京都大学が主催する特別展「カメラが写した80年前の中国 ―京都大学人文科学研究所所蔵 華北交通写真」が、今月13日にスタートした。中国メディアの環球時報は15日、「日本が新たに展示した抗日戦争期の“昔の中国の写真”」が注目を集めていると報道。
中国のSNS・ウェイボ(新浪微博)では、関連するページの閲覧数が4億回を超えているという。

 京都大学総合博物館ホームページによると、今回展示される「華北交通写真」とは、1939~1945年に中国の北部・西北部一帯の交通網(列車、バス、船舶など)を管轄していた日中合弁の華北交通株式会社による、広報用ストック・フォトを指す。その数、3万5000点。写真の大部分は、当時の交通インフラや景観を記録したものだという。

 環球時報の記事は、「記者が確認したところ、銃を持った兵士の写真が若干あるほかは、戦争のようすを写した写真はほとんどない」としつつも、「今回の展示のニュースが中国のソーシャルメディアに流れると、中国ネットユーザーの多くが、それらの写真は日本の中国侵略の証拠であり、日本は誠意をもって謝罪すべきだと表明した」と述べた。

 記事中には、環球時報が14日に実施した、京都大学人文科学研究所の石川禎浩教授へのインタビューも紹介されている。
石川教授は中国ネットユーザーの反応について、「(写真を)見る人の価値観や立場が異なれば、認識や理解に相違が生じるのは当然のこと。どのように評価するかは見る人にゆだねられるべき」等とコメントしたという。

 「これらの膨大な写真を展示したのは、より多くの人に中国の歴史と日中関係に関心を持ってほしかったからだ」。石川教授のこの言葉を、環球時報は冒頭と文中の2か所で引用している。また、「展示された写真の多くは北京と天津で撮影されたものだが、一部は南京で撮影されたもの」だとして、専門家の手で写真の撮影時期を確認すべきだといった中国国内の声も紹介して記事を結んだ。

 特別展「カメラが写した80年前の中国」は、京都大学総合博物館で4月14日まで開催される。
(編集担当:伊藤由記)(イメージ写真提供:123RF) 


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