深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、成都普瑞眼科医院(301239/深セン)が6月20日、新規上場に向けた公募を開始する。3740万株を発行予定で、公募価格は33.65元。
同社は2006年設立の民営企業。眼科疾患患者向けに診断、治療、保険、医学検眼、レンズ作成など、眼科医療サービスを提供するチェーン経営医療機関である。直営チェーン方式で全国展開を進めており、現在成都をはじめ重慶、北京、天津、上海、広州など18都市に22カ所の眼科医院を設置している。医療サービススタッフは1000人を超え、業界における優位を確保している。
政府による衛生支出、社会と個人の衛生支出を合わせた中国の衛生総費用は2010年の1兆9980億元から19年には6兆5841億元と年平均14.17%のペースで増加し、GDPに占める割合も10年の4.84%から19年には6.64%にまで高まったが、一方で17年における世界の平均は9.896%、米国に至っては17.90%となっており、先進国との間には大きな開きがあり、中国の衛生費用規模にはまだまだ大きな伸びしろがあるものと考えられる。
また、ほとんどが公営の医療機関だった中国において、社会リソースの医療衛生事業参加を奨励する中国政府の方針もあり民営の医療機関数が急速に増えている。2011年の8440か所から19年には2万2424か所と、こちらも年平均10%以上のペースで増加した。同社も民営医療機関の発展の一角を担っている。
2019年における中国の眼科診療市場とメガネ小売市場規模を合わせた眼科市場規模は約2100億元と推定されている。高齢化の加速、電子製品の急速な普及に伴い、視力低下や白内障、網膜の病変といった眼科疾患罹患率は上昇し続けており、若年層にも広がりをみせていることから、中国における眼科医療サービスの需要はますます高まる一方だ。また、医療保険制度の整備、健康意識の高まりも、眼科医療サービス業界の高成長をアシストする要因と鳴っている。
同社は15年の発展で培ってきた技術、マネジメント、サービス品質のほか、全国に展開する直営チェーンネットワーク、公益活動への積極的な参加などによる高いブランド知名度といった点で強みを持つ一方、公立の医療機関に比べて外来・入院診察量、ベッド数などの経営規模で劣っていること、展開する眼科医院数の増加に伴う情報管理システムの強化などが課題となっている。新規上場に伴い調達予定の資金で情報管理体制の強化を図る方針だ。
2021年12月期の売上高は17億1002万元(前期比25.54%増)、純利益は9388万元(同13.81%減)。22年1~3月期の売上高は4億6842万元(前年同期比20.75%増)、純利益は5553万元(同34.89%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)