「不況のときの頼みは公共投資」、事はそう単純ではないが、社会主義市場経済を標榜する中国では政策が経済に及ぼす影響は大きい。中国での公共投資の1つのキーポイントは環境だ。
中国の環境汚染は経済発展の負の遺産ともいわれ、国際社会からの風当たりも強い。日本の住友化学グループに属する住化分析技術(上海)有限公司(以下、住化分析)は、空気、水、土などの分析を通じて、中国の環境改善に寄与しようとしている。

――環境問題に本腰を入れ始めた中国

 「資源節約・環境保護という基本的な国策を堅持することは、人民大衆の切実な利益と中華民族の生存・発展にかかわるものである」。中国共産党のトップでもある胡錦涛国家主席は、昨年10月の全国代表大会で環境保護の重要性を強く訴えた。近年の急速な経済発展の結果、中国は世界の経済大国といっていい状況になった。しかし、発展に伴う弊害も顕在化した。低いエネルギー効率、大気・水質・土壌の汚染…、手をこまねいていては発展にブレーキがかかりかねない事態となっている。中国政府も環境問題の解決に本腰を入れ始め、2006年から10年までの4年間で環境対策に約20兆円という巨費を投じるとしている。

 住化分析はこうした中国の状況を大きなビジネスチャンスととらえ、昨年5月に会社を設立した。松田公昭董事長は準備段階から中国に何度も足を運び、中国の環境問題をつぶさに見てきた。「中国の環境汚染対策は急ピッチで進められています。工場大気、廃水、土壌などの浄化に向けたビジネスチャンスはいくらでもあります」と今後を展望する。
これまで、中国での環境分析は大半が政府の機関で実施されてきた。多様かつ高度でスピーディーな分析能力を持った企業はほとんどないのが現状だ。日本の高度な技術力を発揮するチャンスは多い。

――高まる消費者の環境へのニーズ

 住化分析の現在の主な顧客は日系企業だ。廃水処理、水浄化、廃棄物リサイクルなどの環境関連の大手企業も多い。依頼される分析について松田董事長は、「以前は、素材の分析が大半でしたが、最近では排水、排ガスなどの分析が増えています」と、環境ビジネスの拡大を実感している。

 中国では所得の増加に伴って、消費者の環境への意識も変化している。たとえば日本でも一時期、大きな問題となったシックハウス症候群。最近、中国の高級マンションでもシックハウス問題がないことを特長として打ち出す物件が増えているという。さらに、新車にはつきもののにおい。これも有害だと考える消費者もいて、シートなどの内装部品メーカーがにおいのない製品の供給を求められているという。こうした空気の分析は住化分析の得意とするところだ。


 「金融危機が中国に及ぼす影響は否定しません。しかし、仮にかなりの痛手を負ったとしても、年10パーセント弱の経済成長は続くとみています。長年の経験からも環境は景気の影響を受けにくい分野であり、中国での環境ビジネスは悲観していません」と語る松田董事長。業務拡大を見越して、約20人の現在の社員を来年には30人に増やす予定で、環境分析の経験者も新たに1人雇用した。住化分析では、分析会社の国際的な基準や中国の基準の取得に向けて現在、準備を進めている。来春には取得できる見通しで、その後は地元の企業や欧米系の外資企業にも営業範囲を広げていきたいとしている。日本の26倍の国土と10倍を超える人口、住化分析が目指す中国の環境ビジネスの舞台は限りなく大きい。

住化分析技術(上海)有限公司
上海市江場三路163号6楼
tel:021-5677-8181

※この記事は、現地の日本語情報誌『SUPERCiTY』による提供です。今の中国を知るための総合情報ポータルサイト URL:http://www.chinasupercity.com/





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