深セン証券取引所の創業板への上場を目指す、高性能乾電池メーカーの浙江恒威電池(301222/深セン)が2月28日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2533万株発行予定で、公募価格は33.98元。
公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は1999年設立の民営企業で、2017年に株式会社化した。高性能で環境に優しいアルカリ乾電池、マンガン乾電池の研究開発、生産、販売を主業務としており、主な製品は単1~単4および9Vのアルカリ乾電池、マンガン乾電池。製品は家庭用小型家電、コンシューマーエレクトロニクス、無線安全防護設備、スマート家具、屋外電子設備、無線通信設備、医療電子機器、電動玩具、デジタル製品、移動式照明器具など幅広い分野に利用されている。
 
 製品は輸出が売上の9割以上を占め、欧州、北米、日本、韓国などの先進国、地域向けにOEM生産を行なっている。国際的な商業チェーン企業、ブランド企業、商社と長期的に安定した提携関係を築いており、これらの企業を通じて各国のスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどで販売されている。売上比率はアルカリ電池が80%前後、マンガン電池が20%前後となっている。
 
 中国の乾電池輸出市場はこの10年安定的な成長を見せており、特にアルカリ電池の輸出は2010年の65億5200万本から20年には131億6700本と倍増した。ウェアラブル端末、電子ロック、無線デバイス、電動美容機器、電子血圧計、非接触式温度計などの新たなニーズが生まれており、市場は今後もさらに拡大すると見られる。2020年における同社の中国国内乾電池生産シェアは約2.2%。アルカリ電池の輸出シェアは輸出量、輸出額ベースでそれぞれ4%程度となっており、輸出量で業界8位、輸出額で6位となっている。
 
 高い性能と安定した品質、アルカリ・マンガン電池分野の研究力、クリーンな生産体制、そして世界の著名企業を顧客に多く持っている点が同社の強みだ。
一方で、生産能力の制限上OEM生産で手一杯となっており、自社ブランド製品の発売には至っていないため、電池メーカーとしての知名度は低い。また、アルカリ・マンガン乾電池の製造に特化しており、リン酸鉄リチウムイオン電池、ニッケル・水素電池など他の種類の電池については相応の生産能力、技術的な用意がないとして参入していない点も他社との競争における弱みだ。アルカリ・マンガン乾電池から他の電池への置き換えが進むことになれば、同社にとっては大きな打撃となる。このほか、原材料の価格変動、海外への製品輸送コスト、米国の貿易保護政策に伴う関税付加といった経営リスクも抱えている。
 
 2021年12月期の売上高は5億4689万元(前期比12.59%増)、純利益は8967万元(同6・43%減)。(編集担当:今関忠馬)
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