中国メディアの参考消息は6日、「軍用機の維持費が世界中で急上昇する可能性がある」とする米軍事サイト、ディフェンス・ニュースの記事を紹介した。

記事によると、最新鋭機が航空機群に占める割合が拡大するにつれ、今後数年間で軍用機のMRO(整備・修理・オーバーホール)にかかる費用が世界中で急上昇する可能性があることが、コンサルティング会社オリバー・ワイマンの新たな調査で分かった。

オリバー・ワイマンの報告書によると、軍用機のMROの世界市場規模は現在、約970億ドル(約13兆9680億円)で、過去6年間ほぼ横ばいだ。しかし、今後10年間でMRO費用が上昇し、支出が年間約1.4%増加するとした場合、35年までに軍隊はMROに1110億ドル(約15兆9840億円)超を費やすことになる。MRO費用の上昇の要因は統合打撃戦闘機「F-35」など先進的な航空機の数の増加で、これらのジェット機はステルス性など旧型機に比べて飛躍的に高度な機能を備えている。しかし、複雑なソフトウエアや高度な推進システム、特殊な材料、その他の技術の維持には運用のためのより長い時間とより多くの費用が必要になる。

ロッキード・マーティンはこれまでに世界中に1170機のF-35を納入したと発表した。米空軍は現在、471機のF-35Aを保有しており、最終的には1763機を購入する予定だ。

報告書によると、世界中の軍隊が毎年購入する約310機の戦闘機の約半数がF-35だ。F-35は現在、世界の軍用機保有数の2.2%を占めており、今後10年間でその割合は4.7に増加すると見込まれている。35年までにF-35だけで世界のMRO支出総額の9.5%を占めることになる。これは現在のシェアの2倍以上だ。

しかし、軍用機の規模を拡充している先進的な航空機はF-35だけではない。米海軍に加え、欧州とアジアの軍隊も、自国における第6世代戦闘機の開発を真剣に検討している。

報告書によると、各国政府はこれらの戦闘機の設計においてMRO費用が予算に与える影響を考慮すべきだと指摘している。世界では現在、複雑な航空機が軍用機全体に占める割合は11%だが、10年後にはその割合が17%にまで増加するとみられる。北大西洋条約機構(NATO)の機団は現在、MRO予算の約16%を複雑な航空機に費やしている。35年までにこの割合は26%にまで増加すると見込まれている。

特にウクライナにおいて、戦争におけるドローンの重要性が高まっていることも、MRO支出の増加につながっている。

報告書によると、ドローンへのMRO支出は世界の航空機保有数を上回るペースで増加しており、これらの航空機を運用する政府にとって今後の急成長期は大きな試練となる。政府は、航空機の即応態勢を高く保つことと、それに必要なメンテナンス費用の上昇とを比較してどれほど価値があるかを判断することなど、複数の優先事項の間で適切なバランスを取る必要がある。空軍はスペアパーツのサプライチェーンを拡大し、減少したり廃業したりする供給元に依存しないようにする必要がある。部品供給源の枯渇という問題は、B-52「ストラトフォートレス」のような数十年前の航空機にとって、時間の経過とともに深刻化している。空軍が増大するMRO費用に十分な予算を割くことができない場合、空軍の航空力の他の側面に支障が生じる可能性がある。報告書は、米空軍が近年、航空機の飛行時間を削減する決定を下したことと任務遂行可能率の低下を食い止めることができない代わりに新技術や航空機の導入に注力していることに言及している。(翻訳・編集/柳川)

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