中国の国有電力会社の華能集団が甘粛省内に設けた正寧発電所では9月25日、世界最大規模の石炭火力炭素回収実証プロジェクトを開始しました。72時間の試運転を順調に終えたことを受けた上での商業運転の正式開始でした。

中国はCCUS(炭素回収・利用・貯留)技術において、「百万トンレベルの工業化応用」を実現しました。

二酸化炭素を回収する重要な施設である吸収塔は、27階建てのビルに相当する高さの巨大装置です。発電ユニットが排出する石炭燃焼排ガス中の二酸化炭素はここで回収され、その回収率は90%以上に達します。1時間当たりの二酸化炭素処理能力は、1万8000人が1日の暮らしで排出する炭素の排出量に相当します。

このプロジェクトは、華能甘粛正寧発電所1号機の排ガスを脱硫して、粉塵などを取り除いた上で炭素の回収を行うもので、回収される二酸化炭素の純度は99%以上です。回収された二酸化炭素は超臨界状態まで圧縮されて地下地層での封じ込め(地下貯留)が可能であるほか、油田での採掘率向上、グリーン燃料の合成、建材など幅広い分野に活用でき、そのことで「回収-利用-貯留」という全産業チェーンが実現されます。

このプロジェクトは、炭素の回収、圧縮、貯留などの重要工程における数々の技術課題を解決し、「世界初」を多数達成し、石炭火力業界の低炭素化に向けた新たなモデルを打ち立てました。華能電力正寧発電所の張延偉所長は、「世界最大の石炭火力炭素回収実証プロジェクトで、年間150万トンの二酸化炭素を回収できる。これは、60万台の自動車が1年間に排出する炭素排出量を処理することに相当する」と語りました。(提供/CRI)

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