「サポーターには悔しい思いをさせてしまいました。申し訳ない」

試合後の会見、冒頭でサポーターへの謝罪を口にした東京ヴェルディの城福浩監督。16年ぶりとなるJ1での東京ダービーは、劇的な展開となった。

前半ペースを握ったのは東京ヴェルディ。28分に見木友哉が自ら獲得したPKを決めて先制すると、その5分後には染野唯月。U-23日本代表から惜しくも落選した22歳のストライカーが美しいボレー弾を決めて突き放す。

さらに43分、この試合FC東京の右サイドに入っていた安斎颯馬が2枚目のイエローカードを受けて退場。ホームの東京Vが圧倒的優位な立場となった。

城福監督はハーフタイム、「0-0と同じような形でやろう、と。守備は緩くならないようにしようということと、もちろんしっかり幅を取って攻めていけば3点目を取れるチャンスがあるので、そこはゲームを終わらせにいこう」と選手へ伝えたという。

実際に後半の入りも悪くなかったが、選手交代とともに試合は徐々にFC東京ペースに。68分、カウンターから途中出場の遠藤渓太が1点を返すと、迎えた後半アディショナルタイム。ロングボールからエンリケ・トレヴィザンが競ったこぼれ球を仲川輝人が拾い、ペナルティエリアの手前でボールを受けた遠藤が左足を振り抜いた。

遠藤のこの日2点目となる劇的弾で追いつき、大きな勝点1を手にしたFC東京。一方、東京Vにとってはまさかの引き分け。今季4度目となる終了間際の失点で「ダービー勝利」を逃す結果となった。

ゲームの流れを自分たちに持ってくることができなかった後半。「3点目を取れるチャンスもありましたけど、チーム全体がクローズのイメージを持っていたと思いますがあたふたしてしまいましたね」と振り返った城福監督。終盤の失点が止まらない要因については以下のように語った。

「このチームはやはり選手層を厚くしていかないといけないと痛感しています。選手が変わったら落ち着きがなくなるというような状況を変えていかないとゲームの終盤で我々が痛い思いをするということを繰り返しています。そこを上げていくのは、私の手腕が問われているところかなと思っています」

63歳の指揮官は他にも「(選手たちが)本当の意味で出し切ったかという点で言うと、出し切らせることを、自分ができなかった。そう思わないとおそらく次に引きずってしまうと思うので、僕の力が未熟だったということで、まだ成長しなければいけないと思います」と吐露するなど、憔悴した様子で自らの力不足を悔いていた。

昇格プレーオフを勝ち抜き、“20番目のチーム”として16年ぶりにJ1へ復帰した東京V。ここまで1勝5分2敗という成績は決して悪くないが、成長途上のチームであることが改めてはっきりしたダービーマッチだったと言える。

東京Vは来週、17日(水)のルヴァンカップで鹿児島ユナイテッドFC、週末20日(土)のJ1第9節では川崎フロンターレといずれもアウェイで対戦する。