Netflixシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のスティーブ役として知られる俳優のジョー・キーリー(Joe Keery)。彼のソロ音楽プロジェクト「Djo(ジョー)」が、大ヒット曲「End of Beginning」を収録したアルバム『DECIDE』の国内盤リリースを記念し、今年5月に来日を果たした。
その数奇な歩みについて語った、Rolling Stoneスペイン語圏版の最新インタビューをお届けする。

Djoの原点──個人での制作、バンドでの学び

ここ数年、ジョー・キーリーは俳優業と並行して、バイラル化を狙う姿勢や業界の力学とは無縁のメンタリティに基づく、極めて興味深い音楽プロジェクトを築き上げてきた。

ジョー・キーリーを一言で表すなら「多彩(polifacético)」という言葉が相応しい。サッカー界では複数のポジションをこなせる選手を指すが、エンタメ界でも大きな違いはなく、複数の芸術分野で頭角を現す人物を定義する言葉だ。キーリーの場合、現時点ですでに俳優としての地位を確立している。『ストレンジャー・シングス』のスティーブ・ハリントン役という象徴的な役柄で多くのファンに記憶されているが、一方で『スプリー』のようなインディー作品や、よりシリアスなトーンの『ファーゴ』といったプロジェクトにも参加しており、昨今では珍しいほどの演技の幅広さを証明している。

その堅実な俳優キャリアを背負いながら、彼はここ数年、自身の音楽プロジェクトを並行して展開してきた。それは着実に成長を続けているが、つい最近までは多くの人々にとって「知る人ぞ知る」存在であった。彼の音楽の旅は単純な趣味として始まったが、時が経ち、ソングライターおよびプロデューサーとして進化を遂げたことで、アーティスト名であるDjoを、現代インディーシーンにおける最も新鮮で、かつ意欲的なプロジェクトの一つとして確固たるものにした。

Djoの代表曲「End of Beginning」を収録したアルバム『DECIDE』(2022年)、6月3日に日本盤リリース

ジョセフ・デイヴィッド・キーリーは、1992年4月24日、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ニューベリーポートで生まれた。彼は5人兄弟の次男で、幼い頃から芸術全般に興味を示していた。初等教育を終えた後、デポール大学の演劇学校に入学。
そこで演技への好奇心を深く追求すると同時に、独学で音楽の探究も進めていった。

「音楽が単なる趣味以上のものになり得ると感じ始めたのは、おそらく大学時代に自分で曲やメロディを作り始めた時だと思う」とジョーは語る。「Logicをダウンロードして、誰でもやるように、ただアイデアを書き留めたり実験したりし始めたんだ。曲を作るのが本当に楽しかった。その時から、少し真剣に向き合い始めたんだと思う。それまでもバンドで演奏はしていたけれど、なぜか『録音』という作業が自分に大きな影響を与えたんだ」

ソロプロジェクトを固める前、キーリーは2014年から2017年にかけてサイケデリック・ロックバンド「Post Animal(ポスト・アニマル)」の一員として活動していた。彼はこの時期を自身のクリエイティブな成長における不可欠なプロセスだったと振り返る。「自分にとって大きな期間だったよ。あのバンドにいたことで友人たちから多くを学んだ。彼らは僕の音楽の好みをそれまで以上に広げてくれたし、ふさわしい仲間がいれば、たとえルールを破ったとしてもどんなことが成し遂げられるのかを教えてくれたんだ」

友情と新しいサウンドへのオープンな姿勢に彩られた集団的な学びは、やがて、より親密で個人的な制作プロセスへの移行へと繋がっていく。『ストレンジャー・シングス』で俳優としてのキャリアが急上昇し始める一方で、このシンガーソングライターはメディアのスポットライトから離れた場所で、独り作業を始めた。

「ドラマの仕事をしていたから、基本的にはそっちに集中していたけど、それと同時に、陰ではずっと録音や制作を続けていた。
時間が経つにつれて、形にして発表できるくらいの素材が十分に溜まっていったんだ」

その形成期は、彼が音楽を真剣に捉え始めた瞬間であっただけでなく、今日の彼の音楽観を形作るきっかけにもなった。「良き仲間に囲まれること」の重要性に立ち戻り、キーリーはその過程で周囲にいた人々、特に長年コラボレーションを続けてきた人々が果たした役割を強調している。「長い間一緒に仕事をしてきた友人のアダムとは、特にこのプロジェクトにおいて、お互いを形成し合い、より高みを目指して刺激し合ってきた感覚がある」と彼は説明する。彼によれば、友人の影響は自身の音楽性のレベルを引き上げる鍵となり、特に二人がミキシングで密接に協力した1stアルバム(2019年作『Twenty Twenty』)においてその傾向が顕著だったという。

しかし、そのリリースは音楽業界における伝統的な戦略とは程遠いものだった。キーリーは、当時、自身と音楽業界との接点はほとんど存在しなかったと断言する。「音楽業界との関わりに関して言えば、本当に何もなかった。すべて自分一人でやっていたし、ようやく最初の作品を出した時も、AWALというディストリビューターを通しただけ。これをリリースしてキャリアをスタートさせようという明確な計画があったわけじゃない。ただ、音楽を作っておきながら一度も世に出さないのは嫌だ、と感じていたんだ。だから『よし、公開してみて、どうなるか見てみよう』と思ったんだよ」。その後に続いたのは、緩やかではあるが着実な成長だった。
「少しずつ注目を集め始めた。型破りで驚きに満ちた道のりだったけど、そのことにはとても感謝している」と彼は締めくくる。

最新作『The Crux』で探求したもの

キーリーは、人生の特定の時期を象徴する様々な音楽への没頭を通じて、自身の芸術的アイデンティティを築き上げてきた。ブルース・スプリングスティーンのような指標となる存在から、ニック・ドレイクの影響を受けた内省的な時期、さらにはレッド・ツェッペリンの再発見に至るまで、彼のサウンドは絶え間ない探求の結果である。

その探求が頂点に達したのが、2025年リリースの最新作『The Crux』だ。この作品は、人生の様々な転換点に立つ人々が住まうホテルを巡るコンセプト・アルバムであると多くの人に解釈されてきた。しかし、キーリー自身はその解釈に補足を入れている。少なくとも構想段階においては、伝統的な意味でのコンセプト・アルバムではないというのだ。

「そのコンセプトはすべての曲を書き終えた後に出てきたものだから、厳密にはコンセプト・アルバムではないんだ。でも、そのイメージ(ホテル)がすべてを要約するのにとても面白いと感じたから、最終的にアルバムのアイコン、特にジャケットに採用することにした。ヴィジュアライザーやアートワーク、カバーの間に連続性を持たせたかったんだ。それで、あの世界観の中に作品を置くことに決めたんだよ」と彼は説明する。


視覚的な美学以上に、プロジェクト全体を貫く一つの軸がある。それは「感情に対する誠実さ」だ。キーリーにとって、この側面は単なる付属品ではなく、音楽制作における核心となっている。「自分が何を感じているかに対して正直であることは、超が付くほど重要なんだ。というか、それがほぼすべてと言ってもいい。自分の感情を吐き出し、人生で起きていることに対してある種のカタルシスを得るためのツールとして音楽を使うこと。それが大きな目標だったと感じているよ」

その感情の探求は、聴き手に何をもたらしたいかという点にも表れている。「結局のところ、それは『繋がり』なんだと思う。音楽のどこかに、自分のことを見てくれている、あるいは理解してくれていると感じる部分があること。それが、僕が音楽を好きな一番の理由なんだ。音楽的に驚かされたり、少し頭をかき乱されるような、インパクトのあるものを聴くのが大好きなんだ。『こんな手法があったのか』と思わされるようなね」

歌詞については、こう語る。
「ただ何かに共感して、『自分もこう感じる、これは自分の身に起きたことだ』という感覚を持つのが好きなんだ。自分の人生について歌っているかのように思えるアルバムを聴いて、素晴らしい体験をしたことが何度もある。もしアーティストとして本当にありのままでいられるなら、僕が他の音楽で経験したのと同じように、他の誰かがそこに自分を投影してくれるかもしれない。それが狙いなんだと思う」

「Djo」ジョー・キーリーが語る、『ストレンジャー・シングス』俳優が音楽シーンの重要人物になるまでの過程


その世界観は、アルバム『The Crux』のデラックス・エディションによってさらに広がりを見せている。そこでジョーは、オリジナル作品の舞台裏にあるクリエイティブなプロセスへと通じる窓を開けてくれた。このバージョンに収録された楽曲の多くは、最終的なアルバムの選考からは漏れたものの、同じ創作時期の一部を成していた素材だ。

「アルバム制作の周辺で何が起きていたのか、もう少し文脈をみんなに伝えたかったんだと思う。アルバムに入りきらなかった曲がたくさんあったからね。一人のファンとしての視点で見ても、あの時期に他にどんなことが起きていたのか、その断片を見せられるのは面白いことだと思ったんだ」と彼は説明している。

プロジェクトを補完するだけでなく、この決断は彼自身の音楽との向き合い方の変化も映し出している。「正直なところ、ただ発表するのが楽しいというのもある。良い教訓になったし、何事に対しても完璧主義になりすぎないように努めているんだ」

次なる一歩、憧れの共演

そんなDjoの次なる一歩は、本質的に彼をここまで導いてきたものと同じであるようだ。
つまり、ただ音楽を作り続けること。厳格で型にはまった計画や既定の方程式など存在しないが、そこには絶え間ない創作への衝動がある。「間違いなく、新しい音楽、新しい何かに取り組んでいる。それが具体的にどういうものになるかはまだわからないけど、とにかくこのプロセスを続けていきたいという強い意欲があるんだ」と彼は語る。

「Djo」ジョー・キーリーが語る、『ストレンジャー・シングス』俳優が音楽シーンの重要人物になるまでの過程


彼はこのあと、自身のキャリアにおいて新たなマイルストーンとなる一連の公演が控えている。「夏にいくつかショーをやる予定なんだ。テーム・インパラのサポートアクトを務めるんだけど、これはもう正気の沙汰じゃないというか、バケットリストの項目を一つ消し込むような、人生における信じられないほど大きな達成だよ」。これに加え、Pondとの数日間にわたる公演も予定されている。Pondは、彼が音楽的に敬愛しているだけでなく、個人的なルーツとも繋がっているバンドだ。「僕の友人の何人かとは、シカゴでのPondのライブで知り合ったんだ。だから、彼らと共演できるなんて本当に信じられないよ」

間違いなく、ジョー・キーリーは一点の曇りもない真摯なプロジェクトを築き上げてきた。そこで優先されているのは、称賛や名声の追求ではなく、自らの音楽や言葉を通じて何かを表現したいという切実な欲求であり、聴き手にもそれを受け取ってほしいという純粋な願いだ。絶対的な確信にすがるのではなく、明確な意志を持って進むその姿は、型にはまることを拒み、芸術の中に探求、誠実さ、他者との繋がりの場を見出したアーティスト像を体現している。作為のない絶え間なき探求の中にこそ、Djoが現代において最も注目すべき存在の一人として地位を確立した理由があり、そこには常に「まだ見ぬ何かが隠されている」という予感が満ちている。

2026年3月、ロラパルーザ・ブラジルで「End of Beginning」を披露

From Rolling Stone ES.

「Djo」ジョー・キーリーが語る、『ストレンジャー・シングス』俳優が音楽シーンの重要人物になるまでの過程

Djo ジョー
『Decide ディサイド』
国内盤:2026年6月3日(水)発売
2,700円+税 Blue-spec2
日本語入り独自アートワーク仕様、解説・歌詞・対訳つき
予約・視聴:https://SonyMusicJapan.lnk.to/Djo_DECIDEjp

ソニー・ミュージックによるジョー日本公式サイト
https://www.sonymusic.co.jp/artist/Djo/
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