「服装には政治、経済、民族から個人の品位にいたるまで、さまざまな情報が内包されている」。長年にわたり服飾史の研究をしている東華大学服装学院の包銘新教授は「服装は国家制度の重要な要素だ。国民服とは制度化された服飾であり、それを着ることで国家、民族、個人のアイデンティティが視覚化できる」と述べる。
中国は東漢の時代より民国年間まで、各王朝で『輿服志』のような服飾制度の書物を残してきた。包銘新教授によれば、過去の封建王朝は階級や権力を服装で区分しており、服装の規範も政権交代によって変更されてきたという。辛亥革命後、特に新中国成立後は、自由・平等・民主の提唱により、服装による身分や貴賎の区分は制度として反対されるようになった。そのため、軍隊や郵便といったわずかな職種以外、このような服装制度は消滅することになった。
社会の発展に従い、中国人は国際交流活動や重大な行事が増加してきた。また服装への欲求が高まり、センスが徐々にアップしてきた。そこから、国家的アイデンティティや個人のセンスを、服装を通じて見せたいという欲求も日増しに高まることになった。「着られればなんでもいい」という発想は、昔の話なのである。
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