論説は、中国では「長期にわたってごく一分の者が、三権分立をモデルに中国の政治と司法の体制を変革しようと、おろかにもたくらんでいる」と論じ、「三権分立は国際的な慣例」との主張もあるが、実際には異なると主張した。
論説によると、三権分立を真に採用しているのは、西側諸国の中でも米国だけ。その他の国は「大統領制」であっても、大統領を中心とする行政権と議会による立法権が完全に分離されてはおらず、「三権分立」とは言えない。また、英国や日本などの議院内閣制は、行政と立法が分離しておらず、「三権分立」ではない。議院内閣制は事実上、与党が国を支配する制度という。
論説は、西側諸国の制度はブルジョア階級の利益を維持するために成立したと指摘し、一方で、中国は「社会主義国家であり、共産党が指導し、人民が主人。法治により有機的に統一された国家」、「人民代表大会(という議会制度)を堅持し、改良する」国家と主張。共産党以外の意見も聞く「政治協商会議」や、少数民族の利益を守る「民族区域の自治制度」もあるなど、中国の体制を高く評価した上で、「西側国家ですら、あまり導入されていない『三権分立』を導入することは、絶対にありえない」と論じた。
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◆解説◆
同論説は、中国共産党中央宣伝部理論局が編纂(へんさん)し、学習出版社が刊行した「6つのなぜ、いくつかの重要な問題」における、「三権分立」にかんする部分を改めて紹介した。人民日報は、中国共産党の機関紙。
中国では2008年ごろから、共産党の高級幹部や研究者がしばしば、「三権分立の導入はありえない」と発言や著作発表をしている。
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