中国政府・鉄道部は24日、浙江省温州市内で23日夜に高速鉄道車両2列車が追突事故を起こし、一部車両が橋から落下した事故について、追突したD301列車を運転していた「潘一恒運転士は規則通りに操作を行った。一切の責任はなかった」との考えを示した。
東方早報などが報じた。

■「中国高速鉄道、温州で衝突事故(2011年)」に関する写真

 潘運転士の遺体は、押しつぶされたD301列車の運転台で見つかった。運転用のスロットルに胸を貫かれて、息絶えていたという。鉄道部によると、回収されたブラックボックス(列車の運転状態などの記録装置)からも、潘運転士が衝突の瞬間まで運転台から逃げ出さずに、ブレーキをかけつづけていたことが確認されたという。

 鉄道部は、潘運転士が最後の瞬間まで職務を放棄しなかったことでD301列車がその分減速し、犠牲者の数を減らすことにつながったとの見方を示した。

 潘一恒運転士は38歳。乗務歴は18年間で、運転を担当23万8262キロメートルの走行で、「いかなる事故も発生させたことはない」という。2009年6月に、鉄道高速車両の運転資格を取得した。自らの仕事に誇りを持ち「列車の運転士はよい職業だ」と言っていたという。自宅は福建省福州市内。妻と7歳の息子が残された。

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◆解説◆
 鉄道部が「運転士に責任はなかった」と認めたことは、路線や車両の設計や建設・製造、運行システムに「問題があった」との考えを示したことを意味する。
今後、中国当局が事件に対してどのような処置をするかに、関心が集まることになる。(編集担当:如月隼人)

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