これまで中国では高速鉄道の多くの路線が赤字続きでも全国に高速鉄道網を張り巡らし、営業距離で世界最長を毎年更新してきた。しかし、今後は建設ラッシュにブレーキをかけるようだ。
中国メディアの百家号は25日、中国高速鉄道建設の突然の「クールダウン」の理由を分析する記事を掲載した。

 記事は、中国政府の新たな方針について「今後は高速鉄道建設に際して一定の基準を満たすことが求められる」と伝えた。その基準とは、必ず省都かそれに準じる大都市を通過しなければならないこと、年間の利用者数が延べ2500万人以上となること、中長距離利用者の割合が7割以上を占めることの3つで、非常に厳しい条件だ。そのため、どれだけ資金を集めることができたとしても、条件に合致していなければ建設許可は下りなくなると指摘した。

 この理由について記事は、現在の不合理な建設を変えるため、地方債務のリスクを減らすため、需要と供給のバランスをとるため、運営コストが高いため、資金の浪費を防ぐための5つが考えられると分析する一方、「今回のクールダウンは中国高速鉄道の発展戦略にとって初の全面的な調整」であると論じた。

 理由はどうあれ、この「クールダウン」を中国国民はどう受け止めたら良いのだろうか。記事は「悲観的になることはない」と訴えている。中国高速鉄道は、すでに不動の「世界一」の座にいるからだという。何を持って世界一なのかは不明だが、営業距離や営業速度は確かに世界一だ。

 また、高速鉄道などのインフラ整備で経済を支える時代は終わり、これからの経済発展は交通インフラよりも5Gや原子力発電所などの次世代インフラの時代になるからだと主張している。

 ほかにも、高速鉄道の建設には高品質の鉄鉱石が必要になることや、大量の二酸化炭素を排出するので、中国が掲げる二酸化炭素の排出量削減目標と相反するためと説明した。国内での建設が減る分、海外進出を積極的に進めるので関連企業も心配する必要はないとしており、すでに建設した高速鉄道は軍事転用もできるので無駄にはならないと主張した。


 記事の中国人筆者は何とかして中国人の不安を取り除こうとしているようだ。中国の真意は測りかねるが、これまでの高速鉄道の建設には無理があっただけに、方向転換そのものに納得する人は多いのではないだろうか。ただ、方向転換のあまりの極端さが気になるところだが、それができてしまうのは中国のお国柄なのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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