中国では、自動車の並行輸入については、2015年にスタートし、一部の自由貿易試験区において限定的に実施されてきた。これまでは、保税倉庫において関税未納のままで蔵置できる期間を3カ月としていたが、今回の発表は、この期間に制限を設けないことにした。これによって輸入事業者にとっては販売戦略の柔軟性が増すほか、税金コストの低減にもつながる見通しだ。
新方針を発表した陳氏は、「末端消費者にもその恩恵が及び、より多くの消費者がコストパフォーマンスの高い自動車を購入できるようになる」としている。並行輸入について前向きな振興策を取っていく方針を示した。
自動車の並行輸入については、2015年2月の上海を皮切りに、天津、福建、広東の各自由貿易試験区で実施。16年11月に第2陣の解禁エリアとして四川、新疆ウイグル、大連(遼寧省)、寧波(浙江省)の4省・自治区などを許可し、今年新たに満州里出入境検問所(内モンゴル自治区)、張家港保税港区(江蘇省)、鄭州鉄道出入境検問所(河南省)、岳陽城陵磯港(湖南省)、欽州保税港区(広西チワン族自治区)、海口港(海南省)、重慶鉄道出入境検問所(重慶市)、青島前湾保税港区(山東省)の8カ所を試験区に指定した。
そして、16年には自動車並行輸入業者が「3C認証」を取得する際の審査要件やプロセスを簡素化する制度改革が上海で試行されるなど、自動車の並行輸入を奨励する政策も発表されている。
並行輸入は、海外メーカーの正規代理店ルートとは別に、海外直営店や海外正規代理店、または、免税店・特約店等を通じて並行輸入業者が商品を仕入れて輸入販売するもの。海外メーカーは、それぞれの地域事情を調査して現地で競争力のある車種を正規代理店を通じて輸出販売している。しかし、消費が成熟してくると、当たり前の消費ニーズとは異なる独自の価値観で商品を購入する消費も拡大する。たとえば、日本においては一般的な販売ルートでは取扱いのない米国向けピックアップトラックを並行輸入によって購入することも可能になる。
世界最大の自動車市場になった中国では、自動車の消費ニーズも急速に成熟してきているようだ。並行輸入についても、現在のように、窓口を一部に制限して実施することがいつまでも続くとは思われない。(イメージ写真提供:123RF)
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