中国宇宙ステーションに搭載されている「無容器材料実験装置」がこのほど、3100度を突破し、世界記録を更新しました。
この装置は「宇宙の錬金炉」とも呼ばれ、核心モジュール「天和」内に設置された無容器材料実験キャビネットです。
地球上では、溶融した金属の液体は重力の影響で、密度の異なる金属は水と油のように分離してしまい、均一な合金を作ることは難しいとされています。しかし、宇宙の微小重力環境下では、液体金属の表面張力により球状になります。さらに、実験装置が静電場により生じる力を利用して金属を安定して支え、空中に浮遊させることができます。これにより、金属は容器との接触から完全に離れ、不純物が混ざることもなく、干渉されることもない、真の「無容器」の実験環境が実現しています。
これらの実験で使用された金属は将来、宇宙船の「よろい」となり大気圏突入時の激しい熱から機体を守る可能性があります。また、ロケットエンジンの「心臓」として、極限の高温環境下でも安定した運転を維持する可能性もあり、人類の新たな耐熱材料の開発に道を開くものと期待されています。(提供/CRI)