江西省上饒市万年県内で16日午後1時ごろ、トラックが山道を飛び出し崖(がけ)を約200メートル転落する事故が起こった。トラックは崖の途中にあった鉱石を運ぶベルトコンベヤーに激突して、さらに落ちた。
トラックが爆発して運転台部分がはずれたことで、中にいた運転手は「九死に一生」を得たとみられている。中国新聞社が報じた。

 近くの住民によると、自宅の庭で野菜の世話をしていた時、「ドン」という音が響いた。音がした方向の山を眺めても轟音(ごうおん)の原因が分からなかったが、しばらくして崖の下にトラックが転落しており、濃い煙を出しているのに気づいた。

 別の住民によると、やはり崖下に転落したトラックの残骸が煙を上げているのが見えた。崖の中腹にトラックの運転台が転がっていたが「あの様子では、恐らく助からないだろう」と思ったという。


 村の幹部や住民約50人が現場に向かった。運転手が生きていることが分かり、ただちに救出を始めた。運転台があったのはふもとから100メートルほど高い場所だったので苦労したが、運転手をなんとか運び出し、病院に搬送した。

 運転手や住民の証言、現場の様子から事故の様相がほぼ分かった。トラックは山の中腹に設けられた道を走行していた。カーブで速度を落とそうとしたがスリップして飛びだしてしまったという。
運転手は「はっきりと覚えている。この一瞬で生きるか死ぬか決まると思った」と述べた。

 トラックは約200メートルの崖を転落した。転落場所のやや下には鉱石を運搬するベルトコンベヤーの橋があった。トラックはベルトコンベヤーに激突し、約20メートルにわたり破壊して、さらに落ちていった。

 ベルトコンベヤーには電力供給用の電線が通してあり、トラックの激突で切断され、火花が出た。
火花は漏れたトラックの燃料に引火して、トラック荷台部分が爆発した。爆発により運転台がはずれ、運転台はベルトコンベヤーの橋脚があるやや平たんな部分で止まった。荷台部分はさらに落下し、崖下まで落ちてさらに爆発・炎上した。

 運転手はハンドルをしっかりとかかえ足を踏ん張り、体が動かないようにしながら「神様、なんとか助けてください」と祈っていたという。運転台の落下が止まってから「なんとかなったと思い、とにかく事故のことは妻に報告しておかねば」と携帯電話を探した。

 携帯電話はどこかに吹き飛んでおり、見つからなかった。
その時になって恐怖を感じ、全身の力が抜けた。救援の人々が駆けつけた時には「(怖くなって)口もきけない状態でした」という。

 運転手は腰椎を骨折したが、後は打撲傷があるだけで命に別条はないという。(編集担当:如月隼人)