スタジオジブリの創設から、全ての作品のプロデュースを担ってきた鈴木敏夫。元々はアニメーション雑誌のパイオニアでもある『アニメージュ』の創刊に携わり、編集長も務めあげた編集者だ。スタジオジブリでは宮崎やスタッフが頼る「お金担当」として有名だが、周知の通りプロデューサーとして監督たちが映画に託したメッセージを、鈴木はタイトルやキャッチコピーという「言葉」に翻訳し、世の中へメッセージを投げかけてきた。鈴木が生み出した言葉は作品ひとつひとつに存在し、観たものの心を揺さぶる強いものであり、作品とともに生き続けてきた。そんな鈴木の「言葉」や「表現」を一堂に集め、鈴木敏夫の頭の中を表現した展示会『鈴木敏夫とジブリ展』が4月20日~5月12日の期間、東京・神田明神で開催される。
イベント開催に先立ち行われた記者発表会には、映画『千と千尋の神隠し』のキャラクター”湯婆婆”の声優を務めた夏木マリが登場し、鈴木とトークセッションを行った。「湯婆婆の声をやってる時、ジブリっていうのは、鈴木敏夫が金勘定してるんだよ。悪役って感じじゃなくて、湯屋を立て直す、働く女性として、要は"鈴木の女版”でやったらいいんだよ。って言われたことを良く覚えてるの。すごい救われた言葉でね、突き詰めていくと、湯婆婆も鈴木さんも、そこには「愛」があるのよね」と、当時の思い出を語った。鈴木も「今回、神田明神で開催するってことで、だったら夏木さんとトークしたいと思った」と話した。「僕はなんでもとっておく癖があるんだ。
鈴木敏夫による書(Photo by RSJ)
歴代の雑誌『アニメージュ』の展示(Photo by RSJ)
夏木が「新しい映画とかどうなんですか?」と鈴木に尋ねると、宮崎駿の引退会見の模様を語り「もうやらなくていいんだと嬉しかったのに、結果として彼がもう一度やりたいということでね。口を滑らしてしまうと、3年かけて絵コンテっていうものは、完成をしました」と新作について言及。夏木が「今、絵コンテが完成すると、いつ頃私たちは観れるんですか?」と聞き返すと「あと三年後かな」と回答。夏木は、「3年後!!頑張って生きます」と笑いながら答え、トークショウは終了した。
本展示会は、スタジオジブリ・鈴木敏夫プロデューサーの「言葉」に注目したもの。高畑勲、宮崎駿両監督と出会って40年、「風の谷のナウシカ」「千と千尋の神隠し」、そして「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」まで、ジブリはどこから始ま りどこへ向かうのか。鈴木敏夫氏の「原点」から「今」を、自身の書画やジブリ作品の資料を用いて紹介することで、スタジオジブリの秘密に迫るものだ。東京での開催地、神田明神ならではの新企画「湯婆婆と銭婆が人生&恋愛の悩みに物申す"開運・恋愛"おみくじ」も登場する。
『鈴木敏夫とジブリ展』
会 場:神田明神 文化交流館「EDOCCO」2F 神田明神ホール
会 期:2019年4月20日(土) ~ 5月12日(日) ※計23日間、会期中無休
時 間:10:00~18:00 (最終入場 17:30) ※営業時間は今後変更可能性あり。
入場料: 大人 1,300 円、中高生 800 円、小学生 600 円
http://www.ghibli.jp/event/suzuki/