大連市と山東省の間にある渤海海峡をくぐり抜ける海底トンネルの構想は1990年代初期からあった。その後、いったんは同構想が語られることが少なくなったが、2011年ごろから再び、トンネル建設の研究が本格化しはじめた。
関係者によると、研究の報告書はすでに国務院(中国中央政府)に提出された。10年以内に完成する可能性があるという。
トンネルは大連市の旅順地区と、山東省煙台市に属する県級蓬莱市を結ぶとされる。これまで大連から煙台に達するには、渤海湾沿いに営口市、秦皇島蓬莱、天津市、東営市などを経由して、1980キロメートルの道のりを走破する必要があった。大連と煙台を開廷トンネルで結べば長さは約165キロメートルで、自動車で通過したとしても2時間程度で到達が可能だ。
これまでの研究によると、大連・煙台の潜在的旅客量は2020年には年間延べ3億人程度になる。トンネルが完成した場合、60%-80%が利用したとすると、年間の利用者は延べ1億8000万-2億4000万人程度になるとみられる。
また、山東省から東北地方への物流も、時間とコストが大幅に低減する。現在は煙台から遼寧省瀋陽市まで30トン済みトラックの輸送料金は8000元(13万5800円)程度だが、トンネルが完成すれば半額程度になるとみられている。
現在のところ、世界で最も長いトンネルは米国の水道用トンネルのキャッツキルアケダクトで、長さは約147キロメートル。地下鉄用トンネルとしては、中国の広州地下鉄3号線の約67キロメートルが最長。水道用、地下鉄トンネルを除けば、日本の青函トンネルが世界最長で、53.85キロメートルだ。
渤海海峡トンネルが完成すれば、世界でも群を抜いて最も長いトンネルになる。(編集担当:如月隼人)
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