深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、蘇州宇邦新型材料(301266/深セン)が5月26日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2600万株を発行予定で、公募価格は26.86元。
公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2002年設立の民営企業で、15年に株式会社化した。太陽光発電パネル用リボンの研究開発、生産、販売を主業務としており、同製品の研究開発力、品質などは中国国内業界トップレベルである。晶科能源(ジンコソーラー、688223/上海)やハンファQセルズなどの太陽電池メーカーを顧客に持っている。
 
 太陽光発電パネル用リボンは太陽電池モジュールの重要な電気接続部品であり、太陽電池セルの直列・並列溶接連結に用いてモジュールの出力電圧、パワーを高める役割を持っている。モジュールの電流の収集効率に直接影響するため、高い品質が求められる。

 
 世界の太陽光発電市場は、発電コストの持続的な低下と新興市場の力強い成長によってハイペースな成長を続けており、20年の太陽光発電ユニット新規設置量は前年比18.22%増の138.2ギガワットだった。21~25年も年平均10%を超えるペースでの増加が見込まれている。中でも中国市場の発展は目覚ましく、20年の新規設置量が48.2ギガワットと世界全体の3分の1以上を占めた。21年には54.88ギガワットに増え、30年には105~128ギガワットに達すると予測されている。
 
 また、中国企業の太陽光発電モジュールは製品の性能、価格面での競争力で優位に立っており、輸出量が年々増加している。2011年には15ギガワットだった輸出量が20年には78.8ギガワットと年20.24%のペースで増えた。
今後も、欧米や日本、韓国といった先進国でのニーズに加え、アフリカや南米などの新興市場の急成長により、中国製モジュールの輸出は拡大するものと見られる。世界、および中国国内における太陽光モジュールの需要拡大に伴い、同社が手掛ける太陽光パネル用リボンの市場も引き続き成長することが予想される。
 
 同社は中国の業界をリードする技術力、高い品質とブランド力、世界の太陽光発電モジュール市場で一定の上位のシェアを持つ国内外の企業を顧客に持っていることなどを強みとする一方、市場が成長する中で業務の拡大を実現するための資金力に乏しいことがボトルネックとなっていた。また、日々激化する市場競争、銅や錫合金を主とする原材料価格の上昇、価格決定力を顧客側である太陽光モジュール企業に握られていること、少数の顧客に売上が集中していることなどが経営上のリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は12億3901万元(前期比51.37%増)、純利益は7728万元(同2.23%減)。22年1~3月期の売上高は4億6712万元(前年同期比68.63%増)、純利益は2012万元(同17.70%減)。
(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)