23日付中国新聞社電によると、広東省広州市内のカルフールで同日、「上海ガニ祭り」が始まった。売り場では、多くの市民が行列して、「秋の味覚」を購入した。
しかし、水質汚染と品薄、偽物の横行など、手放しでは喜べないようだ。

 「上海ガニ」は日本での通称で、中国では「大閘蟹(ダー・ジャーシエ)」と呼ばれる。日本語の正式名称はチュウゴクモクズガニ。長江(揚子江)流域など広い範囲で生息しているが、本場とされるのは江蘇省の陽澄湖産で、現在は多くが養殖ものだ。

 しかし水質保護のため、、陽澄湖では「大閘蟹」の養殖が厳しく制限されるようになった。広州日報によると、2009年の出荷量は、2100トン前後にとどまる見込みだ。そのため、陽澄湖産の「大閘蟹」は、前年比で10%程度値上がりした。

 広州市内のカルフールで23日に売られていた「大閘蟹」は、最も高いもので1匹当たり138元(24日レートで約2360円)だったという。

 江蘇省の蘇州市陽澄湖大閘蟹業界協会の楊維龍会長は、「偽物も多く出回っているので、気をつけてほしい」と消費者に呼びかけた。

 中国では、内陸水系における水産業・養殖業が盛んだが、水質汚染で「ピンチ」となるケースも多い。生活・工業排水が流れ込むだけでなく、養殖業が水質を汚染する“自縄自縛状態”に陥っている場合も目立つ。陽澄湖と同様にカニの産地として知られる江蘇省と浙江省の境にある太湖も、水質汚染が深刻だ。
(編集担当:如月隼人)

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