台に立つ』と諦めずに精進を重ねた結果、4年目にしてトップチーム昇格を果たした。
「自分の代で去年Bチームだったの選手は僕だけだったので、1年間苦しい思いをしました。 ですけど、同期が頑張っている姿を見て、すごく喜ばしい気持ちがあったので、いつかこいつらと一緒にやりたい」と、ポジティブな気持ちを切らさずに駆け上がってきた。

だが今季は関東学生1部の先発出場数は1試合のみと苦しみ続けていただけに、この日つかんだチャンスを結果につなげなければならかった。この日は1アシストと得点に絡めたため、自信を手にした。
「特徴のドリブル、スピードを出せたこともそうですし、得点に関われたことがすごく良かったです」と胸を張った。
ジャイアントキリングを果たしてさらなる成長を
大宮の下部組織で育った相澤は、1学年上のセレッソ大阪MF柴山昌也から可愛がってもらっていたという。通っていた浦和北高の先輩でもあり、寮生活もともにした間柄だ。右サイドを主戦場とするレフティの先輩をロールモデルにしながらプレーを研さんしてきた。
「プレーモデルというにはほど遠いですけど、1個上の柴山選手を見本にしています。彼はすごく謙虚で、努力家です。

ただ一方で課題も多くあり、井上卓也監督は「あの(1得点目の)ファーストチャンスでシュートを打ってほしかった」というように決定力を求められている。
「決めるところは自分の課題ですね。人生を通しても、そんなにシュートを決めてきた選手ではないです。でもサッカーは得点を取ることが一番うれしいです。アシストより得点というところがあるので、大舞台で決めたいと思っています」と課題の克服を誓った。
プロ志望の背番号8は、就職活動を並行しながらJリーガーの道を模索している。2回戦で当たる柏との一戦でスカウト陣にアピールしたいところだ。
「Jリーグのチームと真剣に戦える舞台が天皇杯だと思うので、楽しみたいという思いがありますけど、ジャイキリを起こしてやろうという気持ちは多分みんな持っていると思う。その中で自分がアピールできたらいいかなと思っています」と言葉に力を込めた。
意中のクラブは現在J2で2位に付けているRB大宮アルディージャだ。意中のクラブでプレーすることが夢であり、いつの日かNACK5スタジアム大宮に立ちたい。
「自分を成長させてさせていただいたクラブでもありますし、自分のサッカー人生で大宮に行っていなかったら、いまの自分はないと思っています。NACKでプレーすることはすごく恩返しになると思っているので、プレーしたいという気持ちがありますね」と自身が抱く夢を掲げた。

目標を実現させるためにも、柏と対戦するチャンスをつかみ取った右ウィングは、アップセットを実現してプロ内定のチャンスをつかみたい。
「ジャイキリを起こしてやろうという気持ちはチームもあると思うので、勝利をつかめたらうれしいです。自分の出せる100パーセントの力を出して、いい結果が出せたらと思います」と闘志を燃やす。
3年間日陰の中で黙々と成長の歩みを止めなかった相澤は、この大舞台で大きく進化しようとしている。東洋大の新背番号8の活躍から目が離せない。