2025年9月10日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国で消費低迷が続き、経済が引き続き厳しい状況にあることが最新の統計で明らかになったと報じた。

記事は、国家統計局が発表した8月の消費者物価指数(CPI)が、前月比では横ばいだったものの、前年同月比では0.4%下落したと紹介。

下落率はエコノミストの予測を上回るとともに、今年2月(0.7%減)に次ぐ大きさとなったと伝えた。

そして、CPI下落の要因について同局は、前年同月の比較対象数値が高かったことと、8月の食品価格の上昇が例年より緩やかだったためと説明するとともに、国内需要喚起・消費促進政策の効果が現れ始めており、食品とエネルギー価格を除いた「コアCPI」は前年同月比0.9%上昇し、4ヶ月連続で上昇幅が拡大していると強調したことを紹介した。

一方、経済調査会社キャピタル・エコノミクスの専門家、黄子春(ホアン・ズーチュン)は、CPI下落が「食品価格の変動を反映したもの」であり、根本的な需給バランスの大幅な改善を意味するものではないと分析したことを伝えている。

また、8月の生産者物価指数(PPI)も前年同月比で2.9%下落し、下落幅は前月より縮小したものの、2022年末から続くマイナス成長の傾向は変わっていないと指摘。黄氏が国内需要の弱さと持続的な生産能力過剰を理由に、中国のデフレ環境が短期的に大きく改善する可能性は低いとの見方を示したと伝えた。

記事はさらに、8月の中国の輸出は前年同月比4.4%増となったものの伸び率は市場予想を下回り、過去6か月で最低水準だったとも紹介。特に対米輸出が同33.1%減の急落となり、対EUや対ASEANの伸びでは対処できないほどの縮小になっていることを伝えた。

その上で「西側諸国がインフレに苦しむ一方、中国は不動産市場の長期低迷や輸出の不振による国内消費の冷え込みに直面している。このデフレ傾向は投資家の信頼を損ない、政府が掲げる今年の約5%という経済成長目標の達成を脅かしている」と評した。(編集・翻訳/川尻)

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