中国政府は製造業の高度化に取り組んでおり、「安かろう悪かろう」と言われた時代に比べて中国製品の競争力は随分と向上したと言えるだろう。中国人自身も中国製品の品質向上や競争力強化を実感しているようだが、先進国との差はもうなくなったのだろうか。


 中国メディアの捜狐はこのほど、中国国内で開催される工業博覧会などを訪れると、中国製品の発展を通じて中国の国力が強大になったことを感じ取れるとしながらも、それでも工業化の点で見れば、まだ日本などの国とは「差」があるのが現状だと指摘し、「差」がある原因について考察する記事を掲載した。

 記事は、1978年末に改革開放の実施を決めたばかりの頃の中国農村部では、まだ木製の荷車などで農作業を行っており、先進的な農機具といえば手押式のトラクターぐらいしかなかったと紹介。農村がこのような状態であった以上、工場でも大したものを作れるはずがなく、生産できるものは二流、三流のものばかりだったと指摘する一方、当時の日本製品はすでに高品質の代名詞となりつつあったと紹介。日中の製品は品質面で大きな差があったと伝えつつ、こうした差は現在もまだ解消できていないと指摘した。

 続けて、日本と中国の工業化における差は主に「蓄積」の有無に顕在化しているとの見方を示し、日本は明治維新後に工業化に着手し、当時に誕生して現代まで生き残っている企業も多くのあるのに対し、中国の場合は本格的に工業化に着手できたのも遅く、現存する企業のほぼすべてが改革開放以降に誕生した若い企業であり、全体として「蓄積」が乏しいと指摘。また、発展している分野や地域などにおいて不均衡が数多くあり、工業全体のバランスも日本ほど良くないのが現状であることを強調した。

 また、こうした不均衡は「技術」の分野においても存在し、日本は時間をかけて技術を蓄積してきたのに対し、中国は海外から技術を購入したり、模倣したりすることで技術を獲得してきたと指摘。そして、その技術を扱う技術者の育成も急ピッチで行われてきたが、こうした手法がずっと通用するわけがなく、模倣することで「模倣の対象と同じ水準」まで成長することはできても、模倣の対象を「模倣」だけで超えることは困難だと強調。そして現在、さらなる成長を望んでも「蓄積がない」ため、模倣の対象を超えることができないという困難に直面していることを指摘した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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