2025年9月7日、封面新聞は中国の空港でトイレのドアと間違えた客が非常ドアを開けてしまい脱出シュートが出てしまったトラブルについて、裁判所が客に賠償支払いを命じる判決を下したと報じた。
記事は、浙江省の衢州空港で昨年7月4日、初めて飛行機を利用した乗客が非常用脱出ドアをトイレのドアと誤認して開け、非常用シュートを作動させる事故が発生し、航空会社が11万元超(約220万円)の経済的損失の賠償を求めて乗客を訴えていたと紹介した。
記事によると、乗客の搭乗終了後に機体ドアが閉められ、非常用滑り台が作動可能な状態(アームド状態)にセットされた際に発生。荷物を落下させた他の乗客に乗務員が対応している間に、被告の乗客は機体後部の非常用脱出ドアをトイレのドアと間違え、強く引いて開けてしまったという。
原告である中国国際航空は、座席前のモニターでの安全説明ビデオの放映、安全説明カードの配布、機内アナウンスなどで安全に関する説明を行っており、トイレや非常口の表示も明確であったと主張。被告の過失は一般人の基本的な注意義務を果たさなかったためだとした。
一方、乗客側は機体の規模に対し客室乗務員の数が規定ぎりぎりの4人と少なかったこと、事故当時後部区域に乗務員がおらず、非常ドア付近に「関係者以外立入禁止」などの表示もなかったことを指摘し、航空会社の安全管理に不備があったと主張していた。
裁判を担当した浙江省衢州市柯城区人民法院は、被告が安全説明を読まず、表示にも注意を払わず、ドアの異常に気づきながらも乗務員に確認せずに無理に開けたとして、主要な過失があると認定。一方で、飛行機の利用法は一般常識ではなく、航空会社が客室の安全に対し責任を負う必要があるほか、事故当時後部区域に乗務員がいなかったことが管理の欠陥にあたるとの認識を示し、航空会社にも30%の過失があると認定した。
この結果、同法院は被告の乗客に対して、請求額の7割に当たる7万7593元(約155万円)余りの賠償を中国国際航空に支払う判決を言い渡した。
この件について、中国のネットユーザーは「普通の人ならトイレかどうかくらい分かると思うのだが。人に言われて分からないなら、実際に痛い目を見るべきだ」「そもそも搭乗前にトイレに行くのは常識。航空会社に落ち度なんてない」「昔航空会社に勤めてたけど、つい触っちゃう人っているんだよね」など、被告である乗客に問題があるとの意見が寄せられた。
一方で「標識が不明確で、乗務員の説明も十分ではなかった」「責任は5対5にすべき」「後部に人がいなかったのはやっぱり問題」など、航空会社の落ち度を強調する声もあった。