
優れたチームを作るには多くの要素が必要になる。いい監督、ビッグネームのスター選手だけでなく、縁の下の力持ちとなる存在もいなければならない。
今回は『GMS』から「今ヨーロッパのサッカーで最も過小評価されている選手たちTOP10」をご紹介する。
ヨアヌ・ウィサ
クラブ:ブレントフォード
国籍:コンゴ民主共和国
ブレントフォードがあまり大きな補強をせずにシーズンへと臨んできた背景には、スーパーサブ扱いされていたウィサの存在があったからであろう。
28歳にして今季プレミアリーグ18ゴール4アシストをマークし、クラブ歴代最多となる「プレミア通算42ゴール」という記録も打ち立てた。
今季のブレントフォードが上位クラブ相手にも互角以上の戦いを演じられたのは、間違いなく彼の成長あってこそといえる。今季終了後は多くのクラブから誘いがありそうだ。
ヌサイル・マズラウィ

クラブ:マンチェスター・ユナイテッド
国籍:モロッコ
マンチェスター・ユナイテッドに迎え入れられた選手の中で、マズラウィは間違いなく「あまり期待されていない」存在だった。移籍金は1300万ポンドで、デ・リフトのオマケでついてきたようなものだ。
ただ彼は攻守ともに高いバランスを担保し、プレミアでも指折りのコストパフォーマンスを証明している。鋭いオーバーラップから質の高いクロスを供給し、守備では1対1の強さと空中戦を苦にしないフィジカルを発揮している。
アモリン監督が行う布陣変更の中でも安心して起用できるユーティリティ性も魅力的である。屈指のバーゲン補強だったと言える。
エドゥアルド・カマヴィンガ

クラブ:レアル・マドリー
国籍:フランス
“未来の世界的MF”と騒がれたものの、銀河系軍団の選手層の厚さに埋もれがちなカマヴィンガ。レギュラーの機会は限られているが、その分ベンチからの投入で試合の流れを変える“切り札”としての価値が際立っている。
元々はボランチを主戦場に、攻守にわたるプレーが持ち味だが、不測の事態では左サイドバックや中盤の各ポジションに対応可能。豊富な運動量と勇敢なディフェンス、そして鋭い縦パスで相手のラインを崩すこともできる。
もしレアル・マドリー以外のクラブでプレーしていたら、「レギュラー確定級の万能MF」としてもっと注目を集めていたことだろう。
ユリエン・ティンバー

クラブ:アーセナル
国籍:オランダ
重度のACL断裂から見事に復活を遂げ、今ではアーセナル守備陣の要に。サリバやガブリエルといった目立つセンターバックに隠れがちだが、右サイドバックとしてもセンターバックとしても高水準のプレーを両立している。
4バックではSBとして上下動をこなし、3バック時は右CBとしてラインコントロールとインターセプトを見せる。冷静さとコミュニケーション能力でチームに安定をもたらす。
ビッグネームでもなく華やかなプレースタイルでもないが、その器用さと献身性は「守備のユーティリティスター」と呼ぶにふさわしい。
アレクシス・マカリステル

クラブ:リヴァプール
国籍:アルゼンチン
ワールドカップ優勝の実績を引っ提げて2023年にリヴァプール加入後、サラーやファン・ダイクの陰で黙々と貢献を続ける中盤の万能MFだ。
ボール奪取やパスカットで試合のテンポを支配しつつ、技術面では精密なロングシュートやタイミング重視のポジショニングを見せる。フラーフェンベルフとの中盤コンビは素晴らしい機能性を発揮し、守備にも攻撃にも幅広い責任を担う。
プレミアのファンやメディアからは話題にされる機会が減っているが、同僚や監督からの信頼は絶大で、勝負どころで必ず名前が挙がる選手だ。
ベルナルド・シウヴァ

クラブ:マンチェスター・シティ
国籍:ポルトガル
シティの“見えない歯車”として長年活躍し、今季はチームが低調でも一人際立ったパフォーマンスを維持しているベルナルド・シウヴァ。
ドリブル突破と左右両足によるフィニッシュ、プレッシングからの切り替えに至るまで非常に万能なミッドフィルダーとして重要な役割を担う。状況に応じてSBやウイングのカバーにも顔を出し、泥臭い守備対応も可能だ。
グアルディオラからの評価は高く、退団報道が出るたびに「失いたくない選手」のリストに名前が挙がる。まさにシティの生けるレジェンドだ。
エデルソン

クラブ:アタランタ
国籍:ブラジル
2022年の加入以来、アタランタ躍進の原動力となったブラジル人ボランチ。2023-24シーズンのUEFAヨーロッパリーグ制覇にも大きく貢献し、今季はセリエAでも中盤底からのインターセプトやタックルでチームの安定を支える。
高さとスピード、そして繊細な戦術理解を備え、攻守の切り替えをスムーズに行うことで試合のテンポを保つ。一方で足元の技術も高く、狭いスペースでも安定したプレーをし、ミドルパスでチャンスメイクする。
今夏にはマンチェスター・ユナイテッドからの関心が寄せられているという報道も出ており、ビッグクラブ移籍が現実味を帯びれば評価はさらに急騰するだろう。
ハカン・チャルハノール

クラブ:インテル
国籍:トルコ
「フリーキックスペシャリスト」という異名をとっていたチャルハノールであるが、今やそれに加えて世界有数の「ディープライン・プレーメーカー」となっている。
中盤の低い位置から長短織り交ぜたパスでゲームメイクする役割を担い、かつての攻撃的MF時代に培った視野の広さや精密なキックを生かしてチームの連動を司る。
得点力も依然として高く、今季もセットプレーからの直接FKやCKに絡む場面が随所に見られる。派手さはないが、試合の細かな流れをコントロールする“縁の下の司令塔”として高い評価を受けている。
アントワーヌ・グリーズマン

クラブ:アトレティコ・マドリー
国籍:フランス
フランス代表での活躍と比べてクラブでは影が薄いと言われつつも、今季も公式戦16ゴール8アシストと高い数字を残す万能アタッカー。
シメオネ監督の“戦術的献身”を体現し、ディフェンスラインから前線まで縦横無尽に動き回る。カウンターの起点となる視野の広さとパスセンス、さらには得点機を自ら生み出す技術力が同居し、あらゆる局面で存在感を放っている。
年齢的にピークを過ぎつつあると言われるが、アトレティコでの役割はむしろ重要度を増しており、“守備もできる万能FW”の先駆けとして再評価されている。
フェデリコ・バルベルデ

クラブ:レアル・マドリー
“何でも屋”を超えた“ほぼ全試合万能武器”と言っていい現代No.1MF。中盤の底からインサイドハーフ、さらにはウイングやサイドバックまで幅広くプレーし、どのポジションでも平均以上のパフォーマンスを保証する。
試合終盤のスタミナと献身性はウルグアイ魂の体現そのもので、ガッツ溢れるタックルやスライディング、ワンツーでの突破、遠めからのシュートまで多彩にこなす。その技術と運動量、メンタルの強さが噛み合い、どんな状況でもチームに安心感を与える。
「銀河系軍団」の中で一流クラスのタレントたちに埋もれることなく、常に試合のキープレーヤーとして名を連ねる影のスターだ。