2025年11月13日、中国のポータルサイト・網易に「『鬼滅の刃』無限城編は興行収入以外に中国映画市場へ何をもたらすのか」と題した記事が掲載された。
記事は、「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来(以下、無限城編)の中国公開日が発表されると、10月以降低迷していた中国映画市場は大きく盛り上がった。
その上で、「無限城編はテレビアニメ・柱訓練編の続きとして、鬼殺隊が無限城に突入し鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)と対決する物語が描かれるが、最終章の序幕においてもアニメ制作会社・ufotableによる高品質な映像美学が維持されている。特に上弦の参・猗窩座(あかざ)との戦闘は見どころで、初日のIMAX前売り券の売り上げは1400万元(約3億円)を超え、全体の上映スクリーンのわずか1%でありながら、興行収入の48%以上を占めるなど、観客の視聴体験へのこだわりが顕著であった。また、配給側の示唆や試写会の反応を見る限り、 無限城編は無修正で、戦闘シーンや流血シーンがそのまま残されていることが確認された。これは、先日公開された『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』とは大きく異なる状況である」と説明した。
また、「無限城編は『鬼滅の刃』シリーズ初の中国公開作品である。これまで中国で興行収入をけん引してきたのは宮崎駿監督作品や新海誠監督作品、『名探偵コナン』や『SLAM DUNK 』などの成熟した作品だったが、無限城編は若年層向けの新世代日本アニメ作品として強力な集客力を示しており、アニメ放送開始から5年余りという短期間にもかかわらず、中国の動画プラットフォーム・ビリビリ(bilibili)へ導入されて以来、視聴ランキング上位が『鬼滅の刃』シリーズで占められるほど人気が高い」と言及した。
さらに、「『無限城編』の中国公開は、映画館にとって単なる興行収入以上の意味を持った。小規模館では若者向け作品の上映回数を増やして集客を図る一方、大手チェーン館では大画面や高画質といった鑑賞体験の質を強調するなど、劇場規模や立地によって戦略は異なる。こうした動きは、映画館がターゲットを明確にし、従来の一律編成による資源の無駄を減らす方向に進んでいることを示している。
そして、「近年、日本のアニメ映画は中国映画市場で記録を更新し続けている。23年は映画『すずめの戸締まり』が8億700万元、映画『THE FIRST SLAM DUNK』が6億6000万元(約143億円)、24年は『君たちはどう生きるか』が7億9100万元(約171億円)、『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』が2億9300万元(約63億円)、25年は劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』が3億9800万元(約86億円)。そして、無限城編は10億元超の可能性を秘める。一方で、ハリウッド映画は『ジュラシック・ワールド』5億6700万元(約123億円)にとどまり、ここ3年の輸入映画興行収入トップ3には、依然として日本アニメが欠かせない存在となっている」と強調した。
記事は、「無限城編の強みは、まず安定した観客層と熱心なファンが離れずに支え続けることにある。しかし、ほとんどのアニメ作品には、そもそものファンの母数がそれほど大きくない。そのため『鬼滅の刃』のように単にコアなファンだけでなく、主要なファン層を超えて一般層にも広く受け入れられ、世界的に大ヒットすることは非常に難しい。無限城編が中国映画市場へもたらすのは、単なる興行収入だけでなく、観客の熱気と関連グッズや体験型ビジネスの活性化である。これは、映画館業界の発展において、今後の方向性や可能性を示す重要な例となった」とした。











