“首位撃破の立役者”J2チームMF、大舞台での勝利を弾みに上位対決連勝を目指す
“首位撃破の立役者”J2チームMF、大舞台での勝利を弾みに上位対決連勝を目指す

【J2第14節 RB大宮アルディージャ2-1ジェフユナイテッド千葉、5月6日、国立競技場・東京】

国立競技場で開催されたこの一戦は、2-1で大宮がリーグ戦首位を走る千葉に競り勝って3試合ぶりの勝点3を手にした。

この試合、3-4-3のボランチでフル出場を果たしたMF小島幹敏(まさと)は、大宮の先制点をアシストし、さらに勝ち越しゴールの起点となるパスを供給するなど、終始存在感を放った。

先制点のトリックプレーは狙い通り「大舞台でできたのでうれしい」

開始早々、試合が動いた。

前半5分に右コーナーキックのチャンスを得た大宮は、ブラジル人FWカプリーニがニアサイドへグラウンダーのボールを入れると、これを小島がマイナス方向へワンタッチでボールを落とし、ゴール前で待っていたFW豊川雄太が右足一閃(いっせん)。

ボールはゴール左隅に突き刺さり、大宮が先制に成功。開始早々の見事な先制弾に、オレンジのサポーターが沸いた。

この“トリックプレー”は、千葉のスカウティングをもとに準備したのだという。

だが、小島は最初のコーナーキックで得点に結びつけられるとは思わなかったと明かした。

「あれはしっかり準備していました。こんなにきれいに(得点に)なったのは初めてなんじゃないですか。それが大舞台でできたのでうれしいですね。びっくりしましたよ。 『うまくいくんだ』と思って」

“首位撃破の立役者”J2チームMF、大舞台での勝利を弾みに上...の画像はこちら >>
J2第13節カターレ富山戦に出場した小島

その後、千葉に同点ゴールを許すも、後半8分に中盤でボールを奪った小島がそのままドリブルを開始。

小島の右わきを駆け上がったカプリーニへスルーパスを供給し、同選手が中央へ折り返すと、最後は相手DFの右足に当たってオウンゴールを誘発した。

大宮の背番号7は「ガチャって(ボールを)うまく拾えたので、ラッキーだなと。

フリーだったので、これはもう『運ぶしかないな』となりました。

スクリーンもいなくて、(相手が)来なかったら打とうかなと思っていました。引き付けた方が相手もキュッてなるので、それでカプリーニもフリーになっていました。(シュートを)打つ判断も、もちろんありましたけど、確実な方がいいかなと」と勝ち越しゴールのシーンについて振り返った。

今季の大宮はアグレッシブにボールを奪いに行き、鋭いカウンターでゴールへ『襲いかかる』サッカーを展開している。

勝ち越しゴールの形はまさにチームが追及している理想の攻撃だった。

大宮の心臓として活躍するMFは「ああいうシーンが、これからもっと増やせればいいですね」と今後の戦いを見据えた。

ものにした大事な『シックスポイントマッチ』

『ジェフユナイテッド国立マッチ2025』と題されたきょうの試合には、4万9991人の観客が国立競技場に押し寄せた。

普段のリーグ戦とは違う雰囲気に、高揚感を覚える選手も多い中、Jリーグ通算239試合に出場したゲームメーカーは落ち着いていた。

「結局、試合に入ると(普段と)変わらないですね。 みんな集中するから。アップのときに『すげえな』と思いました」

首位を走るチームのホームと化した国立競技場で、勝点3を持ち帰った成果は大きい。

大宮の背番号7は「でかいですね。リーグ戦なので(順位が)上のチームをたたけるのは。いわゆる『シックスポイントマッチ』といいますか。これが一番いいですから大事ですね」とはにかんだ。

“首位撃破の立役者”J2チームMF、大舞台での勝利を弾みに上位対決連勝を目指す
“首位撃破の立役者”J2チームMF、大舞台での勝利を弾みに上位対決連勝を目指す
ルヴァンカップ2回戦J1FC東京戦に出場した小島(Getty Images)

大宮は次節、5月10日午後2時からホームのNACK5スタジアム大宮に、勝点1差で背中を追う2位ベガルタ仙台を迎える。

上位チームとの連戦に、いつも冷静な小島も思わず熱が入る。

「首位をたたけたので、このもう1個上(の順位のチーム)をたたけたら勢いに乗れると思う。次、めちゃくちゃ気合いが入ってます」

『聖地』国立競技場での重要な一戦をものにした大宮。

次はホームに詰めかけたサポーターへ大きな勝点3を届ける。

(取材・文 縄手猟)

編集部おすすめ