80年代のジミー・ペイジは多忙を極めていた。短命で終わったスーパーグループXYZを立ち上げつつ、映画『ロサンゼルス』のサントラを制作し、フリーやバッド・カンパニーのボーカル、ポール・ロジャーズとザ・ファームを結成した。その後一時的にレッド・ツェッペリンを再結成し、ローリング・ストーンズやロイ・ハーパーなど豪華ゲストを交えた単発復活公演を行った。80年代後半にはソロデビューアルバム『アウトライダー』をレコーディング。今日に至るまで、彼がソロ名義でリリースしたアルバムはサントラを除けばこの1枚だけだ(ローリングストーン誌のデヴィッド・フリッケの評価は★2つ。「全体的にゴチャゴチャした」アルバムだと評した)。
1988年6月にこのアルバムをリリースしてから数か月後、ペイジは拡大全米ツアーに乗り出し、その後イギリスでもいくつかコンサートを行った。80年代中盤にザ・ファームとしてツアーを行った際にはあえてツェッペリンのレパートリーを避けていたが、今回のツアーではペイジもノルタルジーな気分だったようだ。『アウトライダー』ツアーのセットリストは――アルバムにも参加したドラムのジェイソン・ボーナム、ベースのダーバン・ラヴェルデ、コーラス兼キーボードのジョン・マイルズらを従えて――さながら彼のキャリアの集大成。ザ・ファーム、ヤードバーズ、レッド・ツェッペリンの楽曲に加え、オリジナルの新曲も披露。コンサートの締めくくりはファンへの大サービスとして、1983年のアームズ・コンサートで初披露した『天国への階段』のインストゥルメンタル・バージョンを演奏した。
今回は、1988年アリゾナ公演での演奏をフルバージョンでご覧いただく。
「今度のコンサートでは、俺がツェッペリンの曲を避けてるわけじゃないってことを見せてやろう」 『アウトライダー』ツアー前に行ったロサンゼルスタイムス紙とのインタビューで、ペイジはこう語った。「ツェッペリンは俺の経歴の一部だ。誇りに思っているよ」
近年ペイジは、2015年のローリングストーン誌とのインタビューなど、折に触れてソロアルバムまたはソロツアーを計画中であると語ってきた。だがいまのところ実現には至っていない。1988年のツアー以降、彼が『天国への階段』を再演した機会はごくわずか。1994年、日本のTV番組でロバート・プラントとアコースティック・バージョンで演奏したのと、2007年O2アリーナで行われた壮大なツェッペリン再結成コンサートで披露したきりだ。