報道によると、ワールド・ゴールド・カウンシルは「デジタルゴールド」の導入を計画しているという。そうなれば、金取引や決済、担保の新たな手段が登場することになる。

これは、「デジタルゴールド」が金とペッグするステーブルコインとなり得ることを意味する。

ワールド・ゴールド・カウンシルのデイビッド・テイト最高経営責任者(CEO)は先ごろ、関連機関が現在、共同で国際的な金地金の信頼性システムの開発・普及に取り組んでいることを明らかにした。全ての適法な金をブロックチェーン上のデータベースに組み込むことで、購入者が自ら投資した金地金や金貨を明確に把握できるようになり、将来的には原料採掘や精錬、流通の各段階まで追跡可能となることが期待される。

テイトCEOによると、同データベースに基づく実物金のデジタル化により、取引前後のプロセスが簡略化・最適化され、市場参加者、規制・監督当局、利害関係者に対し、全く新たなデジタル市場フレームワークの共同開発の機会を提供することができる。

これと同時に、全ての信頼できる実物金を取引可能なデジタル「標準金単位」に変換し、トークン化、保管金、担保等の各種製品・サービスをサポートする。これは、実物金地金の属性や保管場所による制約を受けない。「貨幣価値が常に特定の金地金に縛られる」という現行の金市場の限界を打破することで、次世代トークン化市場で金が金融資産として大きなチャンスを得ることが期待される。

中国銀行研究院の王有鑫(ワン・ヨウシン)主管は、「現在のグローバルなデジタル応用シーンやデジタル技術の急速な発展を考えると、金のデジタル化は時宜を得たものだ」とした上で、「発展の初期や応用シーンの普及において一定の課題に直面する可能性はあるが、制度設計や規制・監督が適切であれば、重要な金融商品のイノベーションとなり、従来の金と補完・共生関係を形成し、市場にプラスの影響を与えることが期待される」と指摘。

また、将来的に金のデジタル化を健全に発展させるうえで重点的に考慮すべき問題として、以下の2点を挙げた。

(1)客観的に見て、鉱山から最終利用者までの全工程における追跡を実現するには技術面の課題がある。

(2)「デジタルゴールド」の発行機関をどう決定するか。一社とするか複数社とするか。

いかにして発行機関が十分な実物金をペッグ資産として確保するか。また、発行過程でモラルリスクその他の問題を生じさせないようにするにはどうするか。

王主管によると、「デジタルゴールド」が簡単に実物金に取って代わることはなく、将来的に補完・共生関係を形成する可能性の方が高い。王主管は、従来の金は依然として「価値の蓄積+消費」という二つの主要なニーズを主導し、「デジタルゴールド」は金融取引や利用シーンを広げる役割を担い、両者が共同で金市場の発展を後押しすることになるとの見方を示した。(提供/人民網日本語版・編集/NA)

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