2024シーズン佳境!各クラブの立ち位置と残りの試合について【18位:ジュビロ磐田編】
2024シーズン佳境!各クラブの立ち位置と残りの試合について【18位:ジュビロ磐田編】

J1リーグも残すところ5試合となりました。

残留争い、優勝争い、そしてACL圏内争いと激化していくそれぞれの闘い。

今回はジュビロ磐田の現状と立ち位置、そして残り5試合について考えみようと思います!

ジュビロ磐田

18位:8勝 8分 16敗(32試合)、勝点32

得点37、失点53、得失点差-16

現在のベストスタメン

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夏の移籍期間の動きと補強について

【IN】

• 渡邉りょう(7/29)[C大阪/期限付き]

• ジョルディ・クルークス(7/16)[C大阪/新加入]

• 中島佳太郎(7/10)[栃木/復帰]

• ハッサン・ヒル(7/10)[イフド・ブネイ・サフニン(イスラエル)/新加入]

【OUT】

• 大森晃太郎(8/20)[讃岐/期限付き]

• 鹿沼直生(7/15)[徳島]

• 小川大貴(7/8)[千葉/期限付き]

• 石田雅俊(6/27)[大田ハナシチズン(韓国)]

• 藤原健介(6/17)[北九州/期限付き]

苦しいシーズンとなっているジュビロ磐田。CHの鹿沼直生と藤原健介を失ったことは手痛いですが、ジュビロも残留に向けて戦力にテコ入れを行いました。

セレッソ大阪から渡邊りょうとジョルディ・クルークス、海外からハッサン・ヒルを獲得。特にハッサン・ヒルの対人とカバーエリアの広さは、失点が重なっているジュビロ磐田にとって大きな戦力です。潰し切れる強さも兼ね備えているので、2ndラインを飛ばしてくる縦パスに対しても対応できます。

またチームとしてSBを高い位置に押し出すジュビロ磐田は、SBが空けたスペースのカバーをCBが行う回数が非常に多い。ここのカバーを行えるだけのスピードとアジリティも兼ね備えているので、残留に向けて重要な補強になっています。

さらに渡邊りょうとジョルディ・クルークスも特徴的な選手で、攻撃のバリエーションを増やす補強として理にかなっていると思います。

渡邊りょうはアジリティに加えて、プレスの口火役にもなっています。背後も伺い、ターゲットマンとなれるので、確実にチームに多くのものをもたらしています。

SBの攻撃参加の多いジュビロ磐田なので、ジョルディ・クルークスのキープ力は安全に攻撃の厚みを加えることが可能。そしてそこから放たれる高精度のクロスは渡邊りょうやジャーメイン良、マテウス・ペイショットの決定力を生かすものとなります。

彼らの能力を生かすためのチームとしての制度設計を今一度見直して、安定して試合を進めることができると、残留を掴み取ることはできそうです。

とはいえ、ジュビロ磐田ももう後がなく、勝ち続けるほかない状況です。

残りの対戦相手とその予想

34節 セレッソ大阪戦(A)

大阪ダービーで意地の復活を遂げたセレッソ大阪。3421でプレーする彼らは攻守に安定感を手にしています。特に343もしくは523のハイプレスは延期分の29節ガンバ戦、33節のレッズ戦で猛威を振るっています。

また4バックのチームと戦う場合、WBとSTの配置的な優位性を使いながら攻撃を仕掛けることができています。エースのレオ・セアラへのボールの届け方もスムーズになっていて、残留に向けて難しい一戦となることは間違いありません。

では対するジュビロです。彼らは33節のサンフレッチェ広島戦のように、ミラーゲームにする可能性があります。442だとWBに対してどのように対応していくかの問題が発生してしまいます。

セレッソのWBは高い位置を取ることが多く、SBが低い位置でピン留めされる可能性が大いにあります。そうなるとそれに付随してSHが低い位置に押し下げられることになりそうです。こうなると攻撃の開始位置が自然と低くなるので、エネルギーが必要になってきます。

それならばミラーゲームにして前に人を残しつつ、カウンターを3トップで完結させたいところです。

現に33節のサンフレッチェ広島戦では、何度か3トップの前残しからカウンターを打ち出してます。その文脈で攻撃を仕掛けていきたいところです。

勝利のためにゴールが必要なだけに、多少のリスクを背負いながら先制逃げ切りを図りたいところです。

35節 ヴィッセル神戸戦(A)

優勝争いを繰り広げる王者。彼らが残りの試合で最も高い障壁になるでしょう。連覇のためにひたすらに駆け抜けているチーム。逆にヴィッセルに勝ち切ることができれば、残留に向けて大きな流れを手にすることができます。

言うまでもなく、強烈な3トップを中心に闘い抜くのがヴィッセルの武器なのですが、連勝を重ねるようになってからはボール保持にも挑戦し、それをモノにしている印象です。

だからこそ最後までエネルギーを維持しながら試合を進めることができているのでしょう。それが大きく関係し、劇的な展開に持ち込むこともできています。劇的な展開は決して偶然ではなく必然と教えてくれるチームの1つです。

では対するジュビロ磐田です。とても勇気が必要なプランかもしれませんが、やはり強烈な3トップにボールを届けさせない、もしくはその精度を落とすためのプレッシングが必要になると思います。

なぜなら大迫勇也を1試合通して止め切るのは至難の業だからです。それならば彼にボールを届けさせないようにプレスをかけていきたいところです。またボール保持を搭載したとはいえ、まだその精度は発展途上。33節の京都戦ではその辺りを突かれて失点を喫したり、ピンチを迎えています。

だからこそハイプレスは有効になりそうですが、先ほども指摘したように、それはとても勇気の必要です。この恐怖を乗り越えてこそ、勝利、そして残留の道が切り拓けるのではないでしょうか。

36節 ガンバ大阪戦(H)

33節の北海道コンサドーレ札幌戦で劇的逆転勝利を演じたガンバ。Jリーグの中でもスピードに頼らずとも攻撃を仕掛けることの出来るチームです。それが出来るのは選手間の距離が適切で、相手を広げることが出来るからです。

しかし、勝てない時期はSBが高い位置を取りながら選手間の距離がかなり近くなっていました。そうするとトランジションが効く場合は再びボールを奪って攻撃に出ることは可能ですが、それ以外の場合はSBの背後を使われてしまっていました。

だからジュビロ磐田からすると、442のブロックをきちんと作りながらSBの攻撃参加を促したいところです。そのために2トップの方向付けはかなり重要なタスクになると思います。

そしてそれを行うことの出来る渡邊りょうの加入は大きな意味を持つでしょう。

さらにジャーメイン良も渡邊りょうもサイドで起点を作りながら、チーム全体の押し上げの時間を強引に作り出すことができます。しっかりと守備ブロックを作り出しながら、SBの背後のスペースを突くことができればゴールに迫り勝利の可能性は上がってきそうです。

37節 FC東京戦(H)

速さを取り続け、強力なカウンターが売りのチーム。両WGが幅を作りながら、CFとOMFが出口を作る形が基本形で、相手を引っ張り出した瞬間に一気にWGのスピードとドリブルを生かしながらゴールまで迫っていきます。

オープンな展開を好み、スペースがあるとFC東京の攻撃力はとんでもないものになっていきます。しかしボールを持たされた時のFC東京はネガティブトランジションのところが弱点となっています。

それに対してジュビロ磐田です。ガンバ戦と同様に丁寧にブロックを作り出すところから試合を始めていくと勝機を掴めるかもしれません。

しかしそのブロック形成の文脈は変わってきます。ボールを押し付けることにより、ボールサイドの渋滞を引き起こすことができれば、ボールを奪い切った先で横断しつつ速攻に出られると思います。

FC東京の多くの被決定機はボールサイドで渋滞を引き起こし、そこのトランジションが効かなくなった時です。オープンスペースへボールを届けられてしまうと、CBが晒されている状況に陥ります。

ジュビロからするとこれを意図的に作り出しながら、速攻で仕留めていきたいところです。

38節 サガン鳥栖戦(A)

多くの補強を敢行した夏。川井健太監督の解任もあり混乱しているのは間違いありません。

しかし32節、33節と守備から試合を始めることを行いながら、マルセロ・ヒアンの速攻を繰り出していました。ミドルブロックとハイプレスの線引きはまだ曖昧なところはあるかもしれませんが、それがハマったときの連動性は高いレベルにあると思います。

最終節でどのような状況になっているかは分かりませんが、鳥栖に打ち勝つためには配置的な優位性を解消していきたいところです。広島戦のように343にするのか、それとも442のままでSHを落とすのか。ここは試合のペースを握る上で大きなポイントになってきそうです。

サガン鳥栖は3CBが背走させられると脆さが露呈するので、この辺りは積極的に使っていきたいところです。ファーサイドへのクロス対応も怪しいところがあるので、ジョルディ・クルークスの能力に頼っていきたいです。

残留に向けて勝ち続けるしかないジュビロ磐田。攻守においてバランス感覚を失ってしまった中盤戦から、それを取れ戻しつつある終盤戦。

出来ることを出来るところから。終盤戦はここにテーマがあるように思います。

他力本願なところは残されていますが、そのチャンスが訪れた時に掴み取る、掴み切るために勝つしかありません。難しい試合が多く残されていますが、意地を見せつけ残留を掴み取りたいところです。

Nobuya Akazawa|J1全部見るマン|

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