11日の香港マーケットは、主要82銘柄で構成されるハンセン指数が前営業日比125.38ポイント(0.73%)安の17108.71ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が43.79ポイント(0.73%)安の5982.55ポイントと反落した(ハンセン指数は約1カ月ぶり安値)。売買代金は1057億8460万香港ドルと低水準が続いている(10日は1073億9420万香港ドル)。

 投資家の慎重スタンスが強まる流れ。中国経済の先行き不安がくすぶっているほか、西側諸国の対中圧力強化や米中の指標発表などが重しとなっている。対中圧力に関しては、米政府と中国のバイオテクノロジー企業との取引を制限する「バイオセキュア法案」の米下院可決(今後、上院に送付)に続き、中国製ドローンの米国内利用を禁止する法案も10日までに可決した。そのほか、カナダのフリーランド副首相は10日の記者会見で、中国から輸入する電池、半導体、太陽光製品、鉱物などに追加関税を課すことを検討していると述べている。また、米国では11日、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に影響を与える8月の消費者物価指数(CPI)、12日に生産者物価指数(PPI)が公表される予定。中国では今週、14日に8月の小売売上高や鉱工業生産など、15日までに金融統計が報告される。これまでに公表された中国経済統計は、デフレや企業活動縮小、内需不振などを警戒する内容となっている。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、中国政府系の華潤電力HD(836/HK)が5.7%安、中国ニット衣料最大手の申洲国際集団HD(2313/HK)が4.9%安、中国スポーツ用品大手の李寧(2331/HK)が4.1%安と下げが目立った。
 セクター別では、中国の銀行が安い。中国農業銀行(1288/HK)が3.7%、中国工商銀行(1398/HK)と中国銀行(3988/HK)がそろって2.1%、交通銀行(3328/HK)が1.9%ずつ下落した。
 石油関連セクターもさえない。業界大手3社の中国石油化工(386/HK)が2.9%安、中国海洋石油(883/HK)が2.3%安、中国石油天然気(857/HK)が1.4%安、原油掘削の中海油田服務(2883/HK)が2.5%安で引けた。
原油安が逆風。昨夜のWTI原油先物は4.3%安と急反落し、約1年4カ月ぶりの安値に落ち込んだ。
 半面、医薬品開発受託機関(CRO)など創薬支援関連は高い。無錫薬明康徳新薬開発(2359/HK)が6.8%、薬明合聯生物技術(2268/HK)が5.1%、康龍化成(北京)新薬技術(3759/HK)が4.5%、薬明生物技術(2269/HK)が3.7%ずつ上昇した。前日は米国の圧力を警戒し急落していたが、買戻しが先行している。また、無錫薬明康徳新薬開発は10日、A株の自社株買い計画を発表。一定の支援材料となった。
 一方、本土マーケットも反落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.82%安の2721.80ポイントで取引を終了した。エネルギー株が安い。発電株、銀行株、運輸株、通信株、メディア関連株、非鉄株なども売られた。半面、医薬株は安い。
消費関連株、証券株も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)
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