TUBEのギタリスト・春畑道哉。ソロ活動でもJリーグオフィシャルテーマソング「JS THEME(Jのテーマ)」を筆頭に数多くのテーマ曲を手掛けるなど国民的なギタリスト/コンポーザーとして活躍している。
―まずは最新配信シングル「Kingdom of the Heavens」のお話から聞かせてください。今回はなんとプロレスのテーマ曲(「WRESTLE KINGDOM 14 in 東京ドーム」テーマ曲)。ものすごい力強い曲が完成しましたね。
そうですね。まずこのお話をいただいた時に、ハードなリフとかがガンガン弾けるんだろうなと思って、やりたいと言ったぐらいですので(笑)。
―かなり多忙なスケジュールの合間のレコーディングだったと聞いてますが。
そうなんですよ。ツアー中だったし、他にもいくつか仕上げなければいけない曲が同時に進んでいる中でのお話ではあったんです。スタッフさんは「これいけますか?」みたいな感じでしたけど、「メタル承ります!」って即答しました(笑)。
―アハハ! そこまでタイトな時間の中で何故やったんですか?
ちょうどタイミングもあったと思うんです。
―春畑さんは結構メタル畑を通ってるんですね。
メタルというか、アイアン・メイデンとか(笑)。
―そうでしたか。確かに「Kingdom ~」のイントロ、メイデンを感じます。でもスティーヴィー・レイ・ヴォーンも通ってるんですよね?
そうなんですよ。レイ・ヴォーン大好きなんです。
―そしてメイデンも通ってるんですね。
そうなんです。中学の時コピーしまくりました。
―「Kingdom ~」でもディストーション踏みまくってますね。
アハハハハ。いろんな種類のディストーションを試しましたし、新しく購入しましたね。
―ちなみにどんなものを購入したんですか?
名前が確かバナナ(バナナナ・エフェクツ)とかいうすごく怪しい取説も付いてないような、相当ファンキーなエフェクターなんですけど。普段僕が買わないような一番クレイジーなエフェクターを出してみてもらえませんか?って言って並べてもらって。順番に試していって『あ、これじゃまだ普通だな』とか言ってどんどん試していって、残った一番ブっ飛んでる感じのがバナナちゃんでした(笑)。かなり小さいエフェクターで当然ツマミも小さくて、ライブでは使い難いのは間違いないですね(笑)。
―(笑)。それでも普通のディストーション系エフェクターでは我慢できず?
プロレスラーって試合中は尋常じゃない精神状況じゃないかと思って、だから普通じゃないエフェクターも試したいなと思ったんです。
春畑が選ぶ狂気を感じるギタリスト
―突然なんですが春畑さんが狂気を感じる・尋常じゃないと感じるギタリスト3名とそのギタープレイをピックアップして頂けないかと。
・スティーヴ・ヴァイ「For The Love Of God」
有名な逸話なんですけど、この曲をレコーディングするにあたってヴァイは断食からスタートされるんですね。ピラミッドに入って瞑想してからレコーディングに入った。もうその時点で普通のプレイヤーは追いつけない(笑)。
・ジミ・ヘンドリックス「Wild Thing Live@Monterey Pop Festival 1967」
やっぱりジミヘンは通常の感覚ではないですけど、特に燃やしてる時間帯は(笑)。僕も今回の新曲でかなり尋常じゃない感じでは弾いていますが、流石にまだ燃やしたことはないですね(笑)冒険して、ローディーに高く投げて渡すのは練習しましたけど(笑)。やっぱりギター落として欲しくないから(笑)。そう思うと僕はまだ甘いです。
・オズ・ノイ
この人のセンスもちょっとおかしくて、ライブ見てビックリしたんですけど、なんで今そのエフェクター踏むかなとか…見ていて予想外なんですよ。バッキング中なのに変態エフェクターが飛び出てきて。
―春畑さんが憧れる狂気のギタリスト、とても参考になりました。その一方で、春畑さんの出身地である町田市で11月に”まちびらき”を迎えた「南町田グランベリーパーク」のテーマ曲「Promised Land」はなんとも美しい新曲ですね。
南町田グランベリーパークというのは、本当に広い敷地の中に映画館やショップが入っている巨大なショッピングモールと公園があったりする場所なんですけど、その公園に行くと、ここでアコースティックライブやりたいなみたいないい感じの雰囲気の場所もあって。さっきの「Kingdom ~」とは真逆で、家族で来たり、愛犬の足を洗うスペースも準備されているので、愛犬と来たりする和やな場所で。で、実際に行って感じた雰囲気をメロディにしたんです。
―プロレスのテーマ曲から、わんちゃんが遊びに来る和やかな公園の曲までと、春畑さんはコンポーザーとしての引き出しが半端ない。ただ、振り返るとTUBEってデビューした頃は外部の人が作曲してた。春畑さんがソロを出した87年です。あの時のソロアルバムの作曲は春畑さんが?
当時もチャレンジしてたんですけど作った曲がなかなか使われなかったんだと思います。
―TUBEとして春畑さんが最初に書いた曲はなんですか?
TUBEでは1stアルバムで「ピンナップ・サーファーガール」っていう曲を書いてるんですけど。何曲か出してプロデューサーに「あ、これは使えるな」って使ってもらえるみたいな感じでしたね」
―ちなみに、コンポーザーとしてのスキルはどうやって上げていったんですか?
昔からピアノを弾いていて、その時からまずは曲作りみたいな部分もあって、曲を作るのは好きだったんですけど。最初は四小節で簡単にメロディをつけてみましょうみたいな世界から始まって。バンドを組んだ中学の時からオリジナル曲は作ってましたね。フォーキーな感じだったですけど。アリスとかオフコースみたいな。
―なるほど。いわゆるニューミュージック的な曲を書いてたんですね。
はい。でも自分では歌えないから歌ってほしくて書いてました。
―そこからコンポーザーのスキルを上げていくのには、ひたすら書くしかないんですか? どんな瞬間に扉が開くんですか?
僕が書いた曲が使われるようになり出したのは、普段はプロデューサーからいろんな作曲家の方に曲を作ってもらうんですけど、ある時、タイアップサイドが選んだのが偶然僕の曲になった時があったんです。それを機にプロデューサーが「もう、あとは春畑でいいよ」って突然言ってくれて。そこからはアルバムも全部作らせてもらって。そこからかなぁ。アルバムに全部自分の曲でいいんだったら、テンション高い曲もバラードも、ライブでやりたい曲を想定して、いろんな曲調を作りたいと思って書き始めましたね。
春畑がコンポーザーとして影響を受けたアーティスト
―そこでまた突然なんですけど、春畑さんがコンポーザーとして影響を受けたアーティストとその曲を教えて頂けないでしょうか。
・織田哲郎「SOMEBODY TO LOVE」
織田哲郎さんはTUBEのデビュー前から面倒見てもらっていたというか、一方的に僕らが織田哲郎をコピーしていたというのもあるんです。TUBEのベーシストの角野が、まだデビュー前にいろいろ練習してコピーしてる時に持ってきたのが、偶然織田哲郎さんの曲でした。角野が「これどう?」って言ったら、みんな「お、やろうやろう」ってなったんです。で、やがて偶然なんですけど、「シーズン・イン・ザ・サン」とか作ってもらえることになったんです。そんな織田さんの曲の中で一番好きなのがこの曲です。この曲のイメージで自分達もライブの最後にやりたいって思って何曲も作りました(笑)。
・小田和正「さよなら」(オフコース)
小田和正さんはもう中学の頃から好きでした。きっかけが「さよなら」ですね。最初に聴いた時、女性が歌っているのかな?って思ったほどです。歌も好きなんですが、ギターソロも好きだったんです。当時鈴木康弘さんが弾いていたギターソロは完コピしましたね。コード進行も泣ける切ない感じでバンドでコピーしました。これは自分達では作れる曲ではないなと思いながら。
でも、小田さんの曲ってアバンギャルドなコードは使わず、イーグルス的なシンプルなコードの曲が多いんですよね。
・藤原聡(Official髭男dism)「115万キロのフィルム」
影響を受けたというわけではないですが、最近では髭男の曲がカッコいいなって思いますね。突然ここでブルーノートいっちゃうんだみたいな感じも面白いし。いい曲だなと思ってアルバム聴いてますね。しかも、レンジも広く使ってるから。ファルセットとか、表の入れ替わり方も絶妙だし。最近、彼らの1枚目のフルアルバム『エスカパレード』を聴いてたんですけど、でも全部好きだな。詞も凄い引き込まれていく、どうなるんだ?この先はって。で、サビで突然使うブルーノートがカッコいいなって思うんですけど。1曲選ぶとしたら「115万キロのフィルム」。タイトルも素敵だな。もちろんこの曲だけじゃなく、アルバムも全部いいと思ってます。
・エルヴィス・プレスリー「Cant Help Falling In Love」
プロデューサーにプレスリーを聴けって凄く言われたんですよね。で、なるほどなみたいな。素朴なコードなのにカッコいいメロディ。シンガーをカッコよく見せる曲の作り方を覚えろって凄い言われて。今でもそんなにできてないんですけど。でも聴いてみてプレスリーは良い曲が実際たくさんあるんだなって思いました。この曲はプレスリーの代表曲の一つですが、作曲はプレスリー自身ではありません。18世紀のフランスで生み出された楽曲『愛の喜び』のメロディをもとにソングライターチームの一人、ジョージ・デイヴィッド・ワイスが作曲してるんです。作曲してると、いろんなコードに逃げがちなんです。それをあまり難しいコードを使うなよみたいなことを言われてたんです。で、勉強としてプレスリーの曲を沢山聴きました。
・ジャーニー「Open Arms」
ジャーニーの曲は本当に好きなのがいっぱいあります。その中でも好きな曲がこの曲です。ジャーニーの曲はアメリカンロックで本当伸び伸びとしていて、スケールがでかいんです。曲から自然と滲み出てくるあのスケール感は見習いたいなと思って。ちまちましたコードはやはり使わないんですよね。オープンコードが気持ちよく響く。ちなみに、ジャーニーは中一の時からコピーしていました。ただ、最初僕キーボードだったんです。ジャーニーにジョナサン・ケインが入る前の曲「Anyway You Want It」をオルガンで、先輩バンドに弾かされて、超絶つまらなかった(笑)。コードが4つぐらい。ただ白玉をずっと弾いてるだけの曲だったんです。それがきっかけでギターを始めました(笑)。
・U2「ONE」
この前、U2の来日公演を観たんですけど、いやーカッコよかったなあ。もうスケールのでかさ半端なくて。でもどこか暗さがある。あんなスクリーンが欲しいと思いながらずっと見てたんですけど。この曲はソングライティングの話とは少し違う話になっちゃうんですけど、メッセージ性で選びました。U2ってバンドとして凄い意思を持ってメッセージを発信し続けている。この「ONE」の時、ライブ中メッセーがとにかくすごくて。本当の平等はこういうことだとか、まだ平等じゃないとか。日本語でメッセージ出してきたんです。もう40年ぐらい変わらずこの4人でやり続けている、大人4人のステージがカッコよかったな。ずっとブレないバンドの意思っていうのがカッコイイなと思って。決して真似できる世界じゃないし。映像も使ってメッセージを2時間発信し続けるっていう。アメリカのKISSのパーティーの2時間も大好きなんですけど(笑)。イギリスのロックはあんまりコピーもしてなかったし、ずっとアメリカンロックだったんですけど。大人になってみるとどっちも好きだなと思い始めました。
―ありがとうございます! さて、もうすぐ2019年も終わりますが、2020年はどんな一年になりそうですか?
希望としては、曲が溜まってきたのでソロアルバムを出して、ツアーしたいなと思っているんですけど」
―TUBEもあるでしょうから、時間があるんですかね?
フフフフフ。でもやりたいですね。
―そう考えたら全然休んでないんじゃないですか?
そうですね。ツアーが終わったら翌々日ぐらいからまた次のリハーサルに突入みたいなのが続いてましたね。で、その合間にレコーディングをしてるっていう。
―体調は大丈夫ですか?
なんか大丈夫です(笑)。今も毎日レコーディグ中なんですけど、楽しんでやってます。
<INFORMATION>
配信シングル「Kingdom of the Heavens」発売を記念して、ギター・コンテスト 「Kingdomギター選手権」開催! 最終審査は本人の前でパフォーマンス!
詳細はギター・コンテスト「Kingdomギター選手権」特設サイトをチェック!
https://youngguitar.jp/web/202002-kingdom-guitar-title-match
【リリース情報】
春畑道哉 配信シングル
「Kingdom of the Heavens」
※「WRESTLE KINGDOM 14 in 東京ドーム」テーマ曲
※テレビ朝日系「ワールドプロレスリング」12月・1月ファイティングミュージック
▽ダウンロード/ストリーミングはこちら
https://smar.lnk.to/I_2_2WN
▽春畑道哉 見本動画
▽春畑道哉 メッセージ動画
▽”WRESTLE KINGDOM 14” Official theme song 春畑道哉「Kingdom of the Heavens」MV SIZE
そんな春畑道哉の新曲は春畑の狂気のギタープレイが爆発する「Kingdom of the Heavens」と、美しい響きの「Promised Land」。この幅広い音楽アプローチを掘り下げるべく話を聞いた。
―まずは最新配信シングル「Kingdom of the Heavens」のお話から聞かせてください。今回はなんとプロレスのテーマ曲(「WRESTLE KINGDOM 14 in 東京ドーム」テーマ曲)。ものすごい力強い曲が完成しましたね。
そうですね。まずこのお話をいただいた時に、ハードなリフとかがガンガン弾けるんだろうなと思って、やりたいと言ったぐらいですので(笑)。
―かなり多忙なスケジュールの合間のレコーディングだったと聞いてますが。
そうなんですよ。ツアー中だったし、他にもいくつか仕上げなければいけない曲が同時に進んでいる中でのお話ではあったんです。スタッフさんは「これいけますか?」みたいな感じでしたけど、「メタル承ります!」って即答しました(笑)。
―アハハ! そこまでタイトな時間の中で何故やったんですか?
ちょうどタイミングもあったと思うんです。
TUBEがカバーライブやって、昭和の例えば沢田研二さんの曲とかをやってるタイミングで。もちろんTUBEなりにアレンジはしてるんですけど、なかなかディストーションを踏めなかったので(笑)。
―春畑さんは結構メタル畑を通ってるんですね。
メタルというか、アイアン・メイデンとか(笑)。
―そうでしたか。確かに「Kingdom ~」のイントロ、メイデンを感じます。でもスティーヴィー・レイ・ヴォーンも通ってるんですよね?
そうなんですよ。レイ・ヴォーン大好きなんです。
―そしてメイデンも通ってるんですね。
そうなんです。中学の時コピーしまくりました。
―「Kingdom ~」でもディストーション踏みまくってますね。
アハハハハ。いろんな種類のディストーションを試しましたし、新しく購入しましたね。
―ちなみにどんなものを購入したんですか?
名前が確かバナナ(バナナナ・エフェクツ)とかいうすごく怪しい取説も付いてないような、相当ファンキーなエフェクターなんですけど。普段僕が買わないような一番クレイジーなエフェクターを出してみてもらえませんか?って言って並べてもらって。順番に試していって『あ、これじゃまだ普通だな』とか言ってどんどん試していって、残った一番ブっ飛んでる感じのがバナナちゃんでした(笑)。かなり小さいエフェクターで当然ツマミも小さくて、ライブでは使い難いのは間違いないですね(笑)。
―(笑)。それでも普通のディストーション系エフェクターでは我慢できず?
プロレスラーって試合中は尋常じゃない精神状況じゃないかと思って、だから普通じゃないエフェクターも試したいなと思ったんです。
春畑が選ぶ狂気を感じるギタリスト
―突然なんですが春畑さんが狂気を感じる・尋常じゃないと感じるギタリスト3名とそのギタープレイをピックアップして頂けないかと。
・スティーヴ・ヴァイ「For The Love Of God」
有名な逸話なんですけど、この曲をレコーディングするにあたってヴァイは断食からスタートされるんですね。ピラミッドに入って瞑想してからレコーディングに入った。もうその時点で普通のプレイヤーは追いつけない(笑)。
まずマイピラミッドを持ってないですし(笑)。この曲を弾くにあたりそこまで魂を込めて突入しようと決めてたことは誰にもまねできないばかりか。プレイもすごいです。もうきてます、いってます。ここまで来ると上手い下手の話ではなくいんです。頑張ればコピーはできますが、もうテンションが追いつかないですね。
・ジミ・ヘンドリックス「Wild Thing Live@Monterey Pop Festival 1967」
やっぱりジミヘンは通常の感覚ではないですけど、特に燃やしてる時間帯は(笑)。僕も今回の新曲でかなり尋常じゃない感じでは弾いていますが、流石にまだ燃やしたことはないですね(笑)冒険して、ローディーに高く投げて渡すのは練習しましたけど(笑)。やっぱりギター落として欲しくないから(笑)。そう思うと僕はまだ甘いです。
・オズ・ノイ
この人のセンスもちょっとおかしくて、ライブ見てビックリしたんですけど、なんで今そのエフェクター踏むかなとか…見ていて予想外なんですよ。バッキング中なのに変態エフェクターが飛び出てきて。
音のアプローチもチョイスするサウンドも、ずっと、え?そっちか、そっちか!みたいな。裏をかかれるんですよね。また今度ライヴを観に行くのが楽しみなんです。
―春畑さんが憧れる狂気のギタリスト、とても参考になりました。その一方で、春畑さんの出身地である町田市で11月に”まちびらき”を迎えた「南町田グランベリーパーク」のテーマ曲「Promised Land」はなんとも美しい新曲ですね。
南町田グランベリーパークというのは、本当に広い敷地の中に映画館やショップが入っている巨大なショッピングモールと公園があったりする場所なんですけど、その公園に行くと、ここでアコースティックライブやりたいなみたいないい感じの雰囲気の場所もあって。さっきの「Kingdom ~」とは真逆で、家族で来たり、愛犬の足を洗うスペースも準備されているので、愛犬と来たりする和やな場所で。で、実際に行って感じた雰囲気をメロディにしたんです。
―プロレスのテーマ曲から、わんちゃんが遊びに来る和やかな公園の曲までと、春畑さんはコンポーザーとしての引き出しが半端ない。ただ、振り返るとTUBEってデビューした頃は外部の人が作曲してた。春畑さんがソロを出した87年です。あの時のソロアルバムの作曲は春畑さんが?
当時もチャレンジしてたんですけど作った曲がなかなか使われなかったんだと思います。
それか、一曲作るのに時間かかり過ぎていたのかちょっと覚えてないんですけど。『DRIVIN』というデビューアルバムは確か1、2曲ぐらいしか作ってないかもですね。
―TUBEとして春畑さんが最初に書いた曲はなんですか?
TUBEでは1stアルバムで「ピンナップ・サーファーガール」っていう曲を書いてるんですけど。何曲か出してプロデューサーに「あ、これは使えるな」って使ってもらえるみたいな感じでしたね」
―ちなみに、コンポーザーとしてのスキルはどうやって上げていったんですか?
昔からピアノを弾いていて、その時からまずは曲作りみたいな部分もあって、曲を作るのは好きだったんですけど。最初は四小節で簡単にメロディをつけてみましょうみたいな世界から始まって。バンドを組んだ中学の時からオリジナル曲は作ってましたね。フォーキーな感じだったですけど。アリスとかオフコースみたいな。
―なるほど。いわゆるニューミュージック的な曲を書いてたんですね。
はい。でも自分では歌えないから歌ってほしくて書いてました。
それこそ小田和正さんに憧れて曲を作ってましたね。小田さんが書く曲とは全然程遠いですけど。で、プロになる前から体育館や公民館を自分たちで借りて、演奏して聴いてもらったりしてたんです。でもオリジナルよりカバーの方が100倍ウケてましたね(笑)。オリジナルやりますって言うと皆んな下向くっていう。そこまでじゃないんですけど(笑)。
―そこからコンポーザーのスキルを上げていくのには、ひたすら書くしかないんですか? どんな瞬間に扉が開くんですか?
僕が書いた曲が使われるようになり出したのは、普段はプロデューサーからいろんな作曲家の方に曲を作ってもらうんですけど、ある時、タイアップサイドが選んだのが偶然僕の曲になった時があったんです。それを機にプロデューサーが「もう、あとは春畑でいいよ」って突然言ってくれて。そこからはアルバムも全部作らせてもらって。そこからかなぁ。アルバムに全部自分の曲でいいんだったら、テンション高い曲もバラードも、ライブでやりたい曲を想定して、いろんな曲調を作りたいと思って書き始めましたね。
春畑がコンポーザーとして影響を受けたアーティスト
―そこでまた突然なんですけど、春畑さんがコンポーザーとして影響を受けたアーティストとその曲を教えて頂けないでしょうか。
・織田哲郎「SOMEBODY TO LOVE」
織田哲郎さんはTUBEのデビュー前から面倒見てもらっていたというか、一方的に僕らが織田哲郎をコピーしていたというのもあるんです。TUBEのベーシストの角野が、まだデビュー前にいろいろ練習してコピーしてる時に持ってきたのが、偶然織田哲郎さんの曲でした。角野が「これどう?」って言ったら、みんな「お、やろうやろう」ってなったんです。で、やがて偶然なんですけど、「シーズン・イン・ザ・サン」とか作ってもらえることになったんです。そんな織田さんの曲の中で一番好きなのがこの曲です。この曲のイメージで自分達もライブの最後にやりたいって思って何曲も作りました(笑)。
・小田和正「さよなら」(オフコース)
小田和正さんはもう中学の頃から好きでした。きっかけが「さよなら」ですね。最初に聴いた時、女性が歌っているのかな?って思ったほどです。歌も好きなんですが、ギターソロも好きだったんです。当時鈴木康弘さんが弾いていたギターソロは完コピしましたね。コード進行も泣ける切ない感じでバンドでコピーしました。これは自分達では作れる曲ではないなと思いながら。
でも、小田さんの曲ってアバンギャルドなコードは使わず、イーグルス的なシンプルなコードの曲が多いんですよね。
・藤原聡(Official髭男dism)「115万キロのフィルム」
影響を受けたというわけではないですが、最近では髭男の曲がカッコいいなって思いますね。突然ここでブルーノートいっちゃうんだみたいな感じも面白いし。いい曲だなと思ってアルバム聴いてますね。しかも、レンジも広く使ってるから。ファルセットとか、表の入れ替わり方も絶妙だし。最近、彼らの1枚目のフルアルバム『エスカパレード』を聴いてたんですけど、でも全部好きだな。詞も凄い引き込まれていく、どうなるんだ?この先はって。で、サビで突然使うブルーノートがカッコいいなって思うんですけど。1曲選ぶとしたら「115万キロのフィルム」。タイトルも素敵だな。もちろんこの曲だけじゃなく、アルバムも全部いいと思ってます。
・エルヴィス・プレスリー「Cant Help Falling In Love」
プロデューサーにプレスリーを聴けって凄く言われたんですよね。で、なるほどなみたいな。素朴なコードなのにカッコいいメロディ。シンガーをカッコよく見せる曲の作り方を覚えろって凄い言われて。今でもそんなにできてないんですけど。でも聴いてみてプレスリーは良い曲が実際たくさんあるんだなって思いました。この曲はプレスリーの代表曲の一つですが、作曲はプレスリー自身ではありません。18世紀のフランスで生み出された楽曲『愛の喜び』のメロディをもとにソングライターチームの一人、ジョージ・デイヴィッド・ワイスが作曲してるんです。作曲してると、いろんなコードに逃げがちなんです。それをあまり難しいコードを使うなよみたいなことを言われてたんです。で、勉強としてプレスリーの曲を沢山聴きました。
・ジャーニー「Open Arms」
ジャーニーの曲は本当に好きなのがいっぱいあります。その中でも好きな曲がこの曲です。ジャーニーの曲はアメリカンロックで本当伸び伸びとしていて、スケールがでかいんです。曲から自然と滲み出てくるあのスケール感は見習いたいなと思って。ちまちましたコードはやはり使わないんですよね。オープンコードが気持ちよく響く。ちなみに、ジャーニーは中一の時からコピーしていました。ただ、最初僕キーボードだったんです。ジャーニーにジョナサン・ケインが入る前の曲「Anyway You Want It」をオルガンで、先輩バンドに弾かされて、超絶つまらなかった(笑)。コードが4つぐらい。ただ白玉をずっと弾いてるだけの曲だったんです。それがきっかけでギターを始めました(笑)。
・U2「ONE」
この前、U2の来日公演を観たんですけど、いやーカッコよかったなあ。もうスケールのでかさ半端なくて。でもどこか暗さがある。あんなスクリーンが欲しいと思いながらずっと見てたんですけど。この曲はソングライティングの話とは少し違う話になっちゃうんですけど、メッセージ性で選びました。U2ってバンドとして凄い意思を持ってメッセージを発信し続けている。この「ONE」の時、ライブ中メッセーがとにかくすごくて。本当の平等はこういうことだとか、まだ平等じゃないとか。日本語でメッセージ出してきたんです。もう40年ぐらい変わらずこの4人でやり続けている、大人4人のステージがカッコよかったな。ずっとブレないバンドの意思っていうのがカッコイイなと思って。決して真似できる世界じゃないし。映像も使ってメッセージを2時間発信し続けるっていう。アメリカのKISSのパーティーの2時間も大好きなんですけど(笑)。イギリスのロックはあんまりコピーもしてなかったし、ずっとアメリカンロックだったんですけど。大人になってみるとどっちも好きだなと思い始めました。
―ありがとうございます! さて、もうすぐ2019年も終わりますが、2020年はどんな一年になりそうですか?
希望としては、曲が溜まってきたのでソロアルバムを出して、ツアーしたいなと思っているんですけど」
―TUBEもあるでしょうから、時間があるんですかね?
フフフフフ。でもやりたいですね。
―そう考えたら全然休んでないんじゃないですか?
そうですね。ツアーが終わったら翌々日ぐらいからまた次のリハーサルに突入みたいなのが続いてましたね。で、その合間にレコーディングをしてるっていう。
―体調は大丈夫ですか?
なんか大丈夫です(笑)。今も毎日レコーディグ中なんですけど、楽しんでやってます。
<INFORMATION>
配信シングル「Kingdom of the Heavens」発売を記念して、ギター・コンテスト 「Kingdomギター選手権」開催! 最終審査は本人の前でパフォーマンス!
詳細はギター・コンテスト「Kingdomギター選手権」特設サイトをチェック!
https://youngguitar.jp/web/202002-kingdom-guitar-title-match
【リリース情報】
春畑道哉 配信シングル
「Kingdom of the Heavens」
※「WRESTLE KINGDOM 14 in 東京ドーム」テーマ曲
※テレビ朝日系「ワールドプロレスリング」12月・1月ファイティングミュージック
▽ダウンロード/ストリーミングはこちら
https://smar.lnk.to/I_2_2WN
▽春畑道哉 見本動画
▽春畑道哉 メッセージ動画
▽”WRESTLE KINGDOM 14” Official theme song 春畑道哉「Kingdom of the Heavens」MV SIZE
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