2025年11月10日、中国メディアの第一財経は、中国人消費者が「経済的豊かさ」と「健康」を最優先する中で、国内外のブランドがどう対応していくかについて論じた記事を掲載した。
記事は、上海市で10日に閉幕した第8回国際輸入博で国際コンサル企業アクセンチュアが発表した「中国消費洞察報告」の内容を紹介し、中国人消費者のトレンドについて分析している。
記事によると、報告は現在の中国において、コスメや家電など多くの分野で中国国産ブランドが国際ブランドを逆転するなど、消費の志向に大きな変化が見られ、特に家電分野などでは圧倒的優位に立っていると紹介した。そして、現在の中国人消費者の購買動機が「コストパフォーマンス」「自分らしさ」「感情的価値」という三つの基盤の基で成り立っているとの見解を示した。
「コスパ」については、今や単なる「低価格」を指すものではなく、消費者がますます合理的になり、「検証可能な価値」こそが真の意味でのコスパなのだというアクセンチュアのアナリストによる見解を紹介。もはや従来の成功モデルや、単なるブランド名だけでは消費者を納得させることができなくなり、その価値を具体的に証明できるかどうかが問われるようになったとしている。
「自分らしさ」については、消費者が画一的な商品ではなく、自身のライフスタイルや価値観を映し出す製品を求める傾向を強めていると指摘。膨大な情報の中から消費者自身が評価し、自らの判断を最優先するようになり、インフルエンサーの推薦やスター起用の広告が以前ほどの訴求力を持たなくなりつつある一方で、製品自体が持つ個性や、プロモーション、販売員の対応といった直接的な要素が新たなブランドを試みる決め手としてその重要性を増していると論じた。
「感情的価値」については、消費者の選択基準が今や機能面の合理性に留まらず、製品やブランドがもたらす「感情的価値」、とりわけ自国文化への誇りやアイデンティティへの「共感」が強力な購買動機として働くようになったと分析。国産ブランドを選ぶ行為自体に「文化への自信」という情緒的満足感をもたらし、これがブランドへの愛着やロイヤルティへと繋がっているとした。
報告は、消費者の行動が変化した背景にはパンデミックの経験や社会経済の不確実性による人生そのものに対する優先順位の変化があると指摘。全年齢層で「健康」と「経済的豊かさ」が重んじられるようになり、特に若者の間ではこの2大要素が仕事や恋愛、個人の成長などかつてトレンドだった要素以上に重要視されるようになったとした。
また、人工知能(AI)の爆発的な普及が消費者の変化を加速させていることにも言及。ブランドには「明確な理由のあるプレミアム」の提供や、消費者に寄り添って共感を生むこと、そしてAIを活用したパーソナライズされた体験の創出が不可欠だと指摘した。











