中国の清華大学化学工程学部の張強教授のチームが9月27日に発表したところによると、同チームが主導して開発した新型フッ素含有ポリエーテル電解質は、高い安全性と高エネルギー密度を備えた実用的な固体リチウム電池の開発に新たなアイデアと技術的サポートを提供するものとされます。これに関する成果はこのほど、学術誌『ネイチャー』にオンラインで掲載されました。
固体電池は、その高いエネルギー密度と固有の安全性により、次世代の二次リチウム電池開発の重要方向として広く認められています。特にリチウム過剰層状マンガン酸化物を正極材料とするリチウム電池システムは、エネルギー密度が600ワット・アワー毎キログラムを超える可能性を示しています。
しかし、現在の固体電池は実用化の面で依然として二つの大きな課題に直面しています。一つは固体材料同士の接触が剛性により不十分で界面接触が不良であること、もう一つは電解質が広い電圧の範囲で高電圧の正極と強還元性の負極という極端な化学環境に同時に対応するのが困難という難題で、これらは、固体電池分野における重要な科学的課題となっています。これに対し、張強教授のチームは「陰イオンが豊富な溶媒化構造」という新たな設計の方法を提案してフッ素含有ポリエーテル電解質の開発に成功し、熱誘導による元の位置での重合技術を通じて固体界面の物理的接触とイオン伝導能力を効果的に強化し、リチウム電池の高耐圧性能と界面安定性を著しく向上させました。
さらに、この電池は満充電状態でのくぎ刺し試験および120度の加熱箱(静置6時間)による安全試験を無事にクリアし、燃焼や爆発は一切発生せず、優れた安全性を示しました。この研究成果は、成熟した固体電池製品の今後の開発にとって技術面での重要な参考となる見込みです。(提供/CRI)