習近平・国家主席は17年2月に河北省安新県を視察し、未来型副都心「雄安新区」に関する交流会を主宰。同年4月に「雄安新区」設立を宣言した。今年1月16日、2年ぶりに現地を視察し、「都市建設、経済発展に向けて、交通整備をまず優先させなければならない」と改めて号令をかけた。
この2年間で雄安新区は激変している。第1陣のインフラプロジェクトが続々と着工され、18年に建設が始まった京雄都市間鉄道(北京市~雄安新区)は、20年の開業を目指し、計画の総仕上げで建設に力が入る。完成すると、京九鉄道(北京西駅~香港ホンハム駅)の李営駅(北京市大興区)を起点に、北京新空港、河北省覇州市を経由して雄安新区に至る総延長92.4キロの高速鉄道になる。
また、18年に完成した床面積9万9600平方メートルの市民サービスセンターは、デジタルとリアルの都市を融合させた未来を象徴する建物だ。無人コンビニを設置し、無人配送車も行き交うセンター内には、「未来都市みたさ」の観光客が押し寄せる観光スポットとしても名前をあげている。
雄安新区の経済圏といえる北京市や天津市は、大動脈の完成が近づいてきたことを手掛かりに、雄安新区の繁栄を自らの発展に取り込む戦略を強化。北京市の陳吉寧・市長は、京雄都市間鉄道の北京区間開業や、北京市と雄安新区を結ぶ「京雄高速道路」の早期着工を強調。
一方、雄安新区を抱える河北省は、雄安新区の「東エリア」、「高速鉄道駅エリア」など10大プロジェクトを着実に推進すると表明。建設資金について、「国家支援と銀行融資を積極的に受けるとともに、投融資メカニズムを革新する」と説明した。ちょうど、深センの発展が、近隣の都市部を成長させた広東省の成功に習おうとしているようだ。
習近平氏が2年前に立ち上げた新区計画を、改めて取り上げて押し出しているのは、減速傾向にある中国経済に活力を与えるための、モデルプロジェクトの存在が必要との認識によるのだろう。
雄安新区のコンセプトは、スマートシティ、5G、ビッグデータ、AI、IoT、IoVなどコンピューター関連産業、それらとも連なるスマートカー、自動運転産業、医療、教育、環境などの方面で、今までの中国の他の都市には見られない、完全に計画されたイノベーションセンター都市として建設されるということだ。地元のバイドゥ(百度)をはじめ、アリババやテンセントといったBATが揃って、新都市計画に積極的に協力していることも大きな特徴になっている。(イメージ写真提供:123RF)
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