ベトナムのハノイでは、中国政府の支援で建設していた都市鉄道が、10年の歳月をかけて2021年11月にようやく開業した。ホーチミンでも日本の円借款による都市鉄道の建設が進んでいるが、中国メディアの騰訊はこのほど、ベトナムにおける日本と中国の都市鉄道建設の技術を比較する記事を掲載した。


 記事はまず、中国がこのたびようやく開業にこぎつけた建設計画について紹介した。着工は2011年だったので開業まで丸10年かかり、6年遅れの開業となったが、記事の中国人筆者は、土地収用問題などで遅れたのであり「実質たったの3年間で完成した」と工事の速さを強調している。また、最初の15日間は無料で乗車できることにしたため、住民が多数詰めかけ、ネットにも写真が多数アップされ「地元の人々に歓迎されて開業を迎えた」と自賛した。

 では、同じくベトナムで都市鉄道を建設してきた日本と、「技術の違い」はあるのだろうか。記事は、中国の建設計画は開業が延期したとはいえ、技術的な問題ではなく、土地収用の遅れや書類の不備が原因だったと主張した。

 その一方で、まだ開業には至っていない日本によるホーチミンの都市鉄道建設に関しては、高架橋の安全性が不安視されるようなトラブルが発生したという。調査の結果、部品の品質に問題はなかったが施工に問題があったとの見方もあり、施工を担当する日本企業は温度差によるためだと説明しているものの、地元住民の疑念は消えていないと主張している。

 記事は日中の「技術を比較」したとしているが、具体的な事例はなく、ただ中国主導の計画の方が「地元住民の心証が良い」と主張するに留まっている。技術はさておき、このたび開業した都市鉄道はベトナム初ということもあり、ベトナム人の話題をさらったのは間違いないようだが、もともと日本側の強み工事の速さではない。日本が手がけた計画は開業後、安定、安心の運営で高い支持を得るに違いない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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