2025年9月8日、韓国・聯合ニュースによると、外国人の間でレンタル韓服を利用し古宮を訪れる観光が人気だが、主に着られているのが現代的にアレンジされた韓服のため、「どこの国の服か分からない」との批判もあるという。「韓服の大衆化の起爆剤」「アイデンティティーを毀損する国籍不明の衣装」という、相反する意見が上がっている。

韓国の伝統衣装「韓服」を着て景福宮などを訪れるのは、最近では外国人観光客にとって「必須コース」となっているという。古宮を訪れると、きらびやかな韓服姿の外国人の姿が多く見られる。国家遺産庁宮陵遺跡本部の統計によると、昨年、観服を着て景福宮を訪れた観光客は172万人に達する。韓服を着用していると入場料が無料になることもあり、周辺には多くのレンタルショップが存在する。

あるショップでは、コロナ禍明けからK-POPブームもあり、一日平均800人ほどがレンタルを利用しているという。人気はラメやリボン、フリルで飾られた写真映えする華やかなデザインのもの。他のレンタルショップも「伝統的なタイプの韓服は人気がない」と話す。

こうした「フュージョン韓服」が「伝統を壊す」という批判の声も絶えない。

景福宮、昌徳宮、昌慶宮のある鍾路(チョンノ)区は18年、シースルーの上衣(チョゴリ)、ミニ丈の下衣(チマ)など「国籍不明」水準までアレンジされた韓服を制限する案を検討した。当時の区長は「韓服とは呼べないほど変型され歪曲(わいきょく)されたものが多く、残念でならない」と苦言を呈した。

24年には文化財庁長が「景福宮を訪れる多くの観光客がレンタル韓服を利用しており、写真をSNSに投稿しているが、本物の韓服の構造とは異なる国籍不明のものが多い」「国家遺産庁が先頭に立って韓国固有の韓服に対する考えを改善するべきだ」と指摘している。

一般市民の間でも、「文化は人に使われないとすたれていく。

フュージョン韓服は韓服の大衆化の一部だと思う」「伝統を継承しながら、現代人が親しみを持てるようにアレンジされていてすてきだと思う」「写真撮影用としては魅力的でも、単なるコスプレとして消費されていることは残念だ」など、賛否両論の声が上がっているという。

レンタルショップや韓服デザイナーは「伝統は大切だが、固執するものでもない。伝統とトレンド、どちらも受け入れることが必要だ」「伝統とモダンは共存できる」「韓服を着ることがめったにない現実の中で、どのような形であれ韓服体験ができるのはポジティブなことだ」「時代によって変化はするものだが、根本は守らなければならない」などと評している。

この記事に、韓国のネットユーザーからは「フュージョン韓服を禁止したら、そのほうがむしろ韓服にとってマイナスになると思う」「韓服は古代から発展を続けてきた。朝鮮後期の韓服だけが韓服ではない」「別に観光に来て楽しく散歩してるんだからうるさく言うことないでしょ。そもそもテレビの時代劇だって、実際にはなかったような韓服を着させてる」「最小限のガイドは必要だと思う」「枠を決めておくべきだ」などのコメントが寄せられている。(翻訳・編集/麻江)

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